株式会社CyberHuman Productions取締役の芦田です。
先日サイバーエージェントで開催されたテックカンファレンス「CA BASE NEXT」において、「10年後の広告スタンダードへの挑戦」というタイトルで登壇させていただき、先端技術×広告クリエイティブにおける新たなスタンダードづくりへの挑戦(の途上)についてお話しました。
本記事では、その内容をクイックにレポートしたいと思います。
新しい「広告クリエイティブの作り方」をつくる
私がサイバーエージェントへ新卒入社した2013年からの8年間だけでも、テクノロジーや、社会情勢、メディア、コミュニケーションツールなどの変化を受けながら、サイバーエージェントの広告事業は多種多様なチャレンジをしています。
その中でも、私のセッションテーマでは、AI事業本部や株式会社CyberHuman Productionで私が担当している、AI、3DCG、XR、Photogrammetryなどの「先端技術×広告クリエイティブ」の内容についてお話しました。
AI、CG領域はテクノロジーの変化と密接に関わっています。現在、複数の領域において広告クリエイティブの「新しい作り方をつくる」事に挑戦しています。
本セッションでは、具体的な取り組み事例として下記のような内容をご紹介しました。
「AICG×Creative」 「Virtual Production」 「Sports DX」 「Casting Innovation」 「Event Tech」
「AICG×Creative」/「Virtual Production」
巨大画面のLEDウォールを導入し、CG映像とLEDライティング技術を組み合わせて創りだす、高精細なCG背景空間で撮影が可能な「LED STUDIO」。コロナ禍においても、海外など遠方に移動せずスタジオ内だけで様々なロケーション撮影が可能。
「Sports DX」
各サッカークラブに最適化した専用アプリを通じて、バーチャルでのサポート観戦を実現するスタジアムアプリの開発。コロナ禍でのスポーツ観戦におけるコミュニケーションをアップデートしていく。
「AICG×Creative」/「Casting Innovation」
出張型3DCGスキャンカー「THE AVATAR TRUCK」。最先端のスキャンシステムを搭載し、多忙な著名人やアーティストの撮影において地理的・時間的制約を解消し、どこでも高精細なデジタル肖像作成が可能になった。
「Event Tech」
リアルタイム3DCG合成技術を駆使したバーチャル会場でのオンラインイベントの開催。本カンファレンス「CA BASE NEXT」の会場もこれらの技術を使用して配信された。
これらの取組みは未だスタンダードとして確立された状態には至っておらず、まだまだ挑戦途上です。
本セッションで伝えたかったこと
「広告コミュニケーション」では、「変化する世の中をどう捉えるのか?」「世の中をどうしていきたいのか?」と思考・企画・実現する力が問われます。
広告を届けたいターゲットは、日々変化する生態系の中に生活しているからです。
昨今ではインターネットの力や、Netflix、GAFAM、BATHなどを通して、世界中のコンテンツをいつどこでも見れる状態になっているため、受け止めるコンテンツの量・質も劇的に変化し、コンテンツを見るプロとして消費者はどんどん成長しています。
一方で、日本にいながら世界中の人にコンテンツを見てもらえるチャンスがあります。
また、映画制作やゲーム開発と、広告コミュニケーションは時間軸やスピード感が異なります。映画制作やゲーム開発では複数年かけて開発する事もあるため、リリースタイミングの社会の雰囲気を掴みにくい一方、広告コミュニケーションは、数ヶ月先や1年先にリリースする事が多いため、世の中の変化とアウトプットを繋げやすいという利点もあります。
こうした世の中の劇的な変化や広告コミュニケーションの特徴を捉えて、
現状は非常識とされているものの、数年後振り返ったときにスタンダードとなっているもの、世界に通用するものを創り出す事に挑戦していきたいです。
「CA BASE NEXT」で挑戦した「次世代プレゼンテーションスタイル」
今回、CA BASE NEXTでお話しさせていただく機会を得た際に、「せっかくなら、このオンラインイベント自体を挑戦の場にしてしまおう」と思い至りました。
5GやAR Glassや裸眼立体視ディスプレイなどが浸透した以降の世の中を考えると、パワーポイントのような2Dスライドに代わる、次世代プレゼンテーションスタイルが登場するのではないか、と予想されます。
ただ、「次世代プレゼンテーションスタイル」と言うことは容易いですが、概念として説明をしても、人と人との前提情報やバックグラウンドの差異がありますので、伝える事は難しいです。
実際にビジュアルとして見る・体験するという場を提供でき、より多くの人に理解や活用イメージを抱いてもらいやすいのではないだろうか。
また1人のユーザーとして、感覚的にも感じてもらいやすいのではないだろうかと思い、今回このようなXRプレゼンテーション方式に挑戦しました。
技術的な挑戦として、CyberHuman Productionsのメンバーが
・2Dスライドを飛び出したXR演出
・私自身がiPadを通して演出操作する
・CG演出と物理照明を同期する
などにも挑戦しました。
皆さん、共に挑戦してくれてありがとうございます。
次世代プレゼンテーションスタイルに挑むにあたり、
何を残し、何を変え、何を捨て、なにを新しく開発するのか?
これを利用する事で、演者のプレゼンテーション能力が高まるか?
参加者は、鑑賞者から、ファンやサポーターになれるか?
などなど。
検討すべき問いが複数見つかりましたし、数多の改善点が見えましたので、今後もどんどんアップデートしていきます。
“Next Generations”について
サイバーエージェントは1998年の設立から20年以上経っています。
インターネットはどんどん発展し、1998年頃は、攻殻機動隊のように映像作品・表現物として仮想世界のコンセプトやビジョンが描かれていましたが、
2021年では、メタバース、仮想通貨、ARVRMR、eSportsなどのように、実際に、仮想世界が現実世界にはみ出してきていたり、さらには、現実世界とは異なる生態系を独立的に作ろうという流れも出てきおり、現実と仮想の融和・独立が進んでいます。
20年以上前のビジョンや想いが、いま少しずつ現実化してきています。
今回のイベントが終わった後に、一人のユーザーとしてYoutubeのアーカイブ動画で他の方々のセッションも見てみました。
今回の登壇者は、広告、メディア、ゲーム、AIなどの事業領域も、取組内容や職種の定義もまちまちとなっており、サイバーエージェントとして受け入れる器が多種多様になっているんだと感じました。
また各分野において、個々人が何を作りたいのか?世の中をどうしたいのか?という「意志、ビジョン、熱量」をもってお話されていたのが印象的でした。
今回の「CA BASE NEXT」という取り組みを総体として見ても、まさにそうです。
熱量や大義をもって起案し、それを実現しようとし、また実現に向けて周りが盛り立て、試行錯誤の末に成し遂げるというのは、とても素敵なことだと思いました。
このようにサイバーエージェントでは、様々なビジョンや熱量を持った面々が、その実現・社会実装に向けて挑戦しています。
ビジョンや熱意に共感してくださった方は、社員として、パートナーとして、さまざまな形式で仲間になっていただきたいです。
新たなスタンダードを作りたいという、次世代へのビジョンや熱量をお持ちの皆さんとご一緒できますと幸いです。
本セッションのアーカイブ動画はこちらから試聴できます。「次世代プレゼンテーション」をこちらで体感いただけましたら幸いです。
「CA BASE NEXT」では、「21世紀の創造力を」というテーマのもと約50のコンテンツをお届けしました。公式サイトにて全セッションのアーカイブ視聴が可能です。他のテーマに関する内容も、大変興味深いセッションですので、是非そちらもご覧ください。
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