アドテク本部の大田です。2011年に入社していましたが、こうして社内のデベロッパーズブログに顔を出すのは初めてとなります。普段は広告クリエイティブチームというチームに所属し、広告画像データをもとにした自動生成技術に関する研究開発に携わっております。

さて、先日も CVPR に参加してきたばかりなのですが、今回は同じく AI Lab 広告クリエイティブチームに所属する谷口、山口と共に、8月7〜10日に広島で開催されていた画像の認識・理解シンポジウム(MIRU 2017)という学術会議に参加してきました。

学生時代にも参加したことがあったとはいえ、入社後はずっとサーバサイドエンジニアとして活動していた自分がまさか本業で広告に関する研究職に就き、こうして学術会議に参加する日がくるとは思っていませんでした。以下、簡単にですがレポートを記したいと思います。

MIRU 2017 会場前看板

会議概要

MIRU は1992年から続いており、今年で20回目を迎えた画像認識・理解技術に関する国内最大規模の会議となります。運営は情報処理学会 CVIM 研究会と電子情報通信学会 PRMU 研究会が毎年交代して行っており、今年は CVIM による主催です。

昨今の人工知能ブームもあってか、近年は600名を超える研究者・学生が参加し、国内における萌芽期研究の報告から国際的トップカンファレンスにて採択された研究の招待講演まで行っており、画像技術に関する幅広い研究について活発な議論がなされています。

開催地は元々香川県高松市だったものの、先日の CVPR の日程がずれ込んだことによるあおりを受け、広島に変更。原爆ドームからほど近い平和記念公園内の広島国際会議場となりました。当日は台風5号が接近していたこともあって無事会場に到着できるか少し不安だったのですが、幸い広島駅までは遅延もなく、午後には大雨も上がり台風通過後の蒸し暑さに包まれました。

会場そばの原爆ドーム

AI Lab 企業展示

そんな中、我々は企業研究チームとして現在の取り組みに関する展示を行いました。タイトルは「広告クリエイティブの制作支援と自動生成」。AI Lab 全体として取り組んでいる研究分野に加え、広告クリエイティブのデータの特徴や分布についてポスターとデモマシンによる解説を行い、今後どういった問題に挑戦していく予定かを説明いたしました。

企業展示ブース設営後

企業展示時間は2日目、3日目において各日2時間程度。ポスターセッションやデモ展示発表と同時刻となるため非常にザワめく会場となりましたが、忙しい中足を止めて訪問してくださった学生や研究者の皆様にはステッカーやクリアファイルをお配りしました。

セッション

今年は特別講演が2件、口頭発表に選定された論文数は23件、ポスター発表は206件となりました。口頭発表においてはパラレルセッションはなく参加者は全ての発表を聴講可能となります。コンピュータビジョンにおける所謂 Low-level, Mid-level , High-level 全てにおける報告がされており、被写体の材質表現の認識やより良い漁場の探索などと、基礎から応用まで幅広い分野を一度の会議で聴講することが出来ました。発表タイトルの一覧はこちらから。

また、山口は前職で取り組んでいた研究内容について「End-to-end Learning Potentials for Structured Attribute Prediction」というタイトルで CNN セッションにて口頭発表を行い、めでたく優秀賞を受賞!詳細はこちらの記事を御覧ください。

山口による口頭発表

3日目夜には会場近くのホテルにてバンケットが開かれ、大学や他社の研究者と広島の美味しい地酒を楽しみながら交流し、受賞者を皆でお祝いしました。来年の MIRU 2018 は北海道札幌での開催になるそうです。

最後に

学生時代に参加したのが 2009 年の MIRU だったのですが、協賛・企業展示共に弊社のようなウェブ系の企業が参加するようになったことに時代の流れを感じます。Deep Learning の技術発展もあり、画像・動画というのはとてもホットで面白い研究分野だと思っていますし、企業における様々な取り組みの中でこれらのメディアが主体となるケースも多いのではないでしょうか。

今回我々は広告クリエイティブの制作支援と自動生成について展示しましたが、アドテク本部 AI Lab では、画像に限らず様々な研究活動を行っております。より良いアプローチで業界・市場を牽引していける存在になるべく、引き続き邁進してまいります。