MdN Design Interactiveで連載中の
「Amebaクリエイティブディレクターが選ぶ!
今月のオススメアプリ5選」
今月は、あっ!と驚く【Adobeのツール系 スマホアプリ】にフォーカス!
皆様こんにちは。先日、愛犬スパン用に海外製の自動エサやり機を導入しました。5食分セットできる上に、セットした時間に録音した音声を流せるという優れもの。UIも分かりやすく、ボタンの長押しを起点にタイマーを設定するので犬による誤操作もなく素晴らしい! と思っていたら、肝心のエサ蓋の締まりが甘く、セットしたタイマーの時間が来る前にこじ開けられて敢え無くハックされてしまった、佐藤です。
さてこの連載では、Ameba内でも話題になった気になるオススメアプリを、UIデザインの観点からご紹介させていただきます。今月は、いつもお世話になっているAdobeがリリースしている、ツール系アプリを考察してみたいと思います。
【スキャンの概念が変わる!】ワクワク感が止まらない新体験
1.Adobe Capture CC – デジタルアセットの作成
価格:無料(2017年6月2日現在)
ワクワク度:★★★★★
簡単な操作で驚くほど創作の幅が広がり、Creative Cloudとの連携が便利なアプリ「Adobe Capture CC – デジタルアセットの作成」。カメラを通して、そこにあるものを瞬時にシェイプ化したり、見ている景色からカラーテーマをさっと取得できるなど、「スキャン」という概念を根底から覆してくれる一本だ。高度な技術とは裏腹に操作は非常にシンプルで、中央下部の「+」ボタンからカメラを立ち上げ、対象を撮影するだけで高度に処理されたデータをCreative Cloud上で使うことができる。こうした機能の「重さ」と操作性のギャップがユーザー体験をより深いものとし、サービスの魅力を増幅させるのではないだろうか。
▷iPhone: Adobe Capture CC – デジタルアセットの作成
▷Android: Adobe Capture CC
【まるで手書きの感覚】ササッとワイヤーフレームを簡単作成
2.Adobe Comp CC
価格:無料(2017年6月2日現在)
ササッと使いこなしたい度:★★★★★
シンプルなジェスチャーでササッとワイヤーフレームが作れるアプリ「Adobe Comp CC」。このアプリが独特なところは、まるで紙に書いているような入力感覚にある。例えば、なんとな~く書いたバツ印が画像に見立てたシェイプに変化したり、なんとな~く引いた線がプレースホルダテキストに変化したりと、アイデアラッシュをする際に紙にスケッチするような感覚で入力すると、それを自動で整えてくれるのである。
また、自然なジェスチャーに対して心地よいレスポンスが返ってくるよう、巧みな設計もされている。紙に一度書いたものを消す際に、上からグシャグシャッとペンで塗りつぶした経験は、きっと誰にでもあるでしょう。このアプリでは、そのジェスチャーを感知し「消しゴム」として機能するのである。このように、普段何気なく行っている行為に近い入力ジェスチャーを用いることで、ユーザーの学習コストを下げ、さらに、思い通りに操作できたという驚きも与えてくれる。
▷iPhone: Adobe Comp CC
▷Android: Adobe Comp CC
【心地よい使用感】ユーザー環境を細やかにサポートする
3.Adobe Photoshop Sketch
価格:無料(2017年6月2日現在)
さぁ描くぞ度:★★★★★
「Adobe Photoshop Sketch」は、Photoshopの高性能なペイントエンジンを用いて本格的なドローイングができるアプリだ。高クオリティなブラシや筆感がさすがのAdobe製と言えるところで、ペン先のサイズやインク量の調整など詳細な設定が直感的に操作できる点が心地よい。また、すべての画面がシームレスに遷移し、絵を描くための色々なツールがその上に乗って来るような演出になっているため、「描く」という行為に対して「最適な環境をサポートをされている」感覚をユーザーに与えている。このように、便利な機能をただ提供するだけでなく、受け手の快適さに配慮できるかどうかが、ツール系のアプリには重要なのかもしれない。
▷iPhone: Adobe Photoshop Sketch
▷Android: Adobe Photoshop Sketch
【写真やデータを読み込むだけ!】あっと驚くフォーム入力
4.Adobe Fill & Sign DC – PDF フォームを簡単入力
価格:無料(2017年6月2日現在)
試してみたい度:★★★★★
PDFや画像データを用いて簡単にフォーム入力することができるアプリ「Adobe Fill & Sign DC – PDF フォームを簡単入力」。フォームを検知し、最適な入力ができるこのアプリだが、その検知の精度にまずは驚かされる。記入前の紙の書類などをカメラで撮影しアプリに取り込むと、チェックボックスなのか、フリーエリアなのかを自動で検知し、最適な入力を促してくれるのである。
また、入力後にタップすると出てくる、サイズ変更や削除を行うためのポップオーバーの仕様が秀逸で、画面のドラッグ中は消え、止まるとまた出現するため、必要以上にフォーム本体を覆うことなく快適な編集作業が行える。ユーザーの意図に則して挙動するこうした配慮が、使い勝手の向上にしっかりとつながっている。
▷iPhone: Adobe Fill & Sign DC – PDF フォームを簡単入力
▷Android: Adobe Fill & Sign
【圧巻の補正技術】歴史あるPhotoshopが誇る、自然な写真加工
5.Adobe Photoshop Fix
価格:無料(2017年6月2日現在)
つい小顔にしてしまう度:★★★★★
Photoshopの技術を用いて、画像の補正に特化したアプリ「Adobe Photoshop Fix」。明るさの補正や彩度の調整はもちろんのこと、2月の同コラムでも紹介した「コンじる」機能など、本家Photoshopにも負けない補正機能を持つこのアプリだが、中でも特徴的なのは「顔」の補正である。
ストア上にはセルフィーをより「盛る」ための加工系のアプリが数多く存在するが、Adobe製ということもあり、このアプリの加工の「自然さ」は群を抜いている。顔写真を読み込むと、目や口などの基本的な顔のパーツを自動で判定し、口角を上げたり、目元を左右対称にしたりと、美しく自然な補正が可能だ。また、詳細機能のUIはクロスビューで出現するため、今なんの操作をしているのかがわかりやすく、操作への安心感へとつながっている。
▷iPhone: Adobe Photoshop Fix
▷Android: Adobe Photoshop Fix
老舗が誇る、圧倒的なサービスクオリティに称賛
ストア上に無数に存在する「カメラ」を用いたツール系アプリ。スマートフォンに内蔵されるカメラ自体の性能が進歩し、より高画質で高品質なデータ処理が可能となった昨今、ユーザーが求めるニーズはよりニッチに進化してきているように思える。今回紹介したAdobe製のアプリはどれも、あえて対象ユーザーを絞り、ニーズに特化することであっと驚くユーザー体験を提供しているものばかりであった。もちろん、Creative Cloudとの連携が前提となっているものが多いため、用途に応じて使い分ける必要はあるが、圧倒的なサービスクオリティを体感したユーザーからすれば、機能のニッチさはさほど問題にはならないのかもしれない。突き抜けたクオリティ。大変勉強させていただきました。