こんにちは。CIU(CyberAgent group Infrastructure Unit)にて技術責任者を担当している長谷川(@makocchi)です。

この記事が出る頃には KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 が無事に終了しているわけですが、皆様 KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 は満喫されましたでしょうか。自分は久しぶりに参加することになりまして、楽しい時間を過ごすことができました(この記事書いている時はまだ開催中ですが)。過去に何回か KubeCon + CloudNativeCon はもちろん、付随するイベントの Contributor Summit などに参加していましたが、最近では若手に機会を譲っておりました。自分が参加していた頃から日本で開催されるといいなと思っておりましたけども、こうして今年実現されましてとても嬉しかったですね。

さて、リレー形式でお送りしております KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 特集 Blog ですが、若手の投稿に混じって本日はベテラン枠として執筆したいと思います。箸休め的な感じで御覧ください。

@makocchi について

自分は中途採用でサイバーエージェントに入社しました。それから 10 年以上変わらずサイバーエージェントに所属しております。この経験だけ見ても既に世間的にはベテランとして扱われると思いますが、実はサイバーエージェントに転職する前も 10 年以上社会人をしているわけですから、ひょっとしたら大ベテランと言われてしまうかもしれません・・・老害とだけは言われないように日々頑張っております。

自分は普段は CIU というサイバーエージェントグループを横断的にサポートする部署の技術責任者として、技術的な戦略の策定から組織作り、採用、人材育成まで担当しています。主務以外にも、横断的にサポートする部署に所属していることを活かして CIU 以外の部署に兼務で入り、様々な技術サポートやアドバイスなどをしています。時には炎上プロジェクトに緊急招集されて火消しを行うこともあります。

業務外の活動としては各種 Cloud Native コミュニティに登壇したり、OSS にコントリビュートしたりなども時間があれば行っています。最近はこうしたコミュニティ活動をきっかけに技術評論社様に声をかけていただいて、分散 SQL の TiDB についての本を執筆することにもなりました。MySQL 互換を持つ分散 SQL の TiDB について知りたい、触ってみたい方はぜひこちらの本を手にとっていただければと思います。(TiDB実践入門 | 技術評論社)。TiDB は社内の大規模データ処理基盤で採用されており、こちらも導入に関してサポートさせていただきました。(サイバーエージェントはHBaseからTiDBへ移行、大規模データ処理基盤における検証結果を明かす

 

若手を支えるベテランとは

サイバーエージェントといえば、若手を抜擢して活躍の機会を与える会社という印象を持たれている方も多いと思います。通常であればもう少し経験を積んだ人をアサインする案件だったとしても、手を挙げる人がいれば「じゃあ少しチャレンジだけどやってみるか」と任されることを良しとする文化ですね。これに関して言えば会社の中にいる自分から見ても、その通りだなと思います。違う見方をすると、この文化は何かにチャレンジする機会は若手だろうがベテランだろうが関係なく存在している、ということなんだろうと自分は思っています。

そして、この若手のチャレンジを支えるのに必要不可欠なのがベテランのサポートであり、ベテランとしての腕の見せどころ、つまり活躍する場所の1つであると自分は考えています。今までの経験や知識を活かしてどんどん事業の課題を解決していく、それもまたベテランとしての活躍の場になると思いますが、そういう軸以外にもこのような若手が成長する機会の創出はもちろん、若手の成長のサポートもベテランには必要だと思いますし、そう思って今も自分はそのように動いています。

活躍できるベテランとは

サポートの仕方はいろいろあると思いますし、人によって様々なやり方があると思います。ですので正解は無いので都度都度最適解を探していくことになると思いますが、最も大切なのはチャレンジに失敗した時のサポートだと思っています。チャレンジが失敗した時にきちんとリカバリできる体制を敷いておくこと、失敗した経験を次に活かすための仕組みをきちんと構築すること、これらが大切だと思います。誰もが「失敗したくない」と思うことは当然です。でも「失敗してもこっちでなんとかするからチャレンジしてみなよ」と送り出すことがベテランの役割なんじゃないかなと思っています。

Cloud Native という考え方が生まれてきて以来、現在ではさまざまな OSS がプロダクションレベルで採用されることが当たり前になってきました。既存の技術が新しい技術によってどんどん塗り替えられることが普通に起こり得る世の中で、技術選定の幅が広がってきていると思います。今本当に自分達に必要なものは何か、本当に課題を解決することになるのだろうか、そういった観点を持ち、本質を見抜く力こそベテランの腕の見せ所であり今の時代に求められていることではないかなと思います。

活躍できるベテランになるために必要なことは何か?という問題の答えをズバッと言う事はとても難しいと思います。たとえば、チームの知の蓄積役や経験に基づくアンチパターンへの警鐘役、組織の文化作りなどが必要となる場合が多いでしょう。しかし、それ以外にも上記のような考え方を持ちながら普段業務をしていけば、組織にとって必要な人材、つまり活躍できる人材に近づけるはずだと自分は信じております。

行動指針の作成のススメ

最後になりますが、個人的に大事にしている行動指針を公開しようと思います。企業の行動指針は有名なところで言うと Amazon の OLPGoogle が掲げる 10 の 事実などがあります。自分もこのような行動指針を作りたいなと思い、これを実現できればかっこいいエンジニアになれるのではないか、という思いを込めて昔に作りました。個人の行動指針はそれぞれで持てばいいと思っていますので、万人に合うものでは無いと思いますが、参考にはして頂けるかもしれないので公開してみようと思います。(ちなみに英語でも書いてますが、これはそのほうが見栄えがいいかなと思っているだけで特に意味はありません😅 )

1. 技術の循環 (Circulation of Technologies.)

得た技術は未来へ活かしていくことで成長する。また、周りのメンバーへも循環させることでチーム力を上げる。

2.広く深く (Stay broad. Stay deep.)

知識は広く浅くではなく、広く深くを目指す。エキスパート領域を増やす。

3. 期待を超える (Do more than is expected)

期待されていることをあと一歩越えてみよう。

4. 常に信頼される (Always gain the trust)

みんなから頼られる存在になることで自分の価値を上げる。

5. 自分で前に進む (Go advance by oneself)

やるべきことを自分で考え、リーダーシップを持って自分で進む。

6. 楽しむを忘れない (No work without fun)

たまには遊んだっていいじゃない。遊び心が新しい発想を生む。

7. 他人を楽にする (Make someone happy)

他の人が楽になる施策や仕組みを作ることで、チームに貢献していく。

8. 正解より別解 (Find another way)

選択した手段が最良だとは限らない。常に別の視点から考えることを忘れない。

 

個人的な行動指針として8つ挙げさせて頂きました。悩んだ時や詰まった時にはこの行動指針を思い出して、どういう判断をするべきか考えるようにしています。ぜひ皆さん自身の行動指針を考えてみてください。そして考えたら教えて下さいね。

 

おわりに

若手の活躍が目立つサイバーエージェントですが、ベテランもちゃんと活躍する場所があり、ちゃんと活躍しているんだよ、ということを伝えたつもりです。いかがだったでしょうか。

技術は過去の歴史において、様々な新しい波が生まれています。コンテナ技術、Kubernetes の登場、マイクロサービスアーキテクチャなどです。そして最近では AI が技術革新を起こしています。そのような時代だからこそ、ベテランは必要とされると思いますし、必要とされなくてはならないと思っています。ベテランのみなさま、ともに頑張って盛り上げていきましょう!

そして、この記事を読んでいただいた若手のアナタ!どんな若手も将来は必ずベテランになります。その時にまだ見ぬ新しい若手の手本となれるように頑張っていきましょう!

KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 特集 Blog

  1. KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 現地参加を最大限に活かす!現役エンジニアが注目するポイントと歩き方
  2. KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 1 日目参加速報
  3. KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 2 日目参加速報
  4. 生成 AI マーケットの不確実性に立ち向かうためのクラウドネイティブ技術
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