こんにちは、サイバーエージェントのゲーム・エンターテインメント事業部(通称SGE)サウンドユニオンの河野(かわの)です!

普段はゲーム子会社である株式会社グレンジにて、作編曲、効果音作成、MA(Multi Audio)や生配信のPA(音響)など、サウンドに関わることならなんでもやっています。

この記事では、普段はなかなか見えづらい、アプリ制作におけるサウンド面についてご紹介します。

 

「SGEサウンドユニオン」結成

スマートフォンアプリにおけるサウンドの重要性、必要性は年々高まってきており、サイバーエージェントグループの各ゲーム子会社でも、サウンドチームの創設や収録スタジオの設営、サウンドクリエイター採用など、サウンド部門の強化は必須になってきています。

そんな中、SGEでは、アプリサウンドのバリュー向上、クオリティ向上を目的とした子会社を横断する組織、「SGE サウンドユニオン」が2019年に結成されました。

そして、サウンドデザイン啓蒙活動の一環として、「SGE Sound Jam」略して「サンジャム」という社内勉強会を行っています。

 

サウンドデザインにおける大切なこと

「サウンドクリエイター」と聞くと、どうしても「楽曲を作る人」というイメージかとは思いますが、先ほど「サウンドデザイン」という言い方をしたように、サウンドにはデザイン的な要素が非常に多いです。

 

 

起動時のジングル、タップ音、オープニングの楽曲、キャラクターのボイス、などなど、アプリに込められたサウンドはたくさんあります。それらたくさんの音要素で、アプリの世界観や、「ユーザーにどう感じて欲しいか」「どうしたら解りやすいか」などをサウンドでデザインしていきます。

「どのような音」を「どのような場面」で「どのくらいの大きさ」で「どのくらいの長さで再生するのか」で人間の感情は大きく動きます。

楽曲はあくまでアプリ内のサウンドの一部にすぎません。

 

 

足音一つとっても(足音は非常に深い分野なんです)、「アニメのキャラクターのようにコミカルに鳴らす」「残響をたっぷりつけて意味ありげに鳴らす」などいろいろな表現があります。

それらを状況によって使い分け、よりイメージしやすいように演出していきます。

楽曲も同様にテンポや楽器編成など、様々な要素を用いてその状況を表現します。

 

サウンドの伝え方

音を言葉で伝え、意図を正確に伝えるのは非常に難しいです。

例えば「きれいな曲(音)」という言葉一つとっても、人によってイメージするものは全然違ってきます。

「かっこいい曲」「暗い曲」なども同様で、意図というより感想に近く、「良い曲」に至っては何の説明にもなってません。

サウンドをデザインしていく上で、関わるメンバーの意識の共通化は必須であり、その伝え方も一つ間違えると、とんでもない方向に行ってしまいます。

先日行ったサンジャムでは、「架空のBGMのオーダー」という形で、参加者に実際にオーダーを作成してもらい、サウンドユニオンメンバーが制作側としてそれぞれのイメージのすり合わせを行いました。

 

 

そして、サウンドクリエイターはオーダーを受けてどのように作成するのか、サウンドクリエイター/ゲームデザイナーの前田尚紀さんに実際にDAW(ダウ、音楽制作ソフトの通称)を立ち上げてもらい、作曲の初期段階であるスケッチを作成しました。

 

「百聞は一見に如かず」という言葉通り、クリエイターが指示をどう受け取り、どのように楽曲に反映されていくかがリアルタイムで見え、非常に解りやすく、好評でした。

 

サウンドディレクションの難しさ

サンジャムでは毎回参加者にアンケートを実施しているのですが、制作の依頼側、発注する側の社員が多いです。

そのほとんどが、サウンドクリエイターとのやり取りの中で、イメージが伝わらないことに悩んでいます。伝え方の問題もありますし、最低限の音楽用語の知識も必要になります。

例えば「速いリズム」という伝え方。

一見よく使いそうな言葉ですが、「テンポは変えないで、疾走感を出して欲しい」のか「構成は変えないでテンポを速くして欲しい」なのか、どちらにも捉えられそうです。

こういった用語解説や、リテイクの際の希望の伝え方など、サウンドディレクションに特化した内容も、今後のサンジャムで扱っていきたいと考えています。

アプリのクオリティを左右する「サウンドデザイン」

ゲームを含む、スマートフォンアプリのサウンドデザインの重要性とその認知度は、「世間的にまだまだ低いのでは?」と個人的に感じています。

というよりも、

「大事なのはわかるんだけど、何をどうしていいのかわからない」といった、伝え方の部分が分からない方が多いのではないかと思います。

アプリを構成する要素は

「画面」(視覚)

「操作」(触覚)

「音声」(聴覚)

の3つがほとんどを占めます。

その一角を担うサウンドという分野。

サウンドのクオリティは、そのままアプリのクオリティに直結します。

「アプリのクオリティを高めたい!」

その要求に答えられるように今後も、サンジャムの内容をより良いものに仕立てていきたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。