先日行われたCSS Niteのスピンオフ「デザイントレンド特別版」にて「AbemaTV」のUIデザインを担当してる私と、新規サービス開発中のデザイナー、内田との2名で登壇しました。

そこではビデオオンデマンドサービスのUIデザインとトレンドを紹介させていただきました。

 

本記事では、その登壇内容を前編/後編に分けてレポートしていきます!

 

VODサービスとは?

VODとは、ユーザーが観たいときに視聴できるサービスのことです。

 

2020年現在、世界的に様々なサービスが乱立しており、「AbemaTV」も「VOD」と「リニア配信」のハイブリッドサービスとしてサービスを展開しています。

 

VODのサービス形態について紹介しました。

複数の形態を持つサービスも存在しており、2020年2月現在の時点では「AbemaTV」もAVODとSVODの形態でサービスを提供しています。

 

また、動画内にバーチャル広告を合成する海外の技術も紹介しました。
https://www.mirriad.com/

 

VODサービスの横スクロールUIについて

複数のVODサービスを利用されている方はご存知かと思いますが、UIデザインが非常に似通っていることがわかります。

例に漏れず、「AbemaTV」のビデオページも横スクロールUIとなっています。(画像左)

 

なぜこんなにも似たUIなのでしょうか?

実は「AbemaTV」も過去様々なレイアウトを検証したのですが、結果的に一番効果(当時のKPIにおいて)が良かったのが現在(2020年2月時点)のUIでした。

特集やグルーピングの軸で縦に並べ、興味のある軸を横スクロールする形がユーザーがコンテンツを探しやすいのでは?という仮説にたどり着いています。

もしかしたら、各社同じような道を辿っているのかもしれません。

(このようなUIや、カルーセルと呼ばれるUIは「2~3個目以降は全然見られていない」という事実もあるので、今後流れが変わる可能性は大いにあります。)

 

VODサービスにはダークテーマが多い

こちらも各サービスで似ているUIのお話です。

見事に黒背景のダークテーマですね。

 

「なぜダークテーマか?」という疑問には以下のような仮説が挙げられます。

 

まず一番大きいのは、とても単純ですが暗い背景の方が動画やビジュアルが映えるためです。

白 or 黒で考えたときに、黒色は後退色なので相対的に画像が浮き出て見えます。

次に考えられるのは、ユーザーの環境面です。

VODアプリは他アプリと比べて遅い時間帯に利用される傾向にあるという調査結果もあり、ユーザーの利用シーンとして暗い場所での使用が想定できます。

その場合、アプリ上のUIの明度を抑えることで、より操作に集中できるのではないでしょうか。

 

ただ、テキストに関しては「白背景の方が読む行為におけるパフォーマンスが高い」という研究結果も出ています。
出典 https://wired.jp/2019/10/05/dark-mode-chrome-android-ios-science/

 

プレイヤーコントロールUIについて

各社のプレイヤーコントロールUIは数年前までは統一されていませんでしたが、徐々に統一されていくようなトレンドがみられます。

VODサービスの市場規模が大きくなっていくにつれ、より普遍的で慣用的な操作感をユーザーが求めてきた結果なのかもしれません。

 

また、倍速再生機能のニーズも高まっています。

コンテンツの消費効率を上げる方法を多くのユーザが欲しているようです。

しかし、コンテンツの制作側にはこの風潮に懐疑的な意見も見受けられます。

映像作品としての「間」や「スピード感」などは非常に重要なエッセンスであり、作品として提供したい体験と消費効率のニーズの関係性は今後も大きなテーマとなっていきそうです。

 

テレビにもVODサービスがついてくる時代

数年前からテレビデバイスのユーザー数が急速に増加しています。

そのため、大きなスクリーンを持つデバイスのUIデザインをする機会が非常に増えてきました。

「AbemaTV」では、リモコンに「AbemaTVボタン」がついている製品への対応も進めています。
https://help.abema.tv/hc/ja/articles/360036130032-AbemaTV%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93

 

まとめ

レポートの前編はここまでです!

 

 

VODサービスのUIデザインは多くのサービスで発散と試行錯誤がされて、ここ数年で収束され似通ってきたように見受けられます。

今後も世のトレンドと同様に発散と収束、変化と回帰を繰り返すのではないでしょうか。

 

後編では縦型動画やライブ配信サービスのUIトレンドについてまとめますので、お楽しみに!