サイバーエージェントでは、技術者が海外のカンファレンスに参加することを支援しており、8月20日〜21日にサンフランシスコで開催された「Clarity 2019」にエンジニアの五藤(@ygoto3_ )、谷(@hiloki)、デザイナーの丸が参加しました。
以下、今回のClarity 2019 で印象的だったことは「デザインシステムを、協業、インクルーシブ、組織文化、という軸で語られていたこと」だという、五藤、谷、丸による速報レポートをお届けします。
協業が大事なのは、創造的なアイデアは異なる考えの人の意見が多く混ざり合うことで生まれるという視点に立っているためです。The Creative Dose の CEO であるDenise Jacobs 氏は、セッション中に人から意見を促すためのワークを行い、会場の参加者全員で実践しました。意見共有というと発言を多くすることが求められているように感じますが、このワークでは人の意見を聞いたり、意見を言ってもらえる余白を残すことが大事なことを実感できます。
インクルーシブなデザインについては作る側の意識を変えることの重要性を訴えていました。アクセシビリティに対する思い込みから生まれるアンチパターンを例に挙げていましたが、人の感覚に依存することなくデザインシステムで担保すべきだと感じます。
これまで、デザインシステムはツールの側面で語られることが多いと感じていましたが、それはデザインシステムが持つ課題の 1 割でしかなく、今回のトピックの多くは組織文化を作る人々に関する問題が 9 割だということを強く感じます。
会場では InVision、Adobe、Abstract、Figma などのブースが出展されていました。サイバーエージェントでも日常的に使っているツールたちなので、普段疑問に思っていることを当人たちに聞いてしまう良い機会でした。Abstract 社に cherry pick 機能が欲しいなどの要望を直接伝えたり、Design Systems Handbook などを電子ブックで提供していてデザインシステムについて多くの知見を持っている InVision 社に弊社の課題を相談する時間を設けました。
参加者の中には、デザインシステムに関する新製品を開発している人もいました。私たちを Figma 社で開催された Clarity 参加社向けの Meetup に招待してくれた Haiku 社 CEO の Zack Brown 氏は開発中のクロスプラットフォーム対応デザインシステムフレームワーク「Diez」のデモを見せてくれました。TypeScript でデザイントークンを構成するフレームワークで柔軟性はあるが、コードを書かないデザイナーが使えるかどうか懸念が残ります。それに対しても解決案を提示してくれるようなので、楽しみです。
システムという概念自体に問題を呈しているセッションもいくつかあったのが軽く衝撃でした。デザインシステムというのは私たちにとって新しい概念なので、作ることばかりに気が取られています。しかし、世の中は変わっていくのに、システムが変わらないために、組織や社会自体が腐ってしまうことは、これまでの歴史からも学べることです。自分たちが構築するデザインシステムが気づかぬうちに組織を悪い方向に導く可能性に向き合うことも留意しなければならないと感じました。
学ぶことが多い有意義なカンファレンスでした。After Party で話した人たちからもデザインシステムに関わる人々のリアルな現場を感じることもできたので、別途レポートします。
素晴らしいカンファレンスを開催してくれた Jina Anne さんと皆さんに感謝します。