こんにちは。株式会社タップルでAndroidアプリエンジニアをしている佐藤 佑哉(@dao0203)です。9月10日から9月12日に開催されたDroidKaigi 2025に参加してきました。本記事では、カンファレンスの様子やサイバーエージェントのDroidKaigiへの貢献などについて紹介します。

DroidKaigi 2025について

DroidKaigiとは、Android技術の共有とコミュニケーションを目的とし開催されている、エンジニアが主役のAndroidカンファレンスです。9/10(水)から9/12(金)までの3日間、ベルサール渋谷ガーデンで開催されました。

DroidKaigi フォトブースパネル

https://2025.droidkaigi.jp/

当日のイベントのトピック

当日のイベントでは、セッションだけでなく、参加者同士の交流を促進する様々なアクティビティが用意されていました。ここではいくつかのアクティビティを紹介します。

昨年好評だったネイル体験会が今年もスポンサーブースエリアの一角で開催されていて、Androidのロボットをモチーフにしたキャラクターをネイルに入れてもらったり、施術後に写真を撮ったりと賑やかな雰囲気でした。

ネイルかえたからみて_メリケンサック

 

Conference Day 1日目のアフターパーティでは、なんとDroidKaigi史上初となるマグロの解体ショーが行われました。会場からは歓声が上がり、スマートフォンを構える参加者で周囲は大賑わい。普段コードと向き合っている私たちにとって、日常では味わうことができない体験は強く印象に残りました。

サイバーエージェントからの登壇者とそのセッション

弊社からは、株式会社AbemaTVに所属する竹谷 大地(@taked_oO)が「ユーザーも開発者も悩ませないTVアプリ開発 – Composeの内部実装から学ぶフォーカス制御」というセッションで登壇しました。

このセッションでは、「Compose for TV」であるTV アプリの操作に関連したフォーカスの制御について詳細を紹介しています。

現在のCompose for TVでは、以前はLeanbackが担っていたフォーカス操作性の向上は開発者側で実装していく必要があります。この課題を解決するためのフォーカス制御とスクロール制御について深く掘り下げて紹介する、TVアプリを提供するABEMAならではの技術が詰まったセッションでした。

気になったセッションについて

DroidKaigi 2025では、Conference Dayに47のセッションが行われました。これらのセッションは、Androidの開発で使用されている「Kotlin」や、Androidの宣言的UIライブラリのカテゴリに分類されています。昨年に引き続き、Experimentalとして「AI」のカテゴリが新たに用意されていました。コード生成や、UIの設計・構築などに限らず、Android開発の技術的背景があるAIに関連する内容が対象となるカテゴリのようです。

ここでは、いくつかのセッションを聴講した中から、私が印象に残ったものを紹介します。

基礎から学ぶ大画面対応 〜「Large screen differentiated」認定アプリの開発知見

tomoya0x00さんによる本セッションでは、U-NEXTアプリが日本の動画配信アプリとして初めて「Large screen differentiated (Tier 1)」認定を取得した知見が共有されました。

Android 16以降、タブレットやフォルダブル端末では画面の向きやアスペクト比の制限が強制的に無視されるようになります。現在はオプトアウトで回避することができますが、じきにリリースされるtargetSdkVersion 37となるAndroid 17からは、そのような回避措置も行えないため、大画面対応は待ったなしの状況です。

Googleでは大画面対応の段階的な対応のガイドラインが揃っており、Tier 1からTier 3でのサポートレベルが用意されています。

developer.android.com/guide/topics/large-screens/tier-3-overview

developer.android.com/guide/topics/large-screens/tier-2-overview

developer.android.com/guide/topics/large-screens/tier-1-overview

多くのアプリでは、縦スクロールの有効化やコンテンツ幅の制限といったシンプルな対応でクリアできるという実践的なアドバイスが印象的でした。

U-NEXTアプリが達成したTier 1では、Picture-in-Picture(PiP)やフォルダブル端末のテーブルトップポスチャーへの対応など、大画面デバイスならではの体験を提供しています。Android Viewで実装されている画面でもViewModelとSavedStateHandleを活用することで対応可能な点も、既存プロジェクトには心強い情報でした。

UIだけじゃないComposeの可能性 ━ 宣言的に奏でるメロディ

usuiatさんによる本セッションは、Compose RuntimeをUI以外の音声処理に応用するという内容でした。

セッションではComposeの仕組みを「汎用的なツリー構造を扱うRuntime」と「UI固有の処理」に分離して説明し、Runtimeの汎用性を活かしてusuiatさんが自身で開発した音声処理ライブラリ「Koruri」を実例に解説しています。音声処理のオーディオブロックダイアグラムをコンポーザブル関数で表現し、MutableStateによる周波数制御で再コンポーズを通じた動的な音声変化を実現しているのが印象的でした。セッション中のデモではUIと連動したシンセサイザーなど、実用的な応用例も紹介されていました。

Compose Runtimeを単なるUIフレームワークではなく、宣言的プログラミングの汎用基盤として捉えることで、Android開発の新たな可能性を感じさせるセッションでした。

サイバーエージェントのDroidKaigi 2025での貢献

サイバーエージェントは昨年に引き続き、DroidKaigi 2025にゴールドスポンサーとして協賛しました。今年は特に「体験型展示」に力を入れ、来場者が実際に触って楽しめるコンテンツを中心としたブース展示を行いました。

「サイバーエージェント アプリフィット診断」とClaude Code活用

今回は、「サイバーエージェント アプリフィット診断」という診断アプリを展示しました。サイバーエージェントが提供するサービスは多岐にわたりますが、その中で自分にあったサービスはどれなんだろう?と探すことが難しいと感じていました。そこで、来場者がいくつかの質問に答えることで、AIにサイバーエージェントのどのサービスに自身があっているか提案してもらう仕組みを作りました。タップルのUI/UXをベースとしたフリックカードUIをこのイベントのために特別に作り込み、約1分で診断が完了する直感的な体験を提供しました。

このアプリは、アプリ本体からUI/UXデザイン、アニメーション実装まで、すべてClaude Codeを使って運営メンバーでペアプログラミングを行いながら開発しました。Conference Dayの2日目からは診断結果の分析機能を追加し、ブース上のディスプレイでリアルタイムに結果を表示することで、より多くの来場者に興味を持っていただくことができました。

アプリフィット診断 画面 1アプリフィット診断 画面 2アプリフィット診断 画面 3アプリフィット診断 画面 4アプリフィット診断 画面 5

スポンサーブース アプリフィット診断

https://x.com/ca_developers/status/1965965885329576211

開発タイムラインパネル

ブースでは、各プロダクト(CL、ABEMA、Ameba、タップル)の開発タイムラインパネルも展示し、DroidKaigi 2024終了後から2025年にかけての1年間で開発した機能や技術的な取り組みから、特筆すべきものを時系列で紹介しました。Jetpack Compose導入やアーキテクチャ刷新といったアプリ設計に関するものからroborazzi等によるVRTの本格導入、Claude Codeを始めとする生成AIによる開発支援の投入など、各プロダクトの技術的進化を具体的に示すことで、来場者との技術的な対話のきっかけを提供しました。

これらブースコンテンツや先述の社員の登壇のほか、サイバーエージェントからは運営スタッフとして6名が参加しました。また、スカラーシップスポンサーとしてDroidKaigi 2025にスカラーシップとして参加された学生の方のためのオフィスツアーの見学先のひとつとして、サイバーエージェントの紹介をすることができました。

このように、サイバーエージェントは技術的な知見の共有だけでなく、スポンサーシップや運営への協力、公式アプリへのコントリビュートなど、様々な面でDroidKaigi 2025に貢献できるよう努めています。社員の立場としても同じ開発者の立場から多くのフィードバックを得ることができ、貴重な機会でした。サイバーエージェントのブースに来てくださった方を含むご来場いただいた皆さま、そして一緒にDroidKaigiを盛り上げてくださった方々、本当にありがとうございました!

スポンサーブース CA社員記念撮影

最後に

DroidKaigiは3日間という長丁場のカンファレンスではあるものの、あっという間に終了してしまいました。

スポンサーブースでの活動やセッションはもちろん、Ask the Speakerやアフターパーティーなどで他の参加者の方とお話する中で、社外でのAndroid開発を聞くことで得られる新たな知見や生成AIの活用法など、たくさんの発見がありとても楽しかったです!

最後になりましたが、DroidKaigi 2025の開催に尽力された実行委員会の皆様、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました!

来年もまた、このコミュニティで皆様にお会いできることを心から楽しみにしています🚀

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2025新卒入社のAndroidエンジニアです。現在は、株式会社タップルでTappleのAndroidアプリのアプリケーション開発をしています。