こんにちは、新規事業をつくるクリエイターチーム(CAFS)のデザイナー井上です。今回は、一人の能力をクリエイター組織全体に拡げる仕組みのお話です。
僕たちが所属するメディア部門のクリエイターも、気がつけば80名余りが所属する組織になりました。
また、各々のスキル領域も様々で、最近ではAbemaTVの番組アートワーク(先日の記事でも紹介された大相撲番組など)を手がけるグラフィックデザイナー、モーショングラフィッカーなども多く所属してます。
2〜3年前までのUIやUXを突き詰めるデザイナーが、殆どを占めていた時代とは少しづつかわり、メディアのアートワークを細部まで仕上げる、ビジュアルコミュニケーション能力が底上げされたクリエイター組織へと進化しています。
そんな多様化されつづける組織の中で、もっと個人の個性やスキル、アイデアを引き出し、横軸のクリエイターへ波及させる仕組みを強化しています。
その組織づくりの一環として、クリエイターハングアウト(Hangout)と呼ばれるコミュニティを運営しています。
クリエイターハングアウトとは?
Hangout(たまり場、たむろする場所)
という事で、80名のクリエイターを10人前後のグループに分け7つのグループを作ります。これがハングアウトの一単位となります。
そろそろ8グループでも良いかと思っています。。
ポイントとしてハングアウトのメンバーは、なるべく日々の業務では関わらないメンバーで構成することです。
それぞれのハングアウトには“MC”と呼ばれるグループをリードしていく役割が存在します。
活動内容としては、MCが中心となり日々のデザイン共有会や勉強会などのイベントを開催しています。
更に7人のMCは、毎週各グループのメンバーが今取り組んでいるスキル、困っている事、次のイベント企画などのトピックスを交換し各グループへ持ち帰ります。
つまり、一人の声が有機的にメンバーをクロスして届いていく仕組みとなっています。
クリエイターの属性公開
コミュニティづくりについてを深掘りする前に、どんなクリエイターがハングアウトに集っているのか?
メディア事業のクリエイターの属性をグラフで紹介します。
現在、サービスに関わるUI・UXデザイナー、グラフィックデザイナー、モーショングラフィッカー、イラストレーターなど大きく4種クリエイターが所属しています。
UI・UX以外のクリエイターが増えてきた近年ではありますが、全て1から採用をしているわけではなく、新たなチャレンジとして他の職種に転向するケースも珍しくありません。
続いて世代別と男女比です。
20代が多く、若い組織に見られることが多いようですが、20代後半と30代前半のバランスがほぼ均等となってきているようです。また、男女比もほぼ同じのようです。
新卒採用も積極的な会社ですが、グラフで見ると中途クリエイターもかなり多いことがわかります。
このようにスキル領域だけでなく、様々な経験や世代、性別など様々な属性のクリエイターが在籍しています。
コクリエイターミュニティづくり5つの要素
さて、それではハングアウトというコミュニティに集まる意味やモチベーションの保ち方、活性化について普段から意識していることを5つのキーワードにしてまとめてみました。
1) Small talk
2) Be flat
3) Get shuffle
4) Throw in
5) More activity
それでは、一つ一つ説明していきたいと思います。
Small talk
雑談の中にこそ宝がある!ハングアウトが少人数のグループに分かれる理由はまさにコレと言えます。
マニアックな知識やTipsは、より少人数の会話から突如として出現します。
自分の中では当たり前だと思っている事も、それが思いのほか知られていない情報だったりします。
特にデザイナーは自尊心への防衛反応が高く、余計な発言で自分の能力を測られることを嫌います。またギークで職人気質なデザイナーほどシャイだったりします。
以前、どうせ共有するなら善かれと思い、大勢でTips共有会をおこないましたが、全く盛り上がりませんでした。。
他にも、会の準備をし過ぎてハードルを上げ過ぎない事も重要です。
なるべくニュートラルでリラックスしたコミュニケーションを目指します。
Be flat
ハングアウトに集まるメンバーは、年齢にバラツキがあるものの、直接の上司や後輩は避けているため上下関係はありません。
そのため、会の中での発言や意見を現場へ強制することもありません。
特にデザインのレビューは、クロスレビューの場として活用されます。
1人が出すアウトプットに対して、全員が同じ距離感で意見をかわします。
ここでは、出した本人も同じ距離感を保つことが重要です。
時には否定的な意見をもらう事もありますが、一意見として現場に持ち帰ることができます。
また、一人の自由な発案からユニークなイベントや勉強会が開催されることがあります。
個人を尊重し実行することによって、よりアクティブなコミュニティが生まれます。
Get shuffle
コミュニティには鮮度があります。
いつも発言するメンバー、いつも聞き手にまわるメンバーなど、それぞれのキャラクターが少しづつ形成されていきます。
これは、輪を保つためには悪いことではありませんが、安定のポジションをみつけると、人は活動性が低下していきます。
また、グループ内での役割が定着するにつれて、少しづつコミュニケーションも固定化されていきます。
そのためハングアウトでは、半年に一度メンバーとMCのシャッフルを行います。
MCのシャッフルは、必ずしもシニアから選出するわけではなく、若手からも選出されます。
終わりがあってこそチャレンジできるコミュニティが生まれるという事です。
Throw in
Slackに気になったトピックを投げる事です。
普段から気軽に情報共有し、共通の話題を持つ事で実際に集まった時の会話に広がりが生まれます。
こちらも、チャンネル内の人数は多すぎないほうが良いでしょう。
「これは当然、周知されている情報だ」と決めつけて投稿を躊躇ってしまうケースがあるかと思います。
Slackにトピックを提供してくれるメンバーに全力で反応して、チャンネルを温める事が、実はコミュニティを活性化させる近道だったりします。
また、共有された情報がMCを介して、別のハングアウトへと伝わり波紋が広がって行く様子もよく見かけます。
80名の目で世の中のトレンドをキャッチアップし、情報共有できる環境が、僕らのクリエイター組織の最大の強みかもしれません。
More activity
ハングアウトがシャッフルされ、新たに再結成されると、よく耳にするのは「あの時はこんなことやった」逆に「あれは失敗だったね」など、前ハングアウトを振り返る声です。
実際に、それぞれのハングアウトではオリジナルの活動やイベントが行われています。
・イベント見学 ・他社見学 ・読書会 ・撮影勉強会 ・モックアップ勉強会 ・価値観ババ抜き ・テラリウムづくり(→記事はこちら) etc.
こうしたメンバーの中から生まれる活動を実行していくことで、次への可能性を残しながら、長くコミュニティを続かせるモチベーションへと変えることができます。
まとめ
IT業界の中でも、ここまでの大きさクリエイター組織はそう多くはないと思います。
しかし、ハングアウトの仕組みは、大規模組織が抱えるコミュニケーション不足の解消のために生まれたわけではありません。
ハングアウトが掲げるテーマは「きっかけが見つかる場所」です。個々のクリエイターが持っている個性やスキルを多角的な視点から知ることができるコミュニティ運営のフレームワークです。
クリエイター同士が刺激しあい化学反応を起こしながら、新たなアウトプットを生み出し、成長に繋げていくことができると言うことです。
そんな環境が、サイバーエージェントのクリエイター文化なのかもしれません。
おまけ
最後にハングアウトグループとMCの紹介です。今期はこのメンバーでお送りしております! YEAH!!!
1) mc inoooe (→この人の記事)
これ私です。デザイン共有とイベントをバランス良く行います。雑談をひとり言のように永遠と話し、話題を引き出します。
2) mc hysk (→この人の記事)
女性リーダー2トップで大人なメンバーを引っ張ります。落ち着きがあり安定感のあるハングアウトとして定評があります。
3) mc Jesus (→この人の記事)
MCはジーザスと呼ばれています。奇想天外なアイデアと斬新なイベントを創造し、新たなスキルの開眼を目指します。
4) mc ippei
マニアックな趣味の話題から仕事の話まで、元祖癒し系MCがメンバーの人となりを引き出し、輪を作り上げます。
5) mc bushi
武士と呼ばれるベテランデザイナーが、クリエイティブの本質に切り込みます。多彩な趣味の話題も多く、深みのあるハングアウトです。
6) mc zaki(→この人の記事)
マメなイベント活動に定評があります。それぞれのイベントの質も高く、クリエイティブ以外でも為になる内容もあります。
7) mc tkhr(→この人の記事)
若手女性が中心となり独特な切り口で話題を生み出します。多少のやり過ぎも無礼講の元気なコミュニティです。
個性的なネーミングもありますが・・・
気になる方は個人的にお答えします! メッセージください(→ @ino8001)
ここまで読んでいただきありがとうございました!!