CTO統括室の黒崎です。エンジニア職の社員を対象に、開発を目的としたAIエージェントの活用に年間で総額約4億円投資することが決まりました！
背景
昨年開催されたCyberAgent Developer Conference 2024では、専務執行役員の長瀬よりAIに対する基本方針として「AIを徹底的に活用するためにあらゆる手を尽くし、変革を推進する。」と対外的に発表しました。
サイバーエージェントグループでは、2023年4月よりGitHub Copilotの利用を開始し、その後もCursor、Cline、Windsurf、Devinなど開発に生成AI系のツールがどんどん適用されています。
今年の4月には65名の新卒エンジニアが入社し、研修では生成AIを全面的に取り入れさっそく配属後から「生成AIネイティブ世代」として各所で成果を出し始めてくれています。
2023〜2024年にかけては生成AIに対する理解をみんなで深めよう、使い方を考えてみようというフェーズで、社内ガイドラインを策定してガードレールを敷いたり、全社から活用アイデアを(賞金つきで！)募ったり、AI活用を推進する専門部署を作ったり、ハンズオンの研修を行ったりすることを通して、全社員が生成AI技術を活用するための知識や経験のベースラインを整えました。
現在ではこれらの取り組みの成果もあり、生成AIを全く活用していない部署はほぼないのではないかと考えています。
一方で速度を優先して足並みを揃えることなく走り続けているため、部署によって活用のレベルの差が開き始めたのも事実です。
特に最近はAIエージェントを活用した開発が話題の中心になり、それらのツールだったり使い方の盛衰が以前より増して激しく変化している印象があります。部署ごとの取り組みだけでは追従が間に合わず、エンジニア個人レベルで「あらゆる手をつくし、変革を推進する」ことがより強く求められています。
新しい生成AI系サービスは個人向けでスタートして、後追いでチームプランやエンタープライズプランのような管理機能が充実したものがリリースされがちで、PoCをしようにも待ちが発生するケースがあったり、個人で検証しようにも都度予算を取る心理的なハードルや手続きがボトルネックになったりしているという声が社内より上がってきました。これに対してエンジニア社員に予算を付与し、それぞれで日常的に試行錯誤する裁量を持ってもらおうというのが背景です。
セキュリティ面の懸念に関しては社内の生成AIガイドラインが継続的にアップデートされていますし、2023年当初よりも社内のAIに対するリテラシーも高まっており、既存で利活用しているSaaSとほぼ同様に考えられる素地ができたため、上長と相談しながらそれぞれうまくバランスを取れると考えています。
で、いくらなの？
ひとまずエンジニア社員ひとりあたり200米ドル/月を上限として予算を設定しました。$200あればひとまず触ってみたいものは触れるだろうという判断からです。
ちなみにClaude Max 20x ProやCursor Ultraは今のところ$200のようですね。
対象社員数と昨今の為替レートを勘案するとおおよそ年額4億円規模になります。
部署単位でChatGPT EnterpriseやGitHub Copilot Enterprise等すでに導入しているもの、これから導入するものとは独立しており、あくまでも社員個人単位でAIエージェントツールを試す予算です。単純に選択肢が増える形になります。
$200じゃ足らないよ、という声もあるかもしれません。あるいは$200で足らないと思える人はすでにそれなりに触れていて肌感覚を持っている人だと思います。
あくまでも$200/月で全社的に予算化して最低限の裁量を担保するのみで、もっと活用できそうな場合は個人での活用の成果をもとに部署内での導入や活用の提案につなげてみてほしいと考えています。
さいごに
エンジニア社員を対象に開発を目的としたAIエージェント利用の予算がつく話をご紹介させていただきました。
個人的にはCTO統括室内で議論になってから提案を取りまとめて全社で決議されるまでのスピード感がかなり早かったのが印象的で、サイバーエージェントっぽさを感じる瞬間でした。
