こんにちは。アドテク本部 AI Lab の馬場です。

6月5日から8日にかけて鹿児島にて開催されていた 2018年度人工知能学会全国大会 で、プラチナスポンサーとして参加してきました。当社の研究活動を紹介するためにブース展示や研究発表をしてきましたので、その様子をレポートしたいと思います。

 

人工知能学会全国大会について

 (会場の城山観光ホテル)

「人工知能学会全国大会」は、人工知能に関する学際的学問研究の促進を目的として、日本全国の大学・研究機関・企業から学生や研究者が集い、研究成果の発表を行う大会です。32回目の今年は鹿児島の城山観光ホテルにて開催され、会場には2,500人以上の方が訪れて研究発表に耳を傾けていました。

今大会は過去最高の参加人数だったようで社会からの関心の高さがよくわかります。そして、弊社からの参加メンバーも過去最高の人数で(アドテク AI Lab + 秋葉原ラボ:13名、アドテク事業責任者:5名)、社内からの関心の高さもますます増えています。特に、事業責任者のメンバーがこういう学会に参加するのは、会社における研究活動のしやすさという点で非常に良い傾向にあると感じています。

 

ブースでの企業展示

(ブース展示の様子)

サイバーエージェントのブースでは、研究内容をまとめたポスターや冊子、アメニティなどを展示しました。とても多くの方にブースまで来ていただき、AI Lab の研究活動秋葉原ラボの研究内容についてたくさんの意見やコメントをいただきました。

(AI Lab の3つの研究領域)

特に、レイヤー構造を保持した画像データからの広告クリエイティブ自動生成や、大阪大学の石黒研究室と進めているチャットボット・ロボットによる接客自動化といった研究テーマについて「そんなことまでやってるんですね」と驚かれることが多かった印象です。

また、秋葉原ラボでの技術や分析事例をとりまとめた「技術報告書」の売れ行きはすごく、想定の倍以上の冊数を皆様にお配りすることができました。「こういうの欲しかったです」と多くの方に喜んでいただけました。

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(秋葉原ラボの技術報告書)

サイバーエージェントが取り組んでいる研究活動について企業展示を通じて多くの方に知ってもらえたのはとてもよい機会だったと感じています。

(ブースでの意見交換)

サイバーエージェントからの研究発表

今大会では、サイバーエージェントから口頭発表セッションにて6本、インタラクティブセッションにて3本の、計9本の論文を発表いたしました。ソーシャルネットワークにおける「いじめ相談」の分析から、匿名化の手法、広告効果の予測、位置情報を用いた地域の属性予測の話まで、幅広い分野の研究について議論させていただきました。

 

[1N2-02] CVR予測のためのノンパラメトリックDelayed Feedbackモデル

〇吉川 友也1、今井 優作2(1. 千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター、2. 株式会社サイバーエージェント)

 

[1B3-04] 仮想社会における社会関係とソーシャルサポートに関する一考察

〇高野 雅典1、水野 寛1 (1. 株式会社サイバーエージェント)

 

[2H2-05] 「土地勘」は学習できるのか

森脇 大輔1、〇宗政 一舟2、深見 俊和1(1. 株式会社サイバーエージェント、2. 明治大学)

 

[2Z3-02] 未成年女性のネットリスク分析

〇平野 雄一1、鳥海 不二夫1、高野 雅典2、和田 計也2、福田 一郎2(1. 東京大学、2. 株式会社サイバーエージェント)

 

[3Pin1-15] テキストチャットにおけるクエリ終了タイミングの検出

〇田中 駿1 (1. 株式会社サイバーエージェント)

 

[3O1-OS-1a-02] オンラインコミュニケーションにおける「いじめ経験の告白」

高野 雅典1、〇角田 孝昭1 (1. 株式会社サイバーエージェント)

 

[3H2-OS-25b-01] 残差に基づいて匿名性と有用性を両立させる匿名加工に関する考察

〇森下 壮一郎1 (1. 株式会社サイバーエージェント)

 

[4Pin1-14] 深層学習によるFacebook広告のCTR予測

〇岩崎 祐貴1 (1. (株) サイバーエージェント)

 

[4Pin1-19] CycleGAN を用いた感情スタイル転送

〇大田 和寛1 (1. 株式会社サイバーエージェント)

 

聴講した発表まとめ

大会全体では、深層学習にはじまり、画像処理や自然言語処理、機械学習やデータマイニングなど幅広い技術領域の研究や、コミック工学や産業AI、医療や介護への応用事例まで、多種多様で面白い取り組みがたくさん発表されていました。そこで今回参加した AI Lab メンバーが、各自聴講した発表を一言でまとめました。こちらも合わせてご覧ください。

人工知能学会 2018 参加報告

おわりに

大会中の4日間は、17の会場で並列にセッションが開催されていて、深層学習だけでなく、記号処理や推論的なアプローチで良い結果を達成している研究もまだまだ多くありました。基調講演での甘利先生のお話にもありましたが、「深層学習が席巻しているからといって記号や論理の技術が必要でないわけではない」ということを改めて感じました。

また、参加して特徴的だと感じたのは参加者の多様さです。「人工知能」という学問領域の高い学際性がよく反映されていたのだと思います。発表や質疑の場では、大学や研究機関の理工系研究者だけでなく民間企業の研究者・技術者や政治学者・経済学者・哲学者などの社会科学・人文科学の研究者と活発な議論がかわされていました。

加えて併催された「AI若手の会」(秋葉原ラボの高野と角田が参加)では学生や若手研究者だけでなく、民間の研究者・技術者も多く参加しており、研究やキャリアについての議論・情報交換が行われていました。

今回の参加では会社としてもたくさんの良い刺激をもらったので、人工知能技術の研究開発にサイバーエージェントとしてしっかり貢献していけるよう頑張っていきたいと思います。

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2014年新卒入社で、アドテクノロジーに活用するためのAI研究組織「AI Lab」で研究をやっています。 現在は人とエージェントの対話の研究を行っていて、 4月からは大阪大学 石黒研究室との産学連携の元、招聘研究員として阪大に常駐して研究を進めています。