サイバーエージェントでは様々なエンジニア向け勉強会を継続的に開催していますが、メディア事業広告部門「MDH」のエンジニアたちが運営する「オレシカナイト」もその一つ。
2017年2月にスタートした同イベントは、これまでGoや広告配信システム、機械学習などアドテク分野における様々なテーマで全5回実施してきました。
Developers Blogでは「オレシカナイト」の運営に携わる「MDH」エンジニア 林、片田にインタビュー。「MDH」技術組織の概要やイベントを継続的に運営する工夫など話を聞きました。
林 欣朋 メディア事業広告部門「MDH」サーバーサイドエンジニア。 金融系SIerを経て、2011年サイバーエージェント中途入社。Androidエンジニアとしてネイティブアプリ開発に携わった後、2013年よりサーバーサイドエンジニアとして占いサービス「SATORI」の立ち上げに従事。 2015年6月からMDHに異動し、「Ameba Infeed」の配信ロジック周りを担当している。
片田 雄樹 メディア事業広告部門「MDH」「Ameba DSP」開発責任者。 2015年サイバーエージェント新卒入社。グループ会社CyberZにてスマートフォン効果計測ツール「F.O.X」のサーバーサイド開発を担当した後、2016年5月からMDHに異動し現職。
アドテク分野におけるシステムが全て備わっているMDHの勉強会
ーーはじめに、メディア事業広告部門「MDH」について教えてください
林:当社が提供する「アメブロ」やニュースメディア「新R25」などメディアサービスの広告収益を担う組織です。営業職なども含めると全体で約120名の組織でエンジニアは約30名在籍しており、我々が担当しているのは自社メディア向けの広告配信サーバーや外部メディアへ広告を配信するためのDSPと、これらの配信設定を行うための管理画面などです。
MDHの特長としては、グループ会社の株式会社AJAまで含めると、アドネットワーク、SSP、DSP、DMPなどアドテク分野における一連のシステムが備わっていること、そして自社でメディアを持っていることが挙げられると思います。
ーー「オレシカナイト」発足のきっかけは何だったのでしょうか?
片田:きっかけとしては、MDHにおけるエンジニア採用がなかなか成功しないことでした。サイバーエージェントにはアドテクスタジオという別組織があるため、MDHで自社メディアを用いてアドテクをやっているイメージがなかなか浸透しないことが長年の課題だったんです。そこでイベントを運営し、社内外に “MDH=アドテク” というプレゼンスを強めることで中長期的に採用につながればという思いから始めました。
2017年2月からスタートし、3ヶ月に1度の開催を目指しており、これまでに全5回実施してきました。今後は隔月で開催していきたいと思っているところです。
毎回必ず行うイベント後の反省会
ーー毎回どのように企画を考えているのでしょうか?また、運営する上で工夫している点はあれば教えてください
林:企画は運営メンバーの皆でMTGして決めています。毎回テーマを決めていて、直近では機械学習をテーマに開催しました。その他にはアーキテクチャに特化したり、Goについての回もありましたね。MDHメンバー以外にも社外でも登壇してくれる方を募集しているので、知り合いに声をかけたりもしています。
片田:運営上の工夫としては、毎回アドテク関連のコアなテーマに絞るようにしています。2017年2月の初回テーマが自らの失敗談をざっくばらんに話し合える機会を作ろうというものだったんです。開発していく上で何かしらの障害や失敗を越えていった経験は誰にでもありますよね。 その意味で、”オレ達のシカばねを超えていけナイト”という意味で「オレシカナイト」というイベント名にしたのですが、最近では企画する上でそこを無視してしまっていますね(笑) 屍でなくてもタメになる話なら良いかな、という。
あとは必ずイベント終了後に反省会をするようにしているのですが、それが効果的かと思っています。参加者のみなさんに書いていただいたアンケートを見ながらイベントの振り返りを行っています。たとえば2017年末に開催したビアバッシュ<大会では、アンケートを見る限り皆お酒を飲みながら盛り上がってしまったので、LTが聞こえずらかったという意見がちらほら…ビアバッシュとLTは組み合わせが良くなかったのかもしれません(笑)アンケート結果は次回のイベント運営に活かすように心がけています。また、反省会を行う際に必ず次回以降のテーマや担当者も決めています。
林:たしかに次回も必ず実施する前提で動けているから、継続的に続けられているよね。
片田:運営サイドの自分たちも楽しいしタメになることが多いので、やらない選択肢がないという感じですね。毎回勉強会のテーマを絞っている分名の知れたアドテク企業で働くエンジニアやディレクターが来てくださるので、登壇だけでなく懇親会でもかなり有意義な情報が得られてありがたいです。あくまで自分が知っている範囲ですが、アドテクに特化したエンジニア向けの対外的な勉強会は「オレシカナイト」ぐらいなのかなと思っています。
林:継続的に参加してくださる方が「オレシカナイトがあって助かるよ」と言ってくれるのが嬉しいですね。私たちが登壇する際にも、数値を隠しているくらいでロジックなども対外的にかなりオープンにお話しています。
最近ではConnpass上でイベント募集を開始すると次の日には定員に達するほどになりました。
アドテク勉強会=オレシカナイト、というブランディングを強めたい
ーー今後「オレシカナイト」をどのようなイベントに成長させていきたいと考えていますか?
片田:勉強会の方向性については、正直運営メンバーで悩んでいるんです。もともと採用目的も兼ねてスタートさせましたが、直接的に採用につなげることってやはり勉強会では難しいので、採用イベントは別で設けても良いのではないかな、とか。
ただ、エンジニア向けのアドテク勉強会自体は珍しいと考えているので、より積極的に運営していって “アドテク勉強会=オレシカナイト”というブランディングを固めていくという方向性は個人的にはありかなと思います。
林:また、最近では「AbemaTV」広告部門やグループ会社である株式会社AJAと一緒にPTA(パブリッシャーアドテクノロジーアソシエーション)という社内メディア事業における広告部門横断組織をつくりました。2018年4月に開催する予定の「オレシカナイト」第6回では、MDHのみならずPTAとしての枠組みで記事レコメンドをテーマに開催したいと考えています。
ーー最後にMDH技術組織の今後の展望について聞かせてください
林:アドテク分野では技術がとても重要になります。しっかりとした技術をベースに、事業視点も持った上でメディアサービスの売り上げを作っていきたい、という熱い想いを持ったエンジニアがさらに増えていくと良いなと考えています。
片田:「MDH」には市場ナンバーワンと言える領域がまだ無いことに課題意識を感じています。なので「MDH」にしかできないような独自の発想で新たなプロダクトを続々と開発して「この領域はMDHがナンバーワンだね」といわれるような状態を作っていきたいです。その上で大前提としてメディア事業をマネタイズするための組織なので、自社メディアの収益を最大化するというミッションは忘れずにいたいですね。”マネタイズ領域はMDHが担い、メディア事業の担当者はユーザーの皆さんのために良いサービス作りに集中する” という役割分担についてもより一層意識していきたいと考えています。