はじめに

サイバーエージェント 専務執行役員 技術担当 / 株式会社AbemaTV 取締役を務めています、長瀬(@lionbaby)です。CyberAgent Developers Advent Calendar 2023 も本日で最終日。私からは今年の総括と今後の展望についてまとめてみたいと思います。

 

目次

  • 今年は生成AIに尽きる1年
  • 2023年、国内で最もGitHub Copilotをアクティブに利用している企業に
  • 「生成AIを徹底活用する」という会社のメッセージが深く浸透した1年
  • 中期の技術戦略をアップデートしました
  • Always FRESH with AI

 

今年は生成AIに尽きる1年

今年は「生成AI」が注目された1年でした。精度はまだ完璧ではありませんが、インターネットが登場した時のように、ビジネスの世界に大きな影響を与えています。当社でもこの1年スピード感を持って様々な取り組みを行ってきました。

 

2023年4月生成AIガイドラインを策定、2023年4月 GitHub Copilot導入開始、 2023年9月生成AI徹底活用コンテスト、2023年10月 AIオペレーション室を新設 、2023年11月生成AIリスキリングを開始。

 

2023年、国内で最もGitHub Copilotをアクティブに利用している企業に

今年4月に全社導入を進めたGitHub Copilotの利用者を右肩上がりに増やすことができました。社内で導入推進の専門組織を新設し、まずは「使ってみること」を積極的に推進しました。その結果、日本で最も多いアクティブユーザー数を達成しました。

 

GitHub Copilotの利用者数、現在は1000人を超えている

 

特に、Copilotへのコード送信数、Copilotによって書かれたコード数は右肩上がりに成長しており、GitHub Copilotの有用性を多くのエンジニアが実感することができました。

 

Copilotへのコード送信数、Copilotによって書かれたコード数も 国内No1

生産性がどれくらい向上したかは、定期的にアンケートを取って評価しています。最新の結果がこちらになります。

 

約半数が、コーディング業務の1〜2割を削減 35%は2〜4割を削減できたと回答

・約半数がコーディング業務で1〜2割の削減を達成した
・35%がコーディング業務で2〜4割の削減を達成したと回答

今年4月の導入から半年足らずで成果を出すことができました。

 

 

先日、わくわくする出来事がありました。私たちの社内技術カンファレンスに、GitHub Japanの服部さんを特別ゲストとして迎えました。服部さんから、GitHubが描く開発体験の未来について熱いお話を伺いましたが、GitHub Workspaceは私たち開発者のワークスタイルを一新する可能性を感じました。

服部さんのお話で以下のところがとても印象的でした。

「AIの進化はエンジニアがこれまでにできなかったことを実現し、新しい可能性を広げる機会なんです。たとえば、AIが単純なタスクを引き受けることで、私たちはより創造的で本質的な作業に集中できます。私たちは、AIという新しいツールを使いこなし、これまでにないことを成し遂げる時代に生きています。だから、AIに興味を持ち、可能性を広げ、新しいことに挑戦することが重要です。皆さん、AIの進化に合わせて自分たちのスキルをアップデートし、未来のエンジニアリングの世界で輝く準備をしましょう!」

 

「生成AIを徹底活用する」という会社のメッセージが深く浸透した1年

こちらは藤田社長が全社員に送ったメッセージを抜粋したものになります。

9月の生成AI徹底活用コンテストを皮切りに、10月にAIオペレーション室の新設、11月に生成AIリスキリングと、矢継ぎ早に施策を実行したことで、全社員の意思統一がはかれました。コンテストでは2000案以上が集まりました。多くの社員が生成AIの活用アイデアを本気で考えた証拠です。また、それらを実行推進する体制も整い、来年に向けた土台がしっかりと整ったと思います。

 

中期の技術戦略をアップデートしました

生成AIの登場により、私たちは技術戦略を大きく見直しました。生成AIはまだ発展途上であり、課題もありますが、それを理解した上で進めることが重要だと考えています。私たちが考える理想の未来に向けて前向きに取り組み、必要に応じて戦略を柔軟に調整していきたいと考えています。

こちらが12月の社内技術カンファレンス「CA BASE CAMP」で発表した、サイバーエージェントの中期戦略を俯瞰したスライドになります。正直5年後、10年後の未来は変数が大きすぎるので、明確に3年後(つまり2026年)をターゲットに全社の技術戦略をアップデートすることにしました。

 

 

確実に出てくる課題としては、AI人材不足をどう解消するか。また、技術者の生産性向上によって空いた時間をいかに有効活用していくか、多様な活躍機会を創出する仕掛けが必要になります。個人的には技術者の「越境」が加速することを期待しています。そのための新たなキャリア設計や制度設計を考えていきたいと考えています。

またこのような取り組みを実施していくうえで、サイバーエージェントのスケールメリットを存分に活かしていきたいと考えています。当社は広告・メディア・ゲームと幅広く事業を展開しています。技術者の数も多く、その技術の幅も広いです。

例えば、AIの徹底活用についても各部門でそれぞれ頑張ることはありつつも、スケールメリットを活かすところは積極的に協力し力強く前進したいと思います。スピード感を損なうことなく、チームサイバーエージェントで取り組んでいきたいと考えています。

 

Always FRESH with AI

 

最近受けた取材で、AIが特定の仕事を置き換えるのではないか?という話を聞かれました。

エンジニアリングの世界では、AIの影響は計り知れません。しかし、これは同時にエンジニアがより広範囲に活躍できる機会を意味しています。AIが特定の仕事を置き換えることに懸念を持つエンジニアも出てくると思いますが、彼らをしっかりとフォローし不安を払拭していきたいと思います。AIと共に成長することで、新しいキャリアの可能性を開拓し、技術者一人ひとりがその才能を最大限に発揮し活躍する環境を作り続けることが何より大事だと考えています。

 

つねにFRESHな考えで好奇心をもってAIを徹底活用していくことで、一人ひとりの可能性を引き出していきたいと思います。

 

採用も引き続き行っています。ご興味を持っていただけた方はぜひ採用情報もご覧ください。

 

 

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通信業界での研究開発を経て、2005年、サイバーエージェントに入社。「アメーバブログ」やコミュニティサービス「アメーバピグ」、ソーシャルゲーム、コミュニティサービスなどのサービス開発を担当し、2014年に執行役員、2020年に常務執行役員に就任。「ABEMA」をはじめ当社のメディア事業に携わるエンジニアの採用や、技術力をさらに向上するための評価制度などの環境づくりにも注力している。現在はサイバーエージェント専務執行役員(技術担当)を務める。