CTO統括室の黒崎(@kuro_m88)です。サイバーエージェントのエンジニアを中心に直近の半年で「みんなで金塊堀太郎」という施策を行い半年で億単位のコスト削減を実現できたので、どんなことをしたのか紹介します。また、社内の半期に一度の全社表彰で表彰されたので、サイバーエージェントの表彰の文化についても触れたいと思います。

「みんなで金塊掘太郎」とは?

メディア事業管轄で「金塊堀太郎」という施策を過去実施しており、それを全社に展開したのが「『みんなで』金塊堀太郎」という施策です。具体的には、社内のエンジニアが主体となって主にシステムコスト削減のアイデアを出し合い、それを実行するものです。

みんなで金塊堀太郎

「金塊堀太郎」という名前の由来は把握していませんが、社内Slackに絵文字があり一定の知名度があったと思われるため、全社展開においてもこの名前が採用されました。
社内の偉い人たちが真顔で「金塊堀太郎が〜」と話しているのは変な感じがしますがそれも定着する要因だったのかなと思います。

Slackに登録されている「金塊堀太郎」の絵文字
Slackに登録されている「金塊堀太郎」の絵文字

なぜ今コスト削減なのか

2024年度第一四半期の決算発表で「増収増益にコミットする」と発表しています。 これに合わせて各事業で増収増益の目標を達成するための施策が進められていましたが、エンジニアとしても組織的に貢献できることを探して動くための施策を考えました。

この施策が走り始める前は社内でコスト削減の取り組みがされていなかったのかとえば、もちろんそんなことはありません。事業のフェーズに応じて自主的にコスト削減や最適化といった取り組みは適宜おこなわれていました。 ただ、システムコスト削減は数字以外の努力や成果が見えづらい課題がありました。 これを解決するために役員陣を含めた全職種に向けて発信を強化し、貢献が賞賛されることでさらなる貢献意欲を持ってもらい、コスト削減効果を高めることを狙いました。

「みんなで金塊堀太郎」のトピックス
どこの部署の誰がどんな貢献したかをスライドにまとめて、各部署の定例だったり役員会の資料に差し込んで共有してもらう機会を作った

やったことの例

サイバーエージェントでは多種多様な事業を展開しているため、技術領域も多岐にわたります。コスト削減の方法も様々ですが、いくつかわかりやすい例を挙げます。

  • WordPressで構成されていたサイトの静的コンテンツ化
  • ログの保持条件の見直し
  • Auto Scalingの条件チューニング
  • バッチ処理のクエリチューニング
  • 高コストなクエリの実行防止機能の設定による事故防止
  • インターネット経由の通信路に圧縮を導入することによる帯域節約
  • データベースの統合
  • 大口契約の条件見直し、交渉

なんとなくどんなことをしたのが想像がつきそうなものが多いと思います。実際の難易度は環境や状況によって様々ですが、こういった取り組みが積み重ねでサイバーエージェントグループ全体では大きなコスト削減となりました。

「みんなで金塊掘太郎」の効果

コスト削減効果に関して、具体的にいくらというのは残念ながら公表できませんが、直近半年で少なくとも億単位のコスト削減効果がありました。

正直なところ、この施策が走らなくても日頃から各自コスト削減には取り組まれていたことから、この施策がなかった場合と比べて大幅に追加のコスト削減効果が得られたとまでは言えないとおもいます。それでも普段であれば優先度が下げられがちなものも、全社施策である大義名分を生かして実行に移してもらえたものもあるのではないかと考えています。

一番の効果はエンジニアの日頃の取り組みを役員を含めた全職種の方々に知ってもらい、その貢献が賞賛されることで、今後の貢献意欲に繋げられたことだと思います。最終的には全社表彰式でもこの施策が表彰され、スポットライトを当てることができたので、当初の目的はおおむね達成できたと思います。

全社表彰の様子
全社表彰の様子

サイバーエージェントでは半期に一度の全社表彰を実施しており、活躍した個人やチーム、プロジェクトを表彰する機会があり、高いパフォーマンスや成果を称え合うことで互いに切磋琢磨する環境を実現し、モチベーションの向上につなげています。

「みんなで金塊堀太郎」のこれから

コスト削減は一過性の取り組みではなく、これからも継続的に取り組まれていきます。この半年は即効性を求めるために足元の金塊(コスト)にフォーカスしましたが、世の中に埋まっている事業機会(金塊)の方がはるかに大きいはずですし、一番みんなで取りにいきたいのはこっちです。
今後も様々な方法でみんなの頑張りを盛り上げつつ、「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」ことに貢献していきたいと考えています。

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2015年新卒入社 AI事業本部 DX本部 兼 CTO統括室所属。バックエンドの実装やインフラ、セキュリティを担当。趣味で中古サーバやネットワーク機器を買ってデータセンタに設置して運用しています。