冨塚 小太朗(とみつか こたろう)
株式会社ブックテーブル プロダクトマネージャー
制作会社でデザイナーとしてキャリアをスタートし、2010年サイバーエージェント中途入社。 フロントエンジニアとして「アメーバピグ」の開発を担当したのち、企画職へ転身。 動画事業、ゲーム事業の立ち上げ、大小問わず多数のプロジェクトを牽引したのち、 2018年3月に電子コミックサービスを展開するブックテーブルのプロダクトマネージャーとして就任。
連載 「#あなたはどんなPM?」 全5話で、サイバーエージェントの各事業のプロダクトを担うPMUリーダーに、 「サービスフェーズ×ドメイン」で変化するPMの役割や経験談を語っていただきます。
プロダクトから経営をリードする
ーー今現在のミッションを教えてください。
今担当している電子コミックサービス「読書のお時間です by Ameba」の規模拡大のため、戦略やプロダクトの成長ストーリーを描き、実行まで一気通貫で担当しています。
コンテンツ編成から、プロダクト品質、ブランディング、セールスなど、
あらゆる面から事業成長に何が一番良いのかを考え、企画で事業の方向をリードしています。
ーープロダクトマネージャーの仕事として、どんなことをしていますか?
サービス規模を十倍成長させるのがミッションとなります。
良いプロダクトをつくれるのは当たり前で、
サービスを成長させることがなにより重要です。
どんなに綺麗な仕様や素敵なUI、見たことない機能よりも、
ユーザーにフィットした価値を提供し、ユーザーの行動を前進させることが、
成長に一番直結すると考えてます。
サイバーエージェントではPMに経営権が渡されています。やりたいことと、やらなければいけないことがたくさんある中、また経営資源(人・金・時間)が限られている中で、どこに向き合えばいいか、なにが一番最善かを考え、プロダクトと事業をリードし、結果を出していくのが私の仕事です。
ビジョナリーとリアリティーの狭間で走りぬく
ーー経営をリードするPMの役割とはなんでしょうか?
PMの仕事と役割は事業フェーズによって変わりますが、
変わらないこととしては、
事業とプロダクトに挟まれながら、成果を積み重ねることです。
PMと聞くと、専門性が高いジョブのイメージがまだ強いかと思います。それは事実ですが、専門性よりも事業の現実とプロダクトの理想の間でもがきながら、だれも見えてない未来の成功状態を定義し、プロダクトのビジョンを語り、チームをリードし、プロダクトで実証していく。
この役割がもっとも必要だと感じてます。
そのビジョンを実証していく中で、
個人の専門性やチームの強みを最大限に発揮していくことが、
面白いところだと捉えています。
ーー戦略を考える上で意識していることはありますか?
現在担当しているサービスの規模がまだ大きくない中、足元の見えてる課題や競合との差分を補うだけだと、成長は小さいものになりがちです。
また、まだまだ規模が小さいのに、
大きなビジョンをどれだけ語っても、
聞いてる人やメンバーは絵空事にしか聞こえないと思います。
しかし、足元の成長がないと信頼されず、
信頼がないとビジョンがさらに遠くなっていきますし、
ビジョンが薄いと、プロダクトの将来性・拡張性が弱く、
期待値が下がってしまいます。
結局はどちらも、なくてはならないんですが、
この両軸を切り替えながら考え、解像度を上げていき、
足元の戦略と将来のビジョンを繋げることを意識しています。
気づいたらプロダクトの作り込みや分析に没頭してしまうことがあるので、
意識的に時間を取るようにしています。
ーー電子コミックサービスで成し遂げたいことを教えてください。
今担当している「読書のお時間です by Ameba」では、
プロダクト品質を再定義し、ブランディングを含めて、サービス全体をゼロからリニューアルしている最中です。
マンガサービスで中長期的に実現したいことは、チームとしても、ひとりのマンガファンとしても、まだまだやりたいことはたくさんありますが、
その一つは「出会いの進化」です。
「マンガを読むサービス」はたくさんあるけど、読みたいマンガを探すという行為はまだまだ進化できると感じています。
今マンガを消費しているユーザーはもちろん、普段あまりマンガを読まないユーザーにも、マンガの面白さと魅力を伝えられるようなプロダクトを目指しています。
可能性を誰よりも掘り起こす
ーー企画する中で大事にしているプロセスはなんですか?
優柔不断に聞こえるかもしれないですが、
「できるだけ決めない時間を増やす」ことです。
プロダクトの責任者と聞くと、戦略を早く決めなければいけない。決めないとチームが止まってしまうイメージがあると思います。
しかし、普段から成功定義やポイントを、チームに共有していれば、チームは動けます。
むしろ自分の中で急いで答えを完結させて、
正しそうなことを決めてしまい、
ナリの方針を示してしまうことが、一番もったいないし、
結果、将来的に事業の苦しい状況をつくると思っています。
企画職になりたての時は、自分が絶対ヒットすると盲信した施策が、
大ハズレしたことを何回も経験させてもらいました。
その失敗体験が今も強く残っていますし、もちろん今も失敗がたくさんありますが、私の考えや視野だけで決めず、事業の可能性をできるだけ潰さず、役員や、事業責任者、メンバーととにかく議論を交わし、チャンスとなる材料を揃え、選択肢を広げ、一緒に壁を乗り越えられるポイントと、それを見出す時間をできるだけ多く設けるように意識しています。
どこかで、ピタゴラ装置のように、答えがつながる瞬間を模索している感覚です。
早いうちから打席に立つ数を、とにかく増やす
ーープロダクトづくりにおいてはどういうこと意識していますか?
仮設を実証していくフェーズになったら、
精度高く、高速で検証サイクルを回し、プロダクトをユーザーにフィットさせていくにコミットします。
戦略が決まったらあとは実行の数と精度が、戦略の正しさの証明になるので、とにかく打席数に多く立ち、また多く立てるように計画することを強く意識しています。
どんなプロダクトや機能でも、最後はヒットするかはわからない。もちろんヒットにする努力は全力でしていくけれど、最後はユーザーに提供してみないとわからないと思ってます。
限られた時間の中で立てる打席の数が、
個人とチームの成長角度を上げることに繋がっていくと信じてます。
経営責任を持つPMが周りにたくさんいる環境
ーーサイバーエージェントでPMとして働く魅力はなんでしょうか?
サイバーエージェントのメディア管轄では、
事業責任者とプロダクト責任者のタッグが多いです。
[Ameba]をはじめ、[新R25]、[Lulucos by.S]、[AWA]、[読書のお時間です]などといったサービスを展開していますが、どのPMも、KPIやセグメントレベルではなく、事業の意思決定に加わり、その中でプロダクトの最善を模索しているので、その裁量の大きさが一番の魅力ではないでしょうか。
また、集団で寄ってたかって育てるという育成文化があることも特徴的です。
サイバーエージェントが様々なドメインで事業を拡大していく中で、
プロダクトから事業の成功確率を上げられるPMの数とレベルは、今後より求められていくでしょう。
半年前よりプロダクトマネージャー、プロジェクトマネージャーの育成と人材強化を目的とした「PMU」(PM Union)という取り組みをはじめました。
メディア系7サービスのプロダクト責任者が集まり、ノウハウの共有と育成計画を議論しています。こうした取り組みから、個人にまかせて勝手に育つだけではなく、集団で寄ってたかって、プロダクトの成功確率を上げられる人材の成長をサポートすることが、事業の成功確率に直結すると考えてます。
PMの集団としてもより強くなれるよう、今後も向き合い続けていきます。
>連載Vol,1「社会的ムーブメントを起こす、PMを育成するPM」
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