はじめに
こんにちは、株式会社 AI Shift でフロントエンドエンジニアをしている久保 (@heimusu_me) と株式会社サムザップでサーバーエンジニアをしている守田と株式会社サイバーエージェントで Android エンジニアをしている吉川です。本記事は2026年1月9日・10日に富山国際会議場で開催された技術カンファレンス BuriKaigi 2026 の参加レポートです。
BuriKaigi とは
BuriKaigi は Web・アプリケーション開発を中心に幅広いテーマを扱うエンジニア向けカンファレンスです。富山・北陸エリアだけでなく全国から 300 名以上の参加者が集まりセッション・LT を通じて技術的な議論や交流が活発に行われていました。今回サイバーエージェントは初めてスポンサー企業としてサポート・ブース出展を行うとともに久保が LT 枠での登壇を行い、フロントエンド開発での実務的な視点について発表を行いました。
スポンサーブースでの取り組み
スポンサーブースでは、ノベルティの配布やサイバーエージェントの会社や事業、エンジニアの社内外での活動紹介などを行っていました。
技術的な内容を中心に意見交換が出来ただけでなく、参加者の皆様に弊社のことを知っていただく良い機会になったのではないかと思います。
当日ブースにお越しいただいた皆様ありがとうございました!

LT 登壇
今回の LT ではサイバーエージェントにおける各事業部でのフロントエンド開発をテーマにお話しました。サイバーエージェントには、ゲーム、メディア、インターネット広告など、性質の異なる事業が数多く存在します。
同じフロントエンド開発であっても、事業特性やプロダクトによって設計や技術選定で重視すべきポイントは大きく異なります。発表では弊社について簡単に紹介した後に以下のような観点を中心にお話しました。
- ゲーム事業
- UI 表現や演出をどこまで Web 技術で担うか
- 実装コストと体験価値のバランス
- 非エンジニアでも緊急対応が可能な技術選定
- キャッシュ対策
- メディア事業
- モダンかつ堅実な技術選定
- 長期運用を前提とした保守性・拡張性
- SEO やパフォーマンスを意識した設計判断
- フロントエンド以外のドメイン ( 例: 動画技術 ) への理解
- インターネット広告事業
- toB プロダクト特有の UI/UX
- モノレポ構成や開発効率を意識したアーキテクチャ
- プロダクトのドメインを如何に理解して設計に落とし込むか
これらの事例を通じて事業やユーザー価値にフィットした技術選定や設計重要性、そしてフロントエンドエンジニアが担う判断の幅広さについて共有しました。
当日の発表スライドは以下で公開しています。
聴講したセッションのご紹介
久保、守田、吉川が聴講したセッションのうち興味深かったものをご紹介します。
アクセシビリティの自動テストはどのように行われているのか? axe-core の処理を巡る旅
聴講者: 久保
資料: https://axe-core-deep-dive.vercel.app/1
axe-core はブラウザ拡張や E2E テストツールを通じて日常的に利用されることの多いライブラリですが、本セッションではそれをブラックボックスとして使うのではなく、どのような思想と仕組みでアクセシビリティ違反を検出しているのかが丁寧に解説されていました。
特に印象的だったのは、axe-core が DOM を解析した上で、WCAG やアクセシビリティのベストプラクティスに基づいた多数のルールを順次適用し、違反を検出している点です。
一方で、視覚的な分かりやすさや操作体験といった、人間の判断が不可欠な領域については、自動化の限界も明確に示されていました。
また、axe-core がブラウザ拡張や Playwright・Puppeteer などの E2E テスト、CI/CD パイプラインにも組み込める「エンジン」として設計されている点も改めて理解できました。
発表中に仰っていた「自動テストは目的ではなくて手段」というのはアクセシビリティ以外でも広く意識すべきだなと改めて感じました。
また、axe-core 自体はフロントエンドに携わると必ず一度は触ると思うのですが、内部構造や持たせるべき役割に強く意識を向けたことがなかったので勉強になりました。
あくまで機械的なチェックによるアクセシビリティ担保のベースとして、人間との協働があることでアクセシビリティ改善につなげられそうです。
旬のブリと旬の技術で楽しむ AI エージェント設計開発レシピ
聴講者: 守田
資料: https://speakerdeck.com/chack411/xun-noburitoxun-noji-shu-dele-simu-ai-ezientoshe-ji-kai-fa-resipi
AIを活用するのが当たり前となった昨今、AIエージェントが業務プロセス内の作業を担うことが弊社内でも増えてきています。その流れの中、本講演では「複数の専門エージェント」を協調させる具体的な設計手法が解説されました。
特に、Sequential、Handoff、Group Chag、そして解決手順が未定の課題に対応するMagenticといった複数のオーケストレーション手法を知ることで、今後の業務改善のビジョンが大きく広がりました。また、トヨタの「大部屋」事例のように、各エージェントへ適切に役割分担を行い、与えるツールとナレッジをあえて絞り込むことが、複雑な業務にAIを適用するための重要なポイントであると再認識できました。
実装面では、Semantic KernelとAutoGenを統合したMicrosoft Agent Frameworkの利便性が印象的でした。GitHub Models等を活用し、コードベースで素早く構築できる点は魅力的に感じました。
これらのAI間の効率的な連携を図る設計思想を活かして、より高度なAIエージェントの開発に取り組んでいきたいと思います。
AIで急増した生産『量』の荒波をCodeRabbitで乗りこなそう
聴講者: 吉川
Day 1のランチセッションで、CodeRabbitのデベロッパーアドボケイトである中津川篤司さんの講演「AIで急増した生産『量』の荒波をCodeRabbitで乗りこなそう」を聴講しました。 AIエージェントが普及したおかげで生産性は確かに向上していますが、CodeRabbitの調査によると、AI生成コードはメジャーな問題を人間の1.7倍含み、可読性の問題は3倍以上という結果が示されました。つまり「量」は増えたものの、「質」の担保が新たな課題となっているのが現状です。
特に印象的だったのは、DORA State of AI-assisted Software Development 2025の「AIは増幅器である」という指摘です。高パフォーマンス組織では開発速度が上がる一方で、コード量が急増しレビュー頻度の負荷も高まります。一方、苦戦する組織では、AIによって生産量は増えるものの、品質問題の見落としやレビュー待ちのボトルネックといった既存の問題がさらに悪化してしまいます。
講演では、その具体策として、AIエージェントを使ったコードレビューと人間によるレビューの役割分担が示されました。AIのレビューによってどこまで品質を担保させるかという点と、人間によるレビューでどこまで保証するかという点が言語化されていて、今後の開発体制を見直す指針になりそうでした。
AIが一次レビューで要件充足やガイドライン準拠をチェックし、人間は設計意図やリスク評価に集中する。この役割分担を明確にすることで、レビュー待ちのボトルネックを解消しながら、本質的な品質担保も実現できると感じました。私のチームでも様々なAIレビューツールを検証中ですが、今回の講演で得た知見を活かして、より良い開発体制を整えていきたいと感じました。
振り返り
今回の BuriKaigi 2026 へのスポンサー参加と LT 登壇を通じて、サイバーエージェントの会社や事業について、また各事業を経験したフロントエンドエンジニアがどのような技術判断を行うかについて発信することができました。
BuriKaigi は毎年多くの方が参加される歴史と活気のあるイベントですが、初参加の私たちを温かく迎え入れていただき心より感謝しています。
また、スポンサーブースでの対応の合間にいくつかのセッションを聴講しました。普段の業務では意識していなかった視点やよく使うツールの内部構造、さらには全く触れたことのない技術など幅広いトピックに触れることができ、我々個々人としても有意義な時間を過ごせました。
今後もサイバーエージェントは技術イベントへの参加や情報発信を通じてエンジニアコミュニティとのつながりを大切にしていきたいと考えています。
また、サイバーエージェントとして初めての協賛ということもあり、参加者としてだけでなく、スポンサーブースでの運営や来場者への案内など従来とは異なる視点でイベントに携わることができました。
最後になりますが、BuriKaigi 2026 の開催・運営に尽力された皆さまに心より御礼申し上げます。ありがとうございました!
