株式会社サイバーエージェントメディア事業部 Data Science Centerに所属しているデータサイエンティストの武内です。本記事では2023年9月4日に開催された「メディアサービスにおけるデータ・AIの活用事例 #3」というイベントについての開催レポートをお届けします。
今回で3回目の開催となる本イベントは、過去最大の参加応募数 241人となりました!ご参加いただいた方誠にありがとうございました。
イベント概要
CyberAgentのメディア事業部では、メディアデータを活用した機械学習サービスやデータサイエンスに取り組んでいます。 本イベントでは、当社のメディア事業であるABEMA、WINTICKET、タップルで実際に取り組んでいるデータ活用について、現場のMLエンジニア、データサイエンティスト、リサーチャーが紹介しました。
第3回目となる今回は、初めてのオフラインとオンラインのハイブリット開催形式での実施となりました。事例紹介LTの後には、オフライン参加限定で懇親会も実施しました。
以下、事例紹介LTの各発表内容をお伝えします。
発表内容
ABEMAにおける効果検証
AI Lab所属の主席データサイエンティスト安井翔太より、ABEMAにおける効果検証についての発表がありました。
本発表では、Home画面の広告はユーザー体験に悪影響があるのか?という問いに対し、A/Bテストで検証した事例が紹介されました。ユーザー体験に対する影響を明らかにする過程で、表示される広告自体よりも、それに表示機会を奪われるコンテンツ側に着目した分析が印象的でした。発表の後半では、介入の効果を、平均値ではなく分布の変化としてとらえる、DTE(Distributional Treatment Effect)や、PTE(Probability Treatment Effect)といった概念が導入され、ユーザー体験の変化をより詳細に分析した結果が示されました。
『何を作る』から一緒に考えて、事業の武器になる機能をつくるまで
Data Science Centerの松田和己からは、ネット投票サービス「WINTICKET」に参画し、サービスのメンバーと議論をしながら1つの新機能をリリースするまでの取組みの紹介がありました。
機械学習を用いた新規機能の開発プロジェクトをどのように進めたかについて、要件のヒアリングからリリース・効果検証まで各ステップ毎に解説がされました。より効率的にプロジェクトを進めるための反省点についても紹介されており、データ・機械学習関連の実務の進め方の参考になる発表でした。
施策の事業成果への影響メカニズムを明らかにする – ロジックモデルの活用例
Data Science Centerの遠藤洸貴からは、施策が事業成果につながっているかを議論するためのフレームワーク、ロジックモデルの活用例についての発表がありました。
データ活用の実務において、ビジネスへの貢献にどう繋げるか、またその効果をどう定量的に示すかは、非常に重要なテーマです。Data Science Centerのタップルチームでは、活動と成果の繋がりを図示した「ロジックモデル」を用いて、各施策が事業成果にどうつながるのかの議論や、施策評価時にみるべき指標の洗い出しなどに活用していると紹介されていました。ロジックモデルを施策のライフサイクルに取り入れることで、施策の事業貢献メカニズムを把握することができ、成功の再現や失敗の防止に活かすことができるとのことでした。
おわりに
今回も多くの方々にご参加いただき、まことにありがとうございました。今後も事例紹介イベントを開催していく予定ですので、ご興味をお持ちになった方は、ぜひともconnpassのCyberAgentグループをチェックしてみてください。