11/14 – 15 にて、プロダクトマネージャー・カンファレンス 2017 が開催されました。
初回だった昨年は、サイバーエージェントのセミナールームにて開催され、数多くの著名な登壇者により非常に話題となったイベントです。
今年に関しても、登壇者発表前にすべてのチケットが売り切れ、一時キャンセル待ちが200名に届くなど、大盛況のうちに開催されました。
サイバーエージェントもプラチナスポンサーとしてイベント協賛し、アドテクスタジオから2名が登壇しました。
また、アドテクスタジオから3名が実行委員、事務局として運営に携わっています。
この記事では、本カンファレンスに参加したアドテクスタジオのメンバー4人が、それぞれ印象に残ったセッションをご紹介致します。
セッション紹介:プロダクトマネージャートークセッション
アドテクスタジオ「AMoAd」開発責任者(エンジニアリングマネージャー)をしている福原です。私からは、弊社アドテクスタジオCPO(チーフプロダクトオフィサー)藤田が参加した プロダクトマネージャートークセッション を通して、アドテクスタジオにおけるプロダクトマネージャーの役割を振り返ります。
まずアドテクスタジオの組織・ビジネスには、以下のような特徴があります。
- 小さい組織(=プロダクト)を作り全権限/責任を持たせる
- アド=広告 と テク=技術 を両立したサービスを提供する必要がある
- BtoBtoCサービスのため、ステークホルダーが多い
このため、プロダクトマネージャーには多岐に渡るスキルが求められます。セッションの中でも藤田はプロダクトマネージャーに求めるスキルを以下のようにコメントしています。
- 関係者を巻き込んでプロダクトを立ち上げる
- ステークホルダーの目線で意見が言える
- 広告事業に精通している
そこで、アドテクスタジオではプロダクトマネージャーを支えるために
- プロダクトマネージャーのバックグラウンドに合わせて複数人でプロダクトマネージャーの役割が遂行できるようにする体制
- あした会議のような会議体で組織横断のコンセンサスを取れるようにする
のような施策をとっており、多岐に渡るスキルをカバーしています。
全体として、アドテクスタジオのプロダクトマネージャーは、役割は多くなりがちだが持てる権限も広く、プロダクトマネージャーをサポートする体制もあるため、私のようなエンジニア出身の人間でもチャレンジしがいあるポジション(キャリア)だと思いました!
当日の様子はwebexpert-draftに詳しく掲載されています。興味のある方はこちらからどうぞ!
セッション紹介:エンジニアがプロダクトマネージャーとして役割を全うするためになにをするべきか
アドテクスタジオ「AI Messenger」開発責任者(プロダクトオーナー兼エンジニアリングマネージャー)の、横道です。今回のイベントでは、実行員として運営に携わっていました。
私からは、アドテクスタジオ「Dynalyst」の開発責任者を務める木村の「エンジニアがプロダクトマネージャーとして役割を全うするためになにをするべきか」というタイトルのセッションのご紹介です。
当セッションでは、「エンジニアのキャリアパスとしてのプロダクトマネージャー」を念頭において話されたセッションです。
アドテクスタジオでは、組織で明示的に「プロダクトマネージャー」という肩書を設けるように決めているわけではありませんが、各プロダクトでその機能の重要性は認識されており、その機能を誰が担うかは各プロダクトに委ねられています。
多くのケースでは、事業責任者と開発責任者がそれぞれの強み弱みを補完しあって、プロダクトマネジメントを実現しており、当セッションの Dynalyst も同様です。
また、テクノロジーがプロダクト設計に大きく影響を与えるアドテクプロダクトでは、開発責任者がプロダクトマネジメントに影響する割合が非常に高くなります。
そういった役割を担う中で、エンジニア出身としてはなかなか理解・取得しがたかったマインドやスキル、逆にエンジニア出身だからこそ強みとして発揮されたマインドやスキルなどについて当セッションで語られました。(詳細をぜひスライドでごらんください)
実践しながら数々の成功や失敗を経験した木村ならではの、リアルなセッションとなっており、PM がエンジニアのキャリアパスとして、挑戦的で可能性のあるものであると確信できるセッションでした。
セッション紹介:Salesforceで行われているプロダクトマネジメント
アドテクスタジオで「iXamDrive」の開発エンジニアをしております、岩永と申します!
現在はエンジニアとして4人チームの開発責任者を任されておりますが、自身のキャリアプランを考える上で「プロダクトマネージャー」とはどういったものかを学ぶ目的で当カンファレンスに参加しました。その中から「Salesforceで行われているプロダクトマネジメント」のご紹介をさせて頂きます。
まずセッション前半では「ベンチャーキャピタルが投資したい良いプロダクト」について以下の条件があると挙げられていました。
- どのユーザーのどういうPainを対象にしているかがクリアである
- ユーザーPainのストーリーが描けており、それに適合したSolutionになっている
- Must Haveになっている(一部のコアユーザーに対して)
「UIが優れている方がベストだが、デザインがイマイチでもユーザーPainを解決していればいい」と語られていたように、機能開発をする上でより優れたものを求めようとした過程で機能の本質を見失ってしまうことは時折あると思います。
改めて解決すべき課題や機能の本質という目指すべきVisionと方向性を明確に示していくことはプロダクトマネージャーにとって重要な責務だと感じました。
セッション後半は「開発プロセスやチームの役割」についてのお話でした。「V2MOM」と呼ばれる意思統一プランを全社員が宣言し、それを実行する為の独自アジャイル開発「ADM(Adaptive Delivery Methodology)」を行っているようです。
メンバー構成として「PO(=Product Manager)」「スクラムマスター」「エンジニア」「UX」「ライター」があり、10人程度のチームでなんと400チーム以上が同じリリースプロセスで動いているとのこと…!
また、
- テストプラン、オートメーション化など徹底した品質管理
- 平行した次リリースプランニング
- 月に1度、PMによる経営陣へのプロダクトレビュー
- 木曜はエンジニアとMTGしてはいけない(データ上、木曜日が一番コードのクオリティが高い)
- エンジニアはフィーチャーリリース毎にチーム移動することが出来る(エンジニアのモチベーション向上, PMのチームビルド促進)
など興味深いものが多く、とても内容の濃いセッションでした。
弊社にも似た取り組みとしてキャリチャレと呼ばれる希望する他部署/グループ会社への移動にチャレンジ出来る社内公募制度があります。またアドテクスタジオの制度にあるスキルアップゼミでは開発プロセスや、マネージメントなどについての研究ゼミも複数あり日々仕事の仕方や働き方について改善が行われておりますが、徹底したプロダクト開発の1つとしてメンバーが自走する原動力になる「働きたいと思える環境作り」の重要性を再認識しました!
セッション紹介:プロダクトマネージャーの採用と育成
アドテクスタジオでエンジニアをしている西山です。プロダクトマネージャーでも開発責任者でもなく、2人チームで広告の運用ツールの開発をしています。
将来プロダクトマネージャーを目指しているとかではなく、日本のマネージャー層が、どんなことを考えてその仕事をしているかに興味があり、本カンファレンスに忍び込んでみました。
私が最も興味深いと感じたセッションは、日本でGoogle Mapのプロダクトマネージャーを勤めている、GoogleのBryan Cheng氏、Capella Yee氏による「プロダクトマネージャーの採用と育成」です。
本セッションについて、簡単に紹介しつつ感想を述べたいと思います。
彼らが話していたのは、Googleで行っているAPM: Associate Product Managerプログラムです。
Associate Product Managerとはざっくりといえばプロダクトマネージャー見習いです。APMプログラムは、コンピュータサイエンスを専攻したプロダクトマネージャーを志す新卒社員向けのプログラムで、2年かけて2つのプロダクトでAPMとして働くプログラムです。彼らには同じAPMの先輩がメンターとしてつき、サポートを受けます。この2年間のプログラムを完了すると、晴れてプロダクトマネージャーになることができるそうです。
本プログラムで面白いのが、APMトリップです。これは、世界各地の文化や生活スタイルを学ぶために4つの国を旅行するプログラムです。さらに、各国では最先端の企業を訪問し、その技術がどう生活に生かされているかを学ぶそうです。彼らは、セッションを通してコミュニケーションが大切であるとおっしゃっていて、この研修もそれを支持するものになっているのかなと思いました。
世界中の拠点、様々な役職の人とともに仕事をするGoogleのプロダクトマネージャーにとっては、多様な人と関わりを持つとても貴重な機会なのでしょう。
また、APMプログラムを受けた同僚たちのコミュニティもあり、みんな仲が良いと話していました。「ベストフレンドはAPMの仲間だ」なんてこともおっしゃっていました。
このプログラムが始まった背景には、かつてコンピュータサイエンスが新しい分野で、プロダクトマネージャにその知識を持った人がいなかったことがあるそうです。そこで、いないならコンピュータサイエンスを専攻した学生を採用し、プロダクトマネージャーになるまでの育成をしてしまおうというのが面白いです。採用条件にもプロダクトマネージャーとしての知識は必要ありません。それらはこの研修や実際の仕事を通して身につけていくとのことです。
ここからは私見ですが、プロダクトマネージャーとは非常に広範囲の知識を必要とされ、いわばスーパーマンのような人間にしかなれないと考えていました。しかし、彼らの発表では一貫してコミュニケーションが最も大切であると主張しており、研修内容もそれを支持するような内容になっていました。プロダクトマネージャーとは、 コミュニケーションをとり、チームで協力してひとつのプロダクトを作り上げる → その上で必要とされる技術を身につける であるなら、最初考えていたイメージよりは、私達でもなれるかもしれないという親近感がわきます(とはいえ、やはりGoogleの彼らもスーパーマンの要素を持ち合わせているように思いますが^^;)。
それと何より、彼らはプロダクトのことが大好きで、セッションでも楽しそうにプロダクトのことを話していました。一貫性のあるセッションと丁寧な質疑応答も相まって、彼らのようなプロダクトマネージャーの下で働いてみたいと心から思いました。
簡単でしたが、以上で参加レポートといたします。
アドテクスタジオでは、プロダクトマネージャーを募集していますので、さいごに募集ページのリンクをそっと置いておきますね。