こんにちは! 新規開発チームのデザイナーの井上です。今年も残りわずかですね、年末年始のご予定はお決まりでしょうか?
今回は「新しい年に向けて、新たな目標について考えてみる」という方も多いかと思い、目標設定についてのお話です。
このブログを書くにあたっては、ゲーム部門の新卒デザイナーのメンバーから「デザイナーの目標の立て方について講義をしてほしい」と依頼を受けたことがきっかけです。
と言っても、そのような “講義” という形式で偉そうに語るほど知見があるわけではないので、「どうしたものか?」と考えた結果…
どうせならその場で目標をアウトプットできるような、目標を立てるコツが見つかるワークショップを提案してみました。
今回はそのワークの内容と、自分なりに “ステキな目標” と “びみょうな目標” についてまとめてみましたので書かせていただきたいと思います!
目次 ・目標とは誰のためか? → 目的か目標か? ・ワーク1 → デザイナーになったきっかけは? ・目標の書き方のポイント → びみょうな目標 → ステキな目標 ・ワーク2 → 目標発表 ・まとめ
目標とは誰のためか?
ワークに入る前にまずは、誰のために目標を立てるのかを考えてみました。
おそらく多くのデザイナーが目標を立てるにあたって、全ての価値を定量的に測れるケースが少なく、どのように成果や成長を証明できるのか?
そこにモヤモヤを感じる人が多いと思ったからです。
もちろん数値を指標にできるものは、なるべく定量化して表したほうがよいでしょう。
ところがデザイナーという職種の特性上において判断しにくい、定性的な部分でも組織に貢献していることを伝えなければなりません。
定性的な部分に関しては、目的と目標を分けて考えるとイメージ広がります。
目的か目標か?
まず、この2つを理解して具体的なアクションを考えてみましょう。例えばダイエットの目標として “5kg痩せる” といった目標を立てます。
ところが、ダイエットの “目的” が “モテたい” だとすれば、モテるためのアプローチは他にもあるかもしれません。
例えば ・ 清潔感のある服装をする ・ おもしろい話ができる ・ スポーツが得意 etc...
定性的なアプローチは様々です。
話がやや逸れそうですが本題です。誰のための目標か?
デザイナーになるにも “目的” があったのではないでしょうか?どんな動機があったにせよ、デザイナーは人にやらされてなる職業ではありません。
デザイナーとしてどのような存在を目指していたかを思い描き、いまのミッションと照らし合わせながら、仕事を通して経験とスキルを高めていくことが健全と言えるでしょう。
また、どのような成果も自分に返ってくるものです。タスクベースの目標ではなく、目的を取り巻くあらゆるアプローチをデザイナー視点で解決することで、組織に貢献できていると言えます。
つまり、目標は自分のためでもあり、個人の価値を組織に還元できるものではないでしょうか?
ワーク1 デザイナーになったきっかけは?
初めのワークでは、“自分のため目標とは何か?”を踏まえて、デザイナーになろうと思った動機と現在のミッションを書き出してもらい、その2つを見比べてモチベーションの変化があるかどうかを三色の付箋に書き出してもらいました。
① デザイナーになろうと思ったきっかけは? ② いま仕事を通して求められていること ③ 1と2を比べての変化
実験的なワークとなりましたが、それぞれの “きっかけ” を黙々と書いてくれました。
書き出したあとは、他のメンバーが書いたものも俯瞰して見てみることにします。
これを行った意図としては、まず目指べき成長のベクトルが過去と現在でブレている箇所があるのか? を探ることと、未来のイメージを膨らませることができるのでは? と思ったからです。
次のワーク2では、ワーク1の結果を元に現在掲げている目標を見直してみることにします。
目標の書き方のポイント
ワーク2で具体的な目標を考えてみる前に、僕なりにステキな目標とびみょうな目標の書き方について、まとめたものを発表させていただきました。
中には悪いとも言えないものもありますので、それぞれ “びみょう度” と “ステキ度” をつけてみました。
まずはびみょうな目標の立て方についてです。
特に一年目のデザイナーがやってしまいがちな目標の立て方です。周りの先輩たちと比較して「自分には足りないところが多すぎる」という引け目から、全てを網羅しようとしてしまうことがあります。以前、このブログでも紹介した27項目のデザイナースキルを目標設定に取り入れた結果、全ての項目に目標を書き込んでしまうケースがあります。
全てを目標にすることは、何も目標にできていないのと同じです。目標は計画的に。
スキル目標が必ずしも事業とシンクロするとは言い切れないケースもありますが、組織に属する以上は事業の成果を前提に、スキル目標を設定することが望ましいと言えます。
どうしてもチャレンジしたいスキルはどうしたら事業に価値を見出せるかを、上長あるいは事業責任者とよく相談する必要があります。
承認欲求は誰しもあって当然です。特にデザイナーはそんな欲求が強い職種かもしれません。しかし、作品の前に作者が立つことはできませので、良いものを作って世の中に出されたあと、結果は後からついてくるものという考え方が健全です。
ただやることを並べただけでは目標とは言えません。それぞれの状態がどのようなものになっているかをイメージして目標に落とし込む必要があります。そのためには、
・ 検索機能はそもそもどのようなニーズがあるのか? ・ どんな課題を解決するためにデザインデータのコンポネート整理をするのか? ・ 朝会の司会をすることでチームにどのような影響を与えることができるのか?
それぞれの最高で最適な着地点を見つけだすことが重要です。
定量化することで、明確なハードルを設定しやすく、評価者側としてもわかりやすく評価することができます。しかし、数をこなすことの事実と本質は別の話です。そのクオリティはどのようなものだったのか?
本質を欠いてはデザイナーとしての評価はイマイチとなります。
やはり、こちらもその状態がどのようなものであったかを振り返れるようにしなければいけません。
ビジョナリーであるが、体現方法が見えないケースです。
未来を語れることは素晴らしいと思います!タスクベースの目標を設定するより、楽しくデザインに向き合える要素の一つです。
ただ、ビジョンは目的を抽象化したものなので “How” について落とし込む必要があります。(中長期の目標として掲げるのは良いと思います。)
因みに僕が所属するメディア部門では、OKRで基づいて設定されます。
次はステキな目標の立て方についてです。
こちらは、“びみょう” の方に書かれていた、乖離している状態の逆になります。
どうせなら事業目標とセットでスキルアップ出来ることが望ましいでしょう。
デザイナーのスキル目標は可視化できないケースが多々あります。
できればスキル目標の集大成として、アウトプットが設定さいれているとよりステキではないでしょうか。
AIがデザインをする時代を迎えようという今日この頃ですが、おそらくその時代に勝ち残る為にもコレが欠かせない条件になってくると思います。プロセス、環境、コミュニケーション、目的に関わる全てを視野に入れた目標こそステキと言えます。
100%達成だけでなく、120%も狙うのが目標設定です。そのためにも未来の状態を予測して、仮説を立てることが重要となります。超ステキです!
以上、ステキな目標とびみょうな目標でした。ご参考までに!
ワーク2 目標発表タイム
最後は発表タイムです。
事前にもらっていた目標では2〜3行ほどの目標でしたが、それぞれ驚くほど具体的な目標に変わっていました。
また、今回は 人前で発表 と言う形式をとったことで一つ副産物がありました。
それは、キャッチャーな言葉でまとめているメンバーが多かったことです。これもまた目標を立てる上では重要なエッセンスではないでしょうか。
目標は立ててから忘れてしまっては意味がありません。自分のこころに刻まれるような言葉でいつでも思い出せるものの方がより達成に向けて効果的だと思います。
まとめ
今回は新卒一年目のデザイナー向けに行ったワークでしたが、自分の原点を振り返ってみることは、学生時代に近い世代よりも、実は数年の経験を経たデザイナーの方が効果的なのでは?と思いました。
それは、今と過去では経験の中で培った価値観が反映され、また違ったモチベーションを目標にしているからです。
これは良いことです。しかし「デザイナーになろう」と思った初期衝動にこそ最大の “目的” が潜んでいる可能性があります。
当然ですが、デザイナーという職業を始めるにあたって、必要な資格などはありません。更には必ず習得するべき科目や言語もありません。乱暴ですが、言ったもの勝ちなところはあります。
それでも「この仕事をしよう」と思ったきっかけこそが爆発的なモチベーションなのではないでしょうか。
目標の立て方のエッセンスの一つとして “野心的に” とよく言われてます。
半年に一度(部署・会社によっては四半期に一度)の目標設定面談をどうせなら思いっきり書いて宣言してみるのも悪くないものです。
目標設定は会社とのコミュニケーションです。そのコミュニケーションをうまくデザインできることもデザイナーのセンスかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!