はじめまして、技術本部サービスリライアビリティグループ(以下、SRG)で、Organizational Reliability Engineer(以下、ORE)をしている柘植(@shotaTsuge)・岡田(@rm_rf_slant)です。

先日、AWS Summit Tokyo 2019 にて事業責任者も必見! AWS Well-Architected Frameworkの ビジネスへの有効活用」というタイトルで登壇させていただきました。

セッション概要
セッション概要
登壇前のセッション紹介画面
登壇前のセッション紹介画面

今回の発表では、大きく分けて2つのことをご紹介しました。

1つは株式会社ASTROBOXが提供している占いサービス「Ameba 占い館 SATORI」のシステムを AWS へ移設する際に、AWS Well-Architected Framework(以下、AWS W-A)をどのように活用したのか。

もう1つは AWS W-A の根幹部分を引き継ぎながら我々の組織にフィットさせる目的で生み出した CA Well-Architected Framework(以下、CA W-A)についてです。

当日使用したスライドは以下です。詳細はこちらをご覧ください。

 


Ask The Speaker

ありがたい限りですが、Ask The Speaker でもたくさんのご質問とご感想をいただきました。
その中には全てをお答えすることが叶わなかったご質問もありますので、この記事で補足いたします。まず「CA W-A の周期を半期にしている理由は?」という質問です。
これに関しては大きく3つの思いがあります。

1つ目は発表でもご紹介した通り、使用技術やシステム状況は年月とともに変わりゆくものなので、定期的に健康診断しましょうということでした。

2つ目は持続性の担保です。
CA W-A は alpha や beta 版も存在しましたが、その中でクローズドβテストも実際に行い、その時に得られたデータやフィードバックをもとに品質向上を図ってきました。3ヶ月だと我々 ORE もサービス担当者も運用コストが肥大化するし、1年だと陳腐化する恐れが浮上するということで半年に設定しました。

最後の3つ目は、弊社の査定面談の周期と重ねたかったということです。

査定面談も半年に一回実施されます。

CA W-A は現状サービスが抱えている明確な課題に対して技術責任者と事業責任者で共通認識化し、最終的に双方から優先度を照らし合わせて合意が取れた状態の課題を抽出するというフェーズが存在します。
つまり、ここで抽出された課題は「期の目標」にも設定できるわけです。
事業責任者と時間をかけて作り出した目標となるため、これを半年かけて解決することができれば、査定面談で怖いものはないはず!少なくとも従来より評価がされやすくなる(急に現実的な話ですみません?)ということで、あえて重ねてベネフィットを生み出そうという思いがあります。

「他の会社でも同様のことが可能なのだろうか」という質問もいただきました。
CA W-A は GA リリースまでに1年弱の時間を要しました。
捉え方次第では CA W-A 自体の導入の困難さを表現しているようにも思えますが、そうではないことをこの記事を通してお伝えしたいです。
半分以上は自分たちが自社で今本当に実現したいことは何かというテーマに向き合った時間です。多角的な視点で今本当にプロダクトや事業に必要なものはなんなのかを考えながら様々な方法を試し続けた結果、我々は AWS W-A、そして CA W-A に辿り着きました。

  • 自サービスの今をシステムアーキテクチャというスコープで常に俯瞰できるようにしたい
  • ベストプラクティスを追い求めているがいざ安定した効率的なシステムとは何かを考えた時に、どこから何をすればいいのかイメージができない

例えば上記のようなことを一度でも考えたことがある、あるいは既に悩みとしてお持ちであればきっと何かヒントになるポイントが眠っているはずなので、少しでもそういった方がこの記事をきっかけに AWS W-A や CA W-A に興味を持っていただけたら幸いです。

まだ序章が終わったばかり

発表の最後でも少し触れたんですが、今回の CA W-A に関する取り組みはここからが重要です。

現在、次なるステージの「CA W-A 普及拡大」を実現するために準備を進めているところですが、これまで以上に困難と遭遇することになるかと思います。

それを乗り越えてまた Developers Blog で明るい記事がリリースできることを祈念いたしまして、今回の締めとさせていただきます。

なぜ我々 ORE がこのような取り組みをしているかということについては、過去の登壇時に使用したスライドがより deep dive な内容になっておりますので、より詳しく知りたいという方は以下をご覧いただければと思います。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 


関連情報

https://developers.cyberagent.co.jp/blog/archives/19224/
https://speakerdeck.com/cyberagentdevelopers/well-architected
https://ascii.jp/elem/000/001/855/1855194/