この記事は CyberAgent Developers Advent Calendar 2024 6日目の記事です。
まえおき
長年ソフトウェア開発を通じたプロダクト開発の現場に身をおいていまして、その中で反省点が尽きないのがマネジメントです。
そのためにはどんな環境が良いのか、どうあるのが良いのか、案外千差万別のようで現場に沿った”答え”はどうやらそこらへんに落ちているものではないようです。
マネジメントの本を読んだり実践したりしてきた中で、こう考えて動くと少なくとも大外しはしないだろう、と思えるようにはなったのでご紹介できればと思います。
プロダクトマネジメントやエンジニアリングマネジメントに携わる方のお悩みを少しでも軽減できれば良いなと思います。
まず何より大事なのは、組織の成果です。これが一番の軸です。
組織成果を最大化するために、どのようなチームであると良いのか、という流れで考えます。
組織成果を最大化するチームづくり
組織成果とは
最初に組織成果を理解する必要があります。みなさまの所属するチームの組織成果とはなんでしょうか。
こんな課題を解決したい、こんな世界感を実現したい、様々な想いが含まれていると思います。
組織成果というのは、そうした想いを実現していくプロセスなのだと思います。
それがチームの存在している理由になります。
意思決定のブレをなくす
意思決定は日常的に行われるものですが、目先のことだけで判断していくとすぐに矛盾が生じたりします。
そこで、筋が通っているかどうかということを意識するようになりました。
筋というのは、私たちは何を目指してそのためにどのような方向性を描いているのか、ということであり、判断基準のことです。
つまり物事をはじめるとき一番最初に”目的”と”方向性”が、たとえ言語化されていなくても存在していると思います。
これを具体化して言語化していくに従って、物事の判断基準が醸成されていきます。
物事が進むにしたがって、さらに目的や方向性の解像度があがり、より多くの言語化ができていくでしょう。
これは、こういう時にはこういう判断をするよね、ということが予め想像できるようにしておくということになります。
この意思決定の基準がブレずにいることで、組織やチームの文化として定着していくことに繋がります。
意思決定を移譲していく
意思決定がブレないことによって、周りの人も判断基準がわかるようになってくると思います。
最初は細かいことからになると思いますが、意思決定にマネージャーやリーダーが関わらなくても判断基準に従って他の人が判断できるようになるでしょう。
このようにして権限を移譲していくことで、マネージャーやリーダーはより戦略的な意思決定に集中することができ、スケールすることができるようになります。
目的と方向性について補足
目的は、私たちが組織として到達したい未来の状態とそこにかける想いや情熱のようなものです。そこに至るためにどんな考え方をすると良いのか、というのが方向性にあたります。
方向性には幅があり、選択肢が無数にある中で大きく外さない範囲の中で意思決定をし続けることで目的の到達を目指すという考え方です
組織成果を最大化するために
選択肢をもつ
選択肢は一つしかないということが稀で、そのような場合は八方塞がりであることが多いでしょう。
できればそうならないような道筋を辿りたいものです。
選択肢があるということは不測の事態でも対応することができるということです。常にプランBを持っておけると安心して目前のことに集中ができますね。
アイデアが選択肢を生む
マネジメントに限らないのですが、戦略を考える上で大事なのは想像力であったりします。現状では難しいけれど何か一つ覆れば良い成果を得られる可能性がある、という状況は実は多くあるように思います。覆る何かを見つけ出すための想像力であり、現状を打開するアイデアであり、それは選択肢を生み出すということに繋がります。
意思決定をするということは決定するために選択肢が必要ですものね。
現状把握でムダをなくす
現状を打開しようとなるためには、現状をより正確に把握しておく必要があります。例えピンチな状況でも「大丈夫だ、問題ない」という認識をしていたら判断を間違えてしまいますよね。
ですから常に現状を正しく把握しておくことが重要になってきます。
スクラムの考え方でとても好きなのが、検査、適応、透明性という3本柱でして、これがまさに現状把握するために機能してくるのです。
現状把握を正しくすることでより正しい選択ができるだろう、ということもあるのですがもう一つとても大事なことがあります。ムダなことをしないということです。トヨタ生産方式やリーンの大事な考え方の一つですよね。
以前作ったこの機能やルールは今は機能していないから不要だよね、と捨てることも大事ですが、そもそも捨てるのは結構体力つかいます。であれば最初から作らないか見直し前提で作れたらいいと思うのです。「いるかどうかわからないけどあったら便利だから作ろう」というのはムダを生み出す思考パターンです。現状を把握して必要/不要が判断できるようにしたいですね。
ムダをなくせれば、本当に大切なことにチームの力を集中することができます。
まとめ
迷ったり困ったりしたときは、目的に立ち返って方向性を定めてから目標を決めていくと良いと思います。
目標や手段は状況に応じて適切に変化していくものですが、目的や方向性は本来ほとんど変化しないはずです。
目的がころころ変わっては筋が通らないですが、目的と方向性が軸としてどっしり構えていれば、目標や手段が変わっても軸はブレないでいられます。
良いチームには良い文化あり、良い文化には良いマネジメントあり、ということでつまりは日々の積み重ねが大事ですねというお話でした。