フードテックワークショップ開催
AI Labの岩本です.先日慶應大学とフードテックワークショップを開催したことを報告します.
フードテック(食品や食事を拡張する技術)は,近年著しい発展をしており,多くの技術が発表されています.頻繁に新しい食体験が発表されており,とても注目されている領域です.
明治大学:調理家電に調味機構を付加するオープンソースハードウェア
MIT:Shapeshifting Pasta
食事は我々の生活にとって最も身近な行為の1つであり,テクノロジにより新しい表現や食体験を作りだすことで大きな影響をあたえると考えています.そこで私が所属するHCIゼミでもフードテックに関連するプロジェクトをスタートさせるために慶應大学メディアデザインのFuture Craftsと共同でフードテックのアイデアソンとハッカソンを開催しました.
CAゼミ制度とは:大学における研究室やゼミのように興味関心のある研究テーマを軸にゼミ生が集まり,研究テーマに沿って活動を行う制度です.事業部やサービス単位では着手が難しい領域への技術的な取り組みや、技術者の知識向上が期待されます.
アイデアソン
慶應大学から20名,HCIゼミから3名が前菜チーム,スープチーム,メインチーム,デザートチームの4チームに別れてアイデアを出しました.オンライン開催でしたが非常に多くのアイデアが考え出されました.オンラインホワイトボードも非常に活発に活用されていました.
ハッカソン
アイデアソンの約2ヶ月後にアイデアの実現に向けて1dayのハッカソンを開催しました.
コース料理の各パート(前菜・スープ・メイン・デザート)で実食可能な料理を試作することを目指し、各チームが料理・技術両面で知恵を振り絞りました。
サイバーエージェントのメンバーは前菜チーム・メインチーム・デザートチームに一人ずつ参画し、主に以下のような技術支援を行いました。
前菜チーム
前菜チームに所属していた @kohtaro24 は、前菜の食材や形状を試食者の好みにカスタマイズできるアプリケーションを開発しました。
アプリケーションはモバイルオーダーシステムを兼ねており、試食者が入力した情報をシェフに伝達し、さらに前菜を盛り付けるための型を自動的に変形させます。
この仕組みにより、試食者自身の創造性で料理が変化するという面白い仕組みを開発できました。
メインチーム
メインチームの鵜口はアイデア出しに加え、検証〜ハッカソン本番時に使用する映像出力コントローラーの開発を担当しました。
仕組みとしては, PC・スマートフォンから Firebase の Cloud Firestore を経由してタブレット上の映像を遠隔操作操作指示を出せるようになっています。
ハッカソン当日はプレゼンシナリオの都合上惜しくも未使用でしたが、マイコン連動も可能にしています。
メインチームの Future Crafts メンバーは, 熱心に試行錯誤を繰り返すことでさらに新しいアイデアが生まれてブラッシュアップされていく, という非常に理想的なサイクルでハッカソン当日まで進められました。
イベント当日も, 参加メンバー全員が揃って実際の食材に工夫を加える中で見つけた新しい発見をうまく組み込むことができました。
デザートチーム
デザートチームの山口は案出しから検証、スピーカー搭載のマイコンを使った料理の音声演出等を担当しました。
デザートチームは参加してくれたFuture Craftsメンバーの発想力と熱意がすばらしく、チームで事前検証を繰り返しました。
数々の失敗も糧にして最終的には「フードのデザインとは」「ストーリーとは」「マテリアルと向き合う時間が重要」など深く思考し当日のハッカソンを迎えられました。
開発時間が終了し,各チームの発表と実食を行い山岡先生に審査してもらいました.作られたものは非常に面白いのですが,今後研究や特許申請の可能性があることから部分的な公開になります.正式に発表できる日はそう遠くないと思うので楽しみにお待ちください.
Future Craftsのクリエイティブティと弊社の技術力がうまくコラボレーションすることができ,2ヶ月弱で実装まですることができました.料理をメディアとして捉えることでより美味しく楽しめる可能性を感じました.どのチームも非常にクオリティが高く甲乙付け難かったのですが,最終的にデザートチームに優秀賞が送られました.みなさんお疲れ様でした!
HCIゼミではこれからも新しい技術に触れる機会を増やし,学会や展示会などに積極的に参加していきます.