この記事は CyberAgent Developers Advent Calendar 2023 2日目の記事です。
こんにちは、サイバーエージェント Developer Productivity室の@kentakzoukaです。
弊社では2023年4月よりコード生成ツールであるGitHub Copilotの導入を全社で順次進めています。本記事執筆時点の2023年12月1日時点で800以上のアカウントが使用しています。本記事では弊社におけるGitHub Copilotの導入までの社内フローの整備や利用状況の把握、利用促進の取り組みをどのように行ってきたかをお伝えします。
2023年2月 GitHub Copilot for Businessが一般提供
すでに個人向けにGitHub Copilotは提供されていましたが、Enterprise向けのプランであるGitHub Copilot for Businessが一般提供となりました。これまでプライベートでCopilotを利用してきたユーザーを中心に業務においても利用したいという声が以前から上がっていたこともあり、導入に向けて社内のコードの取り扱いポリシーがCopilotの利用において問題がないか確認するなど話が進んでいきました。
2023-03 社内の一部プロジェクトで試験導入開始
まずは社内の一部のプロジェクトで試験的に導入を開始しました。
2023-04 全社導入開始
GitHub Copilotに限らず、社内で生成AIの業務での利用を進めるためのガイドラインを策定し、最初のバージョンをリリースしました。これによって各生成AIツールにどのようなデータをインプットに与えてよいのか、また逆に使ってはいけないのかが明確化され、社員が各ツールを安心して使えるようになりました。
GitHub Copilotに関しては導入に向けて利用申請/請求フローが整備され、全社導入が開始されました。
GitHub Copilotの利用申請
ここで弊社でどのように各OrganizationがCopilotを有効化しているかを説明します。まず前提として、基本的に弊社では様々な部署・子会社が個別の状況にあわせて自由に使用するツールを決めることができます。それに従ってCopilotを導入するかどうかは各Organizationごとに判断しています。実際の導入フローはOrganizationの担当者がEnterprise管理者へ社内公開されたリポジトリのGitHub Issueで利用申請をする流れになります。Issueを作成する際には社内の生成AIガイドラインとGithub Copilot for Businessについての概要と注意点が書かれたドキュメントを読むことが求められます。
依頼を受けたEnterprise管理者は対象となるOrganizationのGithub Copilotを有効にしてIssueをクローズします。
Organization内でどのユーザーに対してCopilotを有効にするかは各Organizationに一任しています。実際にはOrganization内でユーザー毎に申請ベースで有効にしているところもあれば、Github Teamに対してガバっと有効にしているところもあり、運用方法はさまざまです。
社内勉強会で利用促進を横展開する
先行して導入を開始したチームが社内勉強会を開催し、Copilotのメリットや便利な使い方、利用にあたっての注意点を発表しました。勉強会の動画や資料はアーカイブとして残されて他チームへの横展開されていきました。
2023年7月 利用状況の把握と導入促進の加速
ある程度、社内の利用が進んできたこの時期、どの程度Copilotが浸透しているのか利用状況を把握して、使っていないチームやメンバーへの導入を促進する取り組みが動き出していました。ちょうどこの頃にCopilot for BusinessのAPIがベータ版でリリースされ、今までできなかった全社を対象とした利用状況の把握が可能になりました。
この時点でのOrg毎のCopilotの導入率は33%でした。
データの整備
上記の導入率を出したときには様々なOrganizationが含まれていました。例えば、
- アーカイブ目的/アクティブな開発をしていない
- 全員が兼務で
- その他プロジェクトの事情で導入しない
などの理由でCopilotを有効にすべきでないOrganizationです。より正確な導入率を把握するため、これらのOrganizationを計測対象から外していきました。またユーザーに関してもボットユーザーや閲覧目的で業務でコードを日々書いていないユーザーを計測非対象にしていきました。
2023年9-10月 利用促進のためイベントを開催
社内でのさらなる利用拡大を目指して社内イベントを開催し、GitHub様からCopilotを使いこなすための発表を行っていただきました。
さらに、GitHub x サイバーエージェント共催でイベントを開催し、弊社からも発表やパネルディスカッションで参加しました。こちらのイベントも大変好評で多くの方にご参加いただきました。発表では社内でCopilotを圧倒的に活用しているチームの使い方など、私としても大変参考になる内容でした。
利用促進に向けて地道に取り組む
各管轄の担当者と連絡を取り、Organization毎の利用率をどのように挙げられるかを相談し管轄毎の利用促進をお願いしていきました。それと平行してデータ上記のデータ整備もコツコツと進めていきました。
利用していない理由を調査するためにアンケートを実施し、「使い方がわからない」、「忙しくて試す時間がない」などの理由で利用開始ができていない人が多いことがわかり、アンケートを回答いただいたかたに利用方法を周知しました。(ちなみにアンケートでは「ローカルでモデルを実行する予定のため不要」という猛者もいました。すごい!)
まとめ
2023年11月末時点で計測対象のOrgのCopilot有効率は90%を超え、アカウント毎の利用率は70%になりました。
生成AIの技術は日々新しいツールが発表されており、先日のGitHub Universeの発表でもこれからGitHub Copilot Workspaceなどの超絶便利そうな機能がリリース予定とのことで、今後も目が話せません。こうした開発生産性を向上させるツールを積極的に取り入れることで、これまで以上に新規機能の素早い開発が可能になり、世の中に価値を届けることで事業貢献につながっていくと思います。個人としても常にアンテナを張って新しいツールをどんどんと取り入れていきたいですし、Developer Productivity室としても組織的に導入を進めていきたいです!