こんにちは!
音楽ストリーミングサービス「AWA」で働いております、18内定者の海津です。
先日行ったAWAのバレンタイン企画で全体ディレクションを担当させていただきました。企画では、バレンタインにオススメのプレイリストを紹介する記事の執筆、そしてPR用の動画を作成しました。
AWAでは今までもクリスマスなどのイベントに合わせてSNSなどで公開する動画を作ってきたのですが、ストップモーションムービー、いわゆるコマ撮り動画にチャレンジするのは初めてのことでした。
その動画がこちら!
いかがでしょうか?
今回の記事では、このストップモーションムービ作成の裏側についてご紹介させていただきたいと思います!
▶︎企画会議
1月中旬。バレンタイン企画のメンバーが初めて全員集まりました。
その名もチーム『恋する女の子 for you』
私以外全員男性で構成されているチームです(笑)
このミーティングで全員で意見を出し合いながら、0から企画の方向性を決めていきました。
2月14日まであまり時間がないということも踏まえ、今回はバレンタインにオススメのプレイリストを紹介する記事と、SNS用の動画を作成することに。
でも、ありきたりな動画ではつまらない、
バレンタインということで若い女性からも「カワイイ」と思ってもらえるようなクリエイティブにしたいということで、カクカクした動きが特徴的なストップモーションムービーを作成することが決まりました。
ストップモーションとは、物体を1コマ毎に少しずつ動かし、撮影した「静止画」をつなぎあわせ、あたかも連続して動いているかのように見せる撮影技術です。
その場でクリエイティブの方向性が決まり、さらに詳しく話し合ったイメージを元にデザイナーの室橋さんが次回までに演出コンテを作成することになりました。
初回のミーティングはこれで終了。
どんな可愛い動画になるのか、期待に胸が膨らみます。
しかし、
解散間際、デザイナーの室橋さんがつぶやいた
「…でも、本当に大変だよ。」
という言葉の本当の意味を私は理解していなかったのでした…
▶︎事前準備
◯演出コンテ(担当:室橋)
1月下旬。室橋さんが作成してくださった演出コンテを元により具体的な構成を確認していきます。
当日の撮影もこのコンテを軸に進めていくので、演出に変更があるごとに細かく情報を加えたり修正していきます。
より細かいイメージが固まってきたところで、撮影に必要な材料や作業を確認し各自必要な準備に取り掛かりました。
◯材料集め
今回のストップモーションムービーではデジタルな素材を使わず、ポップな「手づくり感」を演出することにこだわりました。
そのため、材料は自分たちで現物を用意する必要がありました。
<今回の素材> 板チョコ、文字シール、装飾シール、リボン、マスキングテープ、 茶封筒、画用紙、アルミホイル、印刷したプレイリストのクリエイティブ
実際に見え方をテストしてみないと使うものを決定できないため、様々な質感やサイズの材料をなるべく多く買ってきます。
まず確定させる必要があったのが主役の一つである板チョコ。
市販の板チョコを買ってきて、企業名や商品名がチョコに彫られていないものを探していきます。ロゴのあったものはもちろん美味しくいただきました。
そして、無事にロゴの入ってないチョコレートが見つかり本番で使うものが決定。
チョコレートは替えが効かないので、このチョコのサイズを元にカメラテストを行いながら他の小物も決めていきます。
◯テスト&素材確定
事前のカメラテストは2回行いました。
1回目のテストでは実際に撮影した時の動きやサイズ感、編集の際のフレーム数を確認するために、仮の素材でかなりざっくりと撮影。
さらに2回目のテストでは、買った材料の中から本番の撮影で実際に使用する小物やその配置を決めていきました。主に取り掛かったのは、イントロのシーンで使用する文字シール選び。
メンバーで5種類ほどの文字シールをチョキチョキと切りながら素材を作り、全体バランスとカメラ越しの見え方を確認しながらAWA VALENTINE’S PLAYLISTの文字を選んでいきます。
完成したのがこちらの並び。
実際の撮影ではこの配置を元に文字シールを移動させていきます。
そしてこのちびっこい27枚のシールが登場する冒頭シーンに本番で非常に苦戦することになるのでした。
◯音源
テストと素材選びと並行して、音源の作成も進んでいました。
今回の動画では可愛らしいポップな演出を実現するために音ハメをしながら展開していくことにもこだわっていたので、この音源は超重要。AWA社員の知り合いの音楽家さんにオリジナル音源を依頼しました。
イメージを伝えた上で仮音源をもらい、細かいニュアンスやリズムの修正を重ねながら最終版が完成しました。
↑ 音源に関するSlackでのやりとり
なんとか事前準備が終わり、いよいよ本番の撮影日をむかえます。
▶︎撮影当日
◯カメラセット(担当:宇納)
2月5日。撮影当日にまず行ったのはカメラのセットです。
色味や明るさは動画ソフトの方でまとめて編集可能ですが、何かあった時に画像として1枚ずつ補正していくのは大変なので、できる限り「全ての写真の写りが均一になる」ことを意識してセットします。
具体的には、実際に撮影を始める前に検証してから、カメラ側の「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」「ピント」「色温度」などを全てマニュアルで固定。
さらにコマ撮りで特に重要なのは、三脚や光源の位置、背景の色画用紙などをしっかり固定しておくことです。
◯最終確認
カメラのセットが完了したら、演出コンテと音源を元に細かく想定を行いながら撮影のシミュレーションをします。
音源が約30秒で22小節なので、
22小節 x 4拍 / 30秒 * 60秒 = BPM 176 ぐらいという計算
24fpsの時は32枚必要だから
「32 x 3 枚で文字を中心まで動かそうか!」
といった具合。
この事前のシミュレーションに想定以上に時間がかかり、なかなか撮影には入れず。
しかし後から思うと、この過程をしっかりやっていることが実際の撮影では非常にポイントとなりました。
◯撮影開始!
「よし、とにかくやってみよう!」
ということで、いよいよ撮影開始。
まず「AWA VALENTINE’S PLAYLISTS」の文字が揃うまでを撮影することに。
全体の位置や撮影範囲などがずれたまま進めてしまうのを防ぐために、1人がカメラのモニターで確認をしながら、リモコンでシャッターを切るようにしました。
その他のメンバーはそれぞれが固定の位置に付き、担当する文字を少しずつ動かしていきます。
文字が真ん中に揃うまでの3小節、時間にして約5秒の動きを撮るために必要な枚数は96枚。96枚分かけて27枚のシールを中心に向かって動かしていきます。
撮影しながら撮った枚数も細かく確認していましたが、1枚1枚大きく動かしすぎて、事前に想定していたよりも早く進んでいることに気がつきます。
パソコンに取り込み、確認してみるとやはり動きも早すぎて納得のいかない結果に。最初からやり直すことになりました。
↑四方八方から文字が集まってきて、だんだんと “AWA VALENTINE’S PLAYLIST” になるのを見せたかったが、早く集まりすぎている
気を取り直し、撮影再開。テイク2ではとにかく思っている以上に細かく動かしシミュレーションの数字を守ることを意識しました。
気の遠くなるような地道な作業でしたが、
「なんか文化祭前夜みたいだね」
と言いながらワイワイと取り組みました。
もちろん、AWAで音楽を流しながら。
(そのとき流してたプレイリストはこちら!)
きりのいいところで写真を取り込んで、リアルタイムで動画としての見え方を確認しながら慎重に撮影を進めていきます。
後半は動かす方もだんだんとコツを掴んでいきスムーズに撮影が進みました。
途中、チョコレートが溶けて柔らかくなってしまうハプニングがありながらも、なんとか撮影が終了。
撮影開始から約7時間、総撮影枚数は約800枚に及びました。
▶︎事後作業
◯動画編集(担当:柳田)
撮影後にさらに待ち受ける重要な作業が、動画編集です。
編集には、Adobe AfterEffects CCを使用。
基本的には撮影した写真を1フレームずつ順番に繋げていきますが、よりスムーズな動きに見せるために写真を間引いたり、追加したりします。ストップモーション特有のカクカクした可愛い動きを失わないようにしつつ、急に移動する場面がないように調整していきます。
実際にシャッターを切ったのは800枚に対して、最終的な動画では900枚を使用。800枚しか撮影していないのに900枚使った内訳としては、調整のために同じ写真を2度使ったり、ループシーンがあったり、止めのシーン(プレイリストの拡大表示)があるためです。
さらに、チョコやプレイリストだけ色味を変えるために1フレームずつ画像の切り抜いて色を変更したり、動きと音源をぴったりと合わせていく作業を行います。
全ての編集が終了し、ついにAWAバレンタイン企画のストップモーションムービーの完成です!!
▶︎まとめ
今回AWAで初めて挑戦したストップモーションムービー。
想像以上に大変な作業が多かったですが、チーム5人で試行錯誤しながら最終的にイメージ通りの動画を完成させることができました。
「恋する女の子 for you」チームのワイワイした雰囲気だからこそ長丁場も楽しく、放課後の教室みたいでした!
そして手間と時間のかかる工程も妥協せずクリエイティブのクオリティーを追求する姿勢に、内定者として勉強になることが多かったです。
また、今回手さぐりでチャレンジしたことで、次回に活かせるポイントや注意すべき点も学ぶことができました。ただしばらくは誰もやりたがらないと思いますが、、、笑
皆さんもストップモーションムービーに挑戦してみてはいかがでしょうか?