2020年4月1日、15名のクリエイター新卒がサイバーエージェントへ入社しました。

今年の新卒研修は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、急遽前日にフルリモート実施が決定…!

本記事では、初の試みとなったフルリモートかつオリジナル設計した技術研修について、設計のポイントや目的など、運営側の観点からお伝えします。

▼index▼

1)オリジナル研修の狙い
2)研修で一番、新卒に伝えたいこと
3)配属後スタートダッシュを切るための「CREATIVE BATTLE」とは
4)オンラインならではの工夫したポイント
5)オンラインでもしっかり同期の結束を強め、成長できた新卒たち
6)今後も受け継いでいく「サイバーエージェント流クリエイター新卒研修」

 

オリジナル研修の狙い

サイバーエージェントでは、2012年からクリエイター向けに技術研修を実施してきましたが、今年から講義や制作フォロー、講評と、全て内製で行いました。
完全オリジナル化させたのには、大きな2つの狙いがあります。

 

①新卒の育成
②メンター若手社員の育成

 

新卒育成が目的なのは当然のことですが、後輩が入ることでより、責任感とプロとしての自覚が芽生えるために、実は新卒を指導してくれるメンター社員が一番成長します。

サイバーエージェントのクリエイター採用では、インターンから採用面接、入社後の育成まで一貫してクリエイター自らが担っていますが、こうした活動の中で、採用メンバーに抜擢された若手社員の成長が顕著でした。

 

そのため今年度からは、研修プログラムの内容や講義内容なども入社2~3年目の若手社員中心で設計してもらい、各チームの「リーダー/サブリーダー」として研修での育成担当を任せました。

そして若手だけでは担いきれない技術の部分を「技術メンター」として中堅社員が、全体の相談役を「親トレーナー」としてボードメンバーが裏でフォローに入り、「フロントを担うのは若手、責任はしっかりボード社員がもつ」という体制で、研修チームみなで協力しながら進めていきました。
新卒15名に対し、結果研修に関わったクリエイター社員は全21名でした。


研修で一番、新卒に伝えたいこと

新卒には研修に対して、以下3つの目的をもって臨んでほしいと伝えました。

私たちが考える「新卒クリエイター研修」は、「技術面の向上」が一番の目的ではなく、「社会人クリエイターとしての向き合い」にフォーカスして設計しています。
そのためにあえて、イラストレーターやUIデザイナーなどといった職種関係なく、フラットな状態で同じ課題に臨んでもらっています。

 

サイバーエージェントは事業会社のため、現場では職域を越えた想像力を求められ、常に時代と市場に自らの能力をアジャストさせていく必要があります。
専門技術は現場でいくらでも身に付けることができるので、配属後に一気に吸収するための「素地作り」としてとらえ、自分のアウトプットに妥協しないクリエイターマインドを一番学んで欲しいと思っています。

 

配属後スタートダッシュを切るための「CREATIVE BATTLE」とは

研修内容は「配属後スタートダッシュを切れる状態」になっていることを目指し「CREATIVE BATTLE」と題して全3課題での評価を星の数1~3つで表し、競争性をもたせました。
そして個人戦だけでなく、「20クリエイター新卒」として、総獲得数を同期みなで追うことをミッションとし、約3週間で課題に取り組んでもらいました。

制作は個人ですが、新卒3名に対してリーダー/サブリーダーの2名のメンター社員がつきチーム制をとって進めていきます。

講義項目はタイポグラフィ、色彩などの基礎講義からはじまり、インフォグラフィックス、WEBサイト制作、ゲームUI制作と多岐にわたり、イラストレーターや3DCGクリエイターも職種関係なく一通り学んでもらいました。

▼研修課題
1週目:インフォグラフィック
「就活生に向けた弊社のアピールポイントをインフォグラフィックとして表現せよ」

2週目:Web(PC)デザイン
「サイバーエージェントの全サービスを紹介する今までにない新しいサイト」

3週目:ゲームUI制作
「タワーディフェンス型ゲームのインゲーム画面とホーム画面制作」

 

オンラインならではの工夫したポイント

今回は直前にフルリモートでの受け入れにシフトするにあたり、以下のポイントでオンライン研修を乗り切る工夫をしました。

 

<マインド面>
・不慣れな環境での新卒の孤独感や不安を払拭

→オンラインランチ、オンライン飲み会
→密なメンターとのコミュニケーション

同期同士や先輩社員を交え、前半に集中させてオンラインランチを実施しました。その後、チーム毎にオンライン飲み会や、各課題発表後にトレーナーとの振り返りを兼ねてお疲れ様会を実施し、新卒を労うようにしました。

オンラインランチでの様子

 

・同期の結束を強める

→「セルフプロモーション」プレゼンで同期を知る
→同期全体でのミッション

新卒の人となりを知ってもらうために「セルフプロモーション」のプレゼンを行いました。オリジナルゲームや人生をすごろくにみたてたポスターを作るなど、どの発表も個性豊かで笑いありの和やかな会となり、ここでかなり打ち解けることができたと思います。
また、「一緒に闘う組織、仲間」ということを意識してもらうために、同期全体での星獲得ミッションを設けました。

自分を紹介するオリジナルゲーム

 

<環境面>
・程よい緊張感を保つためにこまめに環境を変えた

→チームを毎週シャッフル
→あえて厳しめのスケジュール

できるだけ多くの社員、同期と接点を持てるよう、課題ごとにチームをシャッフルしました。
また、個人の制作環境でも程よい緊張感を保つために、例年よりも少し厳しめのスケジュールにし、中間プレゼンを入れたり、課題数を増やすなど環境を変えるようにしました。

 

<技術面>
・一人で手がとまってしまう時間がないように

→こまめなオンラインフォロー体制(1日1時間以上のオンラインmtg、Zoom夕会)
→横軸で全体をみる技術メンター

Slackを通じたオンラインでのフォローはもちろん、1日に必ず1時間以上のZoomMTGとチーム夕会を実施し、新卒がつまずいているところはないか、こまめなコミュニケーションを心掛けました。
全てオンライン上にログが残っていることで、メンターが新卒の制作状況を把握しやすかったり、他のメンターのFBのログが追え、無駄なコミュニケーションロスが減ったように思えました。

 

また色んな視点を取り入れてもらうために、チームメンターとは別に、各課題ごとに全体をみる技術メンターを取り入れました。
新卒に少し疲れも見えてきた後半戦では、技術メンターによる「オリジナルラジオ」の配信をし、息抜きしつつ制作の大事なポイントをリラックスした状態で聴衆できるようにしました。このコンテンツは新卒から大好評でした。

オリジナルラジオのトークテーマ

 

オンラインでもしっかり同期の結束を強め、成長できた新卒たち

当初もっとも心配していた、社会人としてのマインドセットやコミュニケーションの部分は、全く問題なく、みな見違えるほど成長を遂げて研修を終えることができました。
研修終了後の新卒からのアンケートでは嬉しいことに、新卒皆の成長実感は100%「大満足」の結果に!

 

チーム別のSlackチャンネルを公開にしていたので、他チームで良いと思った情報、先輩からのフィードバックなどを積極的に自分のチームにも展開したり、同期同士で朝会や制作物のフィードバック会を行うなど、自分たちで考え行動することが増えていきました。

 

ここでいくつか新卒の振り返りの一部や、ブログを紹介します。
(実際の制作物もご覧いただけます)

このCREATIVE BATTLEは尊敬できる同期や先輩と本気で高め合い、力を借り、助け合いながら全力のアウトプットができる、わたしが求めていた環境のようにも感じ、そこで努力できたことがとても大きな自己肯定に繋がりました。

皆さんと高めあいながら熱狂しつつエンターテイメントを生み出し、世の中にとってより良いものをつくり、昔わたしがインターネットに救われたように、誰かを救っていきたいと思います

来たる数年後に後輩と全力で向き合えるよう、先輩方の立ち回りやフィードバックの仕方を必死に盗もうとしていました。先輩方みたいないい先輩に自分もなりたいね。
デザイナー研修を経て見えてきた自分の強みと弱み

無事研修を達成感にみち配属先でスタートダッシュを切れる状態で終わらせることができました。
サイバーエージェントのデザイナー研修の話

 

 今後も受け継いでいく「サイバーエージェント流クリエイター新卒研修」

細かい反省点はもちろんありますが、初のオール内製かつ、予想外だったフルリモート研修は、満足のいく結果を迎えることができました。

 

以下研修での良かった点と、良くなかった点をまとめました。

〇良かった点
・新卒はもちろん、コーチングを通して現場社員が成長した
・ログがオンラインに残って追いやすかった
・オンラインのため、相手に伝えきるための努力や想像力が(新卒、社員ともに)鍛えられた
・その結果、言語化が研ぎ澄まされていった
・新卒の人となりから得意分野まで、よく理解できた状態で現場配属を迎えることができた
・他部署の斜め上の先輩ができた
・社員が大事にしている価値観やポイントを知ることができた
〇良くなかった点
・リアルタイムでのコンディションチェックがしにくい(顔色、テンション等)
・気軽なコミュニケーションは難しい(立ち話、雑談がしにくい)
・没頭してしまうとオンとオフのメリハリがつけにくい
・メンター社員の稼働管理が難しい

サイバーエージェントは「クリエイティブを競争力にする」べく、未来を一緒に描きたいと思った仲間を自分たちで採用し、育てていくスタンスを大事にしてきました。

 

これからもこの「サイバーエージェント流クリエイター研修」を先輩から後輩へ伝えていくことで、「良い採用をし、良い人材を育て、そしてまた良い人材が採用をする」といったループを継承していきたいです。

 

さいごに、みんなで「20新卒」ポーズ(笑)