現在ラスベガスで開催されている「NAB Show」に「AbemaTV」エンジニアの五藤( @ygoto3_ )、山中(@toriimiyukki)、松澤(@thmatuza )が参加しています。現地から速報レポートが届きましたので、ぜひご覧ください。

NAB Showとは?

NAB Show は、1991 年からネバダ州ラスベガスで毎年開催されている歴史ある放送に関する世界最大規模のコンベンションです(※ 1990 年以前も米国各都市で開催されていたようです)。インターネット動画配信を含めた放送業界における技術動向、世界各社が投資している最新技術の発表、実用が一般的でない技術のトライアルレポートなど、貴重な情報を一堂で得ることができます。

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4K/8K

4K や 8K というキーワードを耳にするが、4K 製品はワールドスタンダードになりつつある、もはやサポートしていない製品はないレベルだと感じる。

プロダクトレベルでも、NAB Show の会場では HD 対応だけという製品は見かけない。4K に対応している製品がほとんどであった。

そんな中、Blackmagic Design は 8K 対応の廉価ソリューション、スイッチャー・レコーダーを発表。8Kの新しい製品というより、その他の会社も 8K 120p などに対応して新たにチャレンジングな展示が多かったと感じる。

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 Video over IP

プロダクション環境におけるVideo over IP関連の製品が、リファレンスの実装からサードパーティーの実装した製品が出始めた。廉価版の製品が出ることにより、多くのプロトコルが様々なところで利用されていき、より Video over IP 化が進むと考えられる。

 マルチ CDN

インターネット動画配信におけるスケーリングにおいては、CDN がシングルポイントになるケースが多い。そういったケースでは、マルチ CDN を使うことで使用できる帯域が上がり、障害点を減らすことができる。今年の NAB Show では CDN を自動で選択するソリューションが増えている傾向にあった。

低遅延ストリーミング

Bitmovin の講演によると、OTT 開発に関わる開発者のうち 92% はこの 1 年間で低遅延ストリーミングを実現したいと思っているらしいが、残念ながら現実には現在 12% の開発しか実践できていないという。eSports とギャンブル、オークション関係のイベントでは特に低遅延配信が求められているようだ。そんな中、THEO Technologies が発表した HESP(High Efficienty Streaming Protocol)は HLS や MPEG-DASH とは全く概念が異なるストリーミングプロトコルで、セグメントという概念を持たず、フレーム単位での ABR スイッチも可能である。

ライブインジェストプロトコル

RIST、SRT、Zixi など信頼性があるライブのインジェストプロトコルに今年も期待が集まっている。三者を比較したセッションもあり、SRT はパケットロス率が規定値を超えるとバーストするなどの報告もあった。このレポートでは高パケットロス率が期待される場合に Zixi が一番安定しているなど面白い報告があった。

ソリューションのクラウド化

私たちはクラウドネイティブな技術コンポーネントが好きだ。その中でも今回の NAB Show ではクラウド上の Playout ソリューションを複数見つけた。我々 AbemaTV のような規模ではオンプレの製品を構築するよりは身の丈に合った丁度良いソリューションだった。

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制作現場に置いてもクラウド化は進んでいる。クラウドスイッチャーの展示もあり、モバイル回線で送出した映像を一拠点に集約することなく、PC 1 つでクラウド上でスイッチングや配信できるソリューションも展示されていた。

映像品質評価

会場では、映像品質評価の自動化にも注目が当たっていた。Facebook は独自の客観的評価指標として FB-MOS を紹介した。Facebook では特にユーザーやクライアント環境に大きく左右される UGC コンテンツを客観的評価するために、non-refenrence な品質評価と SSIM の組み合わせ 2 段階の手法を紹介していた。類似の MOS を汎用的に利用できるソリューションも展示されていて、これも興味深かった。また、Netflix が開発したことで知られている VMAF についても具体的な実践方法が具体的なツールと併せて紹介されていた。

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(お疲れさまでした!)

サイバーエージェントでは、最新技術のキャッチアップや、多種多様な経験を目的に、毎年多くの海外カンファレンスにエンジニアを派遣しています。そんな海外カンファレンスで得た知見を最大化するための取り組みについてもコチラで公開中ですので、是非あわせてご覧ください。

帰国後のフィードバック会の様子なども、追ってお届けする予定ですので、お楽しみに!