初めまして、16入社「読書のお時間です」のUIデザイナーの何(か)です。
12月頭に開催され、盛り上がりを見せたデザインカンファレンス「Designship 2018」。デザイナーの役割やデザインの考え方についての話が多く、非常に学びの多い時間になりました。
サイバーエージェントからも、執行役員 佐藤 洋介とアートディレクター 前澤 拓馬が登壇。
クリエイティブを競争力に デザイナーを10倍輝かせる組織作り|株式会社サイバーエージェント 佐藤 洋介
これまでのスタンダード、これからのスタンダード AbemaTVが目指すクオリティについて|株式会社サイバーエージェント 前澤 拓馬
企業ブースも出展し、Designship参加者限定のクリエイティブ拠点オフィス「Chateau Ameba(シャトーアメーバ)」見学会企画とプロトタイピングツールに関するアンケートボードを行いました。
来場者のみなさまにお使いのプロトタイピングツールにご回答いただいた結果はこちら!
私は2日目に参戦しましたので、印象に残ったセッションの要点をまとめました。
生鮮ECのクックパッドマート式、変化の激しさに耐えられる新規事業の進め方|クックパッド株式会社 米田 哲丈さん
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cookpad martについて
野菜や肉などを注文できるEC
仮説を検証しながら、サービスを改善できるポイントを考える
最初は駅のロッカーからスタートし、家の近くに受け取れる店舗を展開
受け取りの形も、最初はクーラーボックスでのちにコンテナに変わった
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変化の激しい新規事業の進め方
意思に偏りのあるヒエラルキー型からホラクラシー型を採用
さらに、課題解決をするため小さい単位のすり合わせ部隊を作る
スタンドプレーが結果的にチームプレーになる
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デザイナーの役割
ゴールの解像度を上げること
イメージボートを作る、未来のデザインを考え、ストーリーボードを作るなど、様々な方法がある
解像度の高いゴールは、よりスピード感のある開発に繋がる
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感想
チームでゴールイメージを具体化することで開発スピードが上がり、激しい変化の起こる新規事業でも開発がスムーズに進められる。
ゴールイメージをより解像度高く具体化するというのは、デザイナーのチームでの重要な役割である、ということを再認識しました。
体験価値をより高めるこれからのプロダクトデザイン|RYOTA YOKOZEKI STUDIO 横関 亮太さん
ソニー(株)クリエイティブセンターを経て、昨年RYOTA YOKOZEKI STUDIOを設立された横関さん。
ソニーでの経験を踏まえ、体験価値を最大化させ、よりプロダクトの魅力を伝えるこれからのプロダクトデザインについてお話されました。
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写真でコンセプトを伝える
陶器x家電という発想で作られたアロマディフューザー
見た目はすごくシンプルだが、機能性と美しさを兼備したプロダクト
ビジュアルで拡散する世界で、プロダクトのよさを写真に納めて伝わるのは大事なこと
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SONYのヘッドフォン
肩に乗せるタイプのスピーカー
プロセスは平面から3Dデザインするもの
ボタンは見なくてもわかるよう、従来の丸いボタンではなく、アイコンを大きくし、触感でボタンと判断できるデザインにした
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リモコンの再デザイン
本当に使う部分をフォーカスし、プロダクトに足し算、引き算すること
そうすることで、見た目がスッキリとシンプルになる
Sonyのリモコンのデザインは、本当に使うボタンから考え7つのボタンに絞った
使用頻度でレイヤーを分け、ユーザーが迷わない見た目に
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感想
プロダクトに機能を盛り込みすぎると、便利さよりもユーザーを困惑させる可能性がある。一個機能を足したら、他の機能を見直す、くらいのスタンスが必要になるのではと感じました。
またプロセスと機能性を重視すると、より良いプロダクトになると共に、プロダクトの体験価値を高めることにも繋がるのではと思いました。
ロンドン歴18年の日本人が学んだ欧米のデジタルデザイン|フリーランスクリエイティブディレクター 難波 謙太さん
難波さんからは、海外での経験を元にしたデザイナーの役割、働き方、組織のあり方についてのお話でした。
グッドパッチさんでデザイナーの育成にも取り組まれている難波さん。この話を通して、デザイナーやデザインマネジャーの飛躍のキッカケになればとおっしゃっていたのが印象的でした。
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デザイナーはビジュアルを作るだけではない
デザイナーはブランド戦略から企画を考える人、企画を売る人、形にする人である
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デザイナーが昇進する際にデザインできなくなる問題
デザイナーは本来ものつくりが好きなのに、日本ではデザイナーのキャリアパスがマネージャーになっていき、プレイヤーではなくなるという問題がある
海外ではそうではなく、マネジャーにならなくても、クリエティブディレクター役職になって、現場と近い距離ところにいられる
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言語化の重要性
デザイナーも、ブランド・コンセプトからしっかり考えないと、スカスカなデザインになってしまう
分業せずに、上流から一緒に考え作るのは大切である
さらに、作ったものをしっかり言語化し、言葉で伝えることも重要
デザイナーは作ったものを言葉で伝えるトレーニングをするべき
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感想
デザインは作るだけではなく、作ったものを世の中に説明しないといけない。それがデザイナーしかできない仕事であるとお話されていました。
自分も言語化するにが苦手で、今期の目標の1つに「自分のデザインを皆に説明し、伝えるようになる」ことと決めています。
変身歌舞伎の体験設計 ―「観る」から「体験する」へ。歌舞伎の魅力を世界に発信|NTTサービスエボリューション研究所 橋口 恭子さん
歌舞伎の魅力を世界に広めるため、歌舞伎俳優になったかのような体験を提供するインタラクション「変身歌舞伎」を手がけられている橋口さん。
歌舞伎を「観る」から「体験する」に変えた「変身歌舞伎」。ユーザの気持ちを動かす体験設計の秘訣についてお話されました。
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プロジェクトの目標
一目で歌舞伎の魅力を伝える
日本の文化を知らない外国人が、日本文化を近くに感じられる
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2ヶ月という短い開発期間
体験の流れに沿って、A面~E面と名付けて、プロジェクトを小さく分割した
ストーリープロトタイプを2日間という短い時間で仕上げた
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チームメンバーと密度高いコミュニケーションをとりながらの進め方
全てのプロセスを簡単な絵にして、わかりやすくチームに共有した
A面のお面は調査と簡単ペーパープロトタイプを作って壁に貼り、チームでレビューし、ブラッシュアップ
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「転」「隙」「論理と直感」という3つのポイント
「転」ユーザーの流れ導線を意識し、考えながらデザイン進む
「隙」隙間を残し、ユーザーと親しみところを作る
「論理と直感」メンバーの思考共有、パターンを考えてチーム作り
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感想
橋口さんはUXリサーチャー。セッション中繰り返しおっしゃっていた言葉は「絵は下手でもいいので、伝わることが重要」でした。
全ての観客に新しい体験を提供し、そして感動を心に残すという橋口さんの思いを強く感じました。ゴールを明確化し、チーム内で共有できてこそ実現できたスピード開発だと思いました。
プロジェクトが育つ共創空間のデザイン手法 「リアルスケール・プロトタイピング」のススメ|岩沢兄弟・有限会社バッタネイション 岩沢 卓さん
インテリアデザイン・家具デザインを手がける岩沢兄弟の岩沢 卓さん。
プロダクトは常に成長していくため、明確なゴールを配置しないというお話が印象的なセッションでした。
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明確なゴールを配置しないように
自由な使い方を誘発する空間の仕掛けは大事
人と人のコミュニケーションが生まれるような空間作りが必要
「リサーチしてる時はゴールなんてわらないので、一旦置いてみよう」
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空間作りのプロセスを共有する
いけてる空間、おしゃれな空間を作りたいが、それだけではなく共創な空間を作る
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感想
頭で考えて時間をかけても、いい案が浮かべないことはデザイナーの誰しもが経験したことがあると思います。
しかし岩沢さんの話を聞いたら、行動のハードルを下げて、やってみてから軌道修正する方が実はいい結果がでるかもしれません。まずやってみることは、難しいことだと思いますが、とにかくどんどん手を動かすことが大事だと感じました。
Designshipでのセッションを通して、さまざまな視点から、デザインの立場やチーム作りの話を聞きました。
このように業界を超えて、デザイナー同士が自身の経験や思想を発信し合う場は、とても有意義かつ重要な機会だと感じました。セッションの話を紹介するボードもわかりやすかったです。
デザイナーは作り手だけではなく、作ったものを言語化しないといけない責任があります。
私自身まだまだ言語化や発信は苦手なので、これからも自分のデザイン能力共に磨いていきたいと思います。