2019年02月25日 ~ 2019年02月28日バルセロナで開催された世界最大級のモバイル機器の展示会「Mobile World Congress 2019(MWC 2019)」

サイバーエージェントからは、動画技術におけるエバンジェリスト役を担っているAbemaTVの五藤( @ygoto3_ )が参加してきました。

世界各地から約10万人が訪れるという、こちらのカンファレンス。今年は、始まったばかりの5Gサービスの影響を知ると同時に新しい市場を目指した通信ビジネスの姿を垣間見れたそうです。

共有会より一足先に、現地レポートメモを入手しましたので、少しだけ公開したいと思います。

Mobile World Congress 2019 トピックメモ

 

今回の Mobile World Congress 2019 をキーワードで表すと 5G、IoT、AI、ブロックチェーン、リッチメディアでした。5G と IoT により多数のモノとモノ、人とモノが繋がり、AI やブロックチェーンなどの技術がその繋りをより安全で効率的にし、理想的には今まではなかったコミュニケーションを生み出したいという方向性です。そして、コミュニケーションの情報自体も 5G に強化されたリッチメディア技術で表現が強化されます。

以下トピックです。

 5G

– スマートフォン関連サービス分野よりも IoT による社会インフラの可能性と注目
– リアルタイムの遠隔操作、遠隔医療、遠隔ライブセッション、自動運転
– Cloud App / VR / Game / Robotics
– インタラクティブなクラウドレンダリング : リッチメディア端末を light-weight に保ち、根本的なコンテンツ表現の変更を容易かつ動的に
– コンセプトベースの仮想デモ展示も多いが、5G 関連の展示は会場に溢れている
– 夢があるけどどこか捉え所のない点も多く、実際のサービスモデルに具体的なイメージを持てている人はそれ程多くない印象
– スマートシティ化のパイロットシティは一部環境で 5G を試験開放しても、それでは全てのデバイスが繋がっている状況を再現できていないのではないかとの声
– 2025 年には全世界のモバイル通信の 15% を占める予想
– 4G も増加
– LTE NB-IoT など LPWAN へのシフト
– Samsung、LG、HUAWEI、Xiaomi、ZTE などスマートフォンメーカーが 5G 対応モデル発表
– HUAWEI、Xiaomi、ZTE など中国市場では 5G スマートフォン対応が続々発表、中国の 5G 普及への勢いが感じられる

セキュリティ/プライバシー

– GDPR 発効後初めての MWC でプライバシーに関する話題が多い
– 今回キーワードになっている 5G、IoT、AI など全ての要素に関連してプライバシー懸念が強い
– いかにセキュリティリスクなく接続し続けることができるかに注目
– Privacy by Design 設計段階からプライバシー保護を考慮に。仕組みとしてプライバシー侵されることがないことが説明されていなければ誰も信用して使えない
– 情報処理場所の変化
– 情報はあるべき場所で処理され、それ以外の場所へ移動しないように考慮されるように変化 ex. 個人情報はクライアント端末以外に移動しない
– 端末側で機械学習を実行する技術の増加
– 従来は学習するためのデータとして個人情報でも収集している
– 個人情報の保存先を端末側で完結して、外部に出さない
– 学習したモデルのみを収集
– 情報の保護と情報へのアクセシビリティは両立させる
– 保護されている安心と自分がアクセス可能な情報には確実にアクセスできるという安心がセットで技術への信用は生まれる
– 利便性と安全性を両立するパスワード認証排除のアプローチ
– PROJECT VERIFY : 2018 年 9 月発表の米国大手通信キャリア 4 社(AT&T、Sprint、T-Mobile、Verizon)によるスマートフォンの多要素認証シングルサインオン
– FIDO Alliance
– Yubico : USB を始めとしたデバイスを用いた多要素認証技術。端末にはユーザー情報は入らないので、紛失しても情報漏洩の心配なし。WebAuthn サポート
– Daon : モバイル端末を生態認証機として使う多要素認証技術

データの信用性

– 社会インフラとして捉えたときの IoT デバイスが送信するデータの信用性が低い
– ブロックチェーンを利用してデータを不変化する : IoT デバイスが署名、クラウド側がキー制御、検証、アンカリング
– ubirch : ブロックチェーンによるデータ信用性担保を SIM カードに搭載して大量生産を可能にする技術

IoT 製造・販売における eSIM の利便性

– 輸出などを考慮し製造過程でどの国で消費されるかを考えなくてもいい
– 使用時に初めてプロファイルダウンロードすることが可能
– 国をまたぐことを前提に製造できるため、ヨーロッパでは特に eSIM によるコスト抑制とスケーリングメリットが大きいのではないか

4YFN

– 4 Years From Now
– これからの 4 年間に新しい変化をもたらすスタートアップ技術
– MWC が開催する世界中から選出された 760 社以上のスタートアップ展
– JUMP : 動画視聴ログデータを ROI 向上に繋げる技術のスタートアップ。機械学習が組み込まれた BI。自動でユーザークラスタリング、動画レコメンド、広告最適化などを分析する技術の汎用ソリューション化
– TVISO : Netflix、Amazon Prime Video、HBO、Rakuten TV などを始めとした動画サービスを 1 つのサービスで視聴可能な STB。複数サービスにログインできるものはあるがサービス切り替えが必要。TVISO は切り替えなし。認証情報も TVISO 上から連携。現在スペインのみで販売
– Edgify : Deep Learning による学習モデルのトレーニングを端末完結で行うフレームワーク。学習モデルだけ収集。データ自体は端末から出ないためプライバシー保護可能。端末側でトレーニングすれば事実上必要な最大量の情報インプットが可能。ネットワークコスト/クラウド処理コスト削減
– nota : モバイル端末側で処理する画像認識技術。端末側で処理することによる制限はない(学習させれば事実上何でも認識可能)
– Globe Testing : アプリのテストフレームワーク。機能仕様からテストした方が良いケースや潜在的に問題になるケースを検出、自動化。SecDevOps ベース。セキュリティやパフォーマンスもテスト要件としてフローに組み込み
– SSMS : Secure SMS。SMS 認証を処理するための情報を暗号化。RCS の背景で SMS は本来用途では影が薄くなっているような印象は受けるが、認証においては SMS 程条件を選ばないものもない
– VIVIDQ : 50 階層の深度を表現する 3D ホログラフィー技術

低解像度動画向けの技術

– モバイル端末にとっては低解像度動画の需要が高い
– メディアテック : AI ベースで低解像度に特化した映像エンコーダー
– xHE-AAC : 6 Kbps までの低解像度で高品質を実現するための音声コーデック。Android 9 Pie から標準搭載。Digital Radio Mondiale 標準

Inclusiveness

– ヨーロッパは特にターゲット市場がさまざまな国と人が入り混じっているためかアクセシビリティや Inclusiveness を比較的自然に考慮に入れていることが会話から垣間見える
– KaiOS : 新興市場向けフィーチャーフォン用 OS が Widevine サポートを現在開発中