こんにちは。サイバーエージェント デザイナーの渡辺です。
今回はスピード&クオリティをモットーに制作した脳トレパズル『monster block』のキャラクターデザインについてご紹介したいと思います。
『monster block』とは? 新感覚の脳トレパズル。宇宙に散らばっている全てのブロックを、1球のボールで消すことが出来たらステージクリアです。クリアする毎に1体のモンスターに出会え、様々な難易度のステージを全てクリアすると100体以上のモンスターに出会えます。 [App Store] [Google Play]
『monster block』の開発チームはデザイナー1人、エンジニア1人、プロデューサー1人の3名体制。スピード&クオリティ重視の開発ということで、アプリ1本を1.5か月くらいでリリースできるのが理想だと話し合っていました。
1.5か月で全て完成させてリリースをするためには、エンジニアの工数なども逆算するとデザイナーの仕事はだいたい0.5か月で終わらせたいところです。
デザイナーの仕事は簡単に分けると
・UIデザインやインゲームのステージデザイン
・各ステージイラスト
・モンスターのイラスト
・バナー類
などなど。
というわけで、まずはちゃちゃっとモンスター100体のイラスト(+モンスター名とプロフィール)を描き終えなければいけません。
そこで、モンスター1体にかけられる工数を逆算してささっと洗い出すことに。
・・・・ん?
・・・・・・・・んん?
12分?
(計算やり直し中)
(もう一回計算やり直し中)
1体12分???
うん・・・
うんうん・・・
12分ね・・・
できるかー!
となったところで、、ひとまず外の空気を吸いに行きました。
たまたま「おら、ワクワクすっぞ」の考え方を知ってたので、逃げたかったけど渋々作業を開始することにしました。
■イラスト制作時間の短縮のために
1体12分ということは1日8時間労働計算で2.5日です。
まずは作業をどう進めるかここでもちゃちゃっと決めました。
1日目:ラフを手描きで100体描く「おら、ワクワクすっぞ」
2日目:70体をIllustratorで清書「おら、ワクワクすっぞ」
3日目(半日):30体をIllustratorで清書「おら、ワクワクすっぞ」
この後に控えているUIデザイン、ステージデザインなども同じようなスケジュールが待っているため、予定に影響が出ないよう確実に終わらせなければいけないワクワクする3日間ですね。
1日目
ワクワクのラフ100体スタートです。
じっくり考える余裕はありません。まずは何か形を描きそれをモンスターにすることにしました。1体描いてる間に次の1体をふんわり考える。この繰り返しです。
基本は「無」でとにかく描くんですが、ラフを描いている時に毛が生えているモンスターやツノが生えているモンスターなど自分の中でざっくり種族わけのようなことを意識しながら描きました。
産みの苦しみを初めて知りました。母は偉大です。
2日目
前日生んだ100体の子供達(もはや血を分けた子供です)をIllustratorを使って清書します。
作業スピードとクオリティーを上げるためにいろいろ先に決めました。
【使用カラーの統一と基本ルール決め】
■使用カラー
モンスターたちに統一感を出すために使う色を先に決め、どの色の組み合わせでも変にならないようにし、1体1体に使用するメインカラー数を3色までに限定しました。
(例外もあります。もっと色を欲しがる欲しがりモンスターです。)
■基本ルール
・目の統一
・口手足、模様などをパーツ化
・毛が生えているモンスターの毛質感の統一
・光の方向
あとはラフで気に入らなかったところをIllustratorで修正しながら、模様などはその場で考えて清書していきました。
模様に関しては、ステージデザインをする際にパズルブロックのデザインにも影響してくるところなので、書き込みの少ないモンスターにはなるべくいろんな模様のブロックが作れるようにし、模様の種類も簡単で使いまわしの効く形を描きました。
最初の20体くらいまではちょっと遅れ気味かなあと思いつつもがんばって描き進めていくと、使い回せそうなパーツが結構出てきます。
なので下記画像のように同じパーツを使いまわしたり、少し形を変えるだけでモンスターが描けるようになります。
Illustratorでパスを細かく打つだけでも時間がかかってしまうので、何でもかんでも使い回すとさらにスピードも上がるし、同じパーツを使い回すことによりモンスターにも統一感が出てきます。
MOTTAINAIの精神ですね。
3日目(半日)
残り30体を清書します。たかが3日です。されど3日です。3日目は「おら、ワクワクすっぞ」って言ってた人はただのヘンタイなんじゃないかと思っていました。
だっるーと思いつつ作業を始めてみたら、だいぶパーツも集まってきてて、ラフとはちょっと違うけど(むしろラフより良くなった)パーツを使いまわして結構簡単にモンスターを描くことができました。
出来上がったモンスター達がこちら。
といった感じで、無事2.5日でモンスターのイラスト100体を描き終えました。
あとは家でお酒を飲みながらモンスター達を思い浮かべると自然とモンスターの名前と設定が思い浮かんだので、メモしました。決してお酒の力ではございません。モンスターとの対話に成功しました。ヒック。
というわけで、その後もチームみんなでめちゃくちゃがんばって1.5か月でリリースすることができました。
ブラックじゃん!社畜じゃん!って思った方もいるかもしれませんが、そーいうわけでもないんです。休みの日のが好きだし。開発コストを抑えるためにスピード&クオリティをモットーにつくろー!って立ち上がった企画なので、残業したりスケジュール調整はすぐ調整できたりするんですけど、それじゃ面白くないので、『monster block』は最初の予定通りに出したいなと思ってみんなでがんばりました。
最近では『monster block』に続き、『ぼくたちカラフル整列クラブ!』という小学生を使ってナンプレをするゲームをリリースしたり(デザイン、イラストを担当)、春にはまた新しいゲームをリリースする予定です。(こちらはイラストのディレクションとデザインを担当中)
どちらのサービスもmonster blockと同様にワクワクしながら作りました。ぜひダウンロードして遊んでみてください。
担当したアプリ ■famchatty - 自分でつくるキャラスタンプ [App Store] [Google Play] ■monster block - が良くなる新感覚ブロックパズル! [App Store] [Google Play] ■ぼくたちカラフル整列クラブ - 右脳系ナンプレ [App Store] [Google Play]