原佑一 新卒研修 SNS用

 

「私たちサイバーエージェントの新卒デザイナーは、1か月前よりも圧倒的に成長できた。」そう思える研修でした。

 

はじめまして!新卒デザイナーのゆーいちです。2021年の4月、サイバーエージェントにクリエイターコースで入社しました。

今回は、入社後約1か月間本気で挑んだクリエイター新卒研修について、新卒視点でお話したいと思います。

 

 

 

 

挑んだ3つの課題

 

クリエイターコースの新卒研修は3つの課題で構成され、合わせて1か月間で取り組みました。

課題はすべて個人制作ですが、新卒クリエイターの16名が課題ごとに4つのチームに分かれます。各回で、1チームに対して2名の先輩デザイナーがメンターとしてついてくださりました。個人制作でありつつチーム制もとり、チーム意識をもつこと・目線を上げることを目的として、同期間で進捗共有やフィードバックをおこないました。また、それぞれのチームは、個人成績の合計で優勝を目指します。

 

挑んだ3つの課題がこちらです。

 

課題1:【インフォグラフィック】 制作期間:5日間

「就活生に向けた
サイバーエージェントのアピールポイントを
インフォグラフィックで表現」


課題2:【WEB】 制作期間:7日間

「サイバーエージェントの全サービスを紹介する
オリジナリティのあるサイトの制作」


課題3:【ゲームUI】 制作期間:7日間

「タワーディフェンス×パネルアクションの
ゲームUI制作」

 

それぞれの課題は、社内のクリエイティブ統括の方々に審査していただきます。評価基準は以下です。

 

– クオリティ(作品・プレゼン)
– 課題解決・設計力
– オリジナリティ

 

これらを総合して星0〜3個で評価されます。各課題に対して、星を1つでも獲得できるのは全体の半分にも満たず、かなり厳しいジャッジでした。

 

私は研修を通して、デザイナーとしての3つの心得を学ぶことができました。それでは、それぞれの課題に対してのアウトプットとそのアプローチを紹介しつつ、学んだ心得についてお伝えしています。

 

 

考えに考えたうえで、そのアイデアに決め切ることは妥協ではない。

 

1つ目の課題のテーマは、「サイバーエージェントのアピールポイントをインフォグラフィックで表現」です。そもそも、インフォグラフィックって何?を知るところからスタートしました。

 

インフォグラフィックとは、簡潔に言うと「データや情報などをわかりやすく視覚的に表現すること」だそうです。

つまり今回の課題では、会社のどの情報をピックアップし、どのようにわかりやすく、かつユニークに表現するかが焦点になります。

 

課題1での私の提案がこちらです。

 

原佑一 インフォグラフィック

 

若手の活躍できる環境があることを伝えようと考え、「20代の若い世代が多いこと」と、「3年目までに昇格する人が多いこと」を掛け合わせた提案です。若手がフォーカスされながらも、ベテランがネガティブな存在に見えないように、互いにコンパスを支え合って円を大きく描く様子で表現しています。上に位置するサイバーエージェントの円とコンパスは、頭文字の「CA」を形づくり、遊び心も込めています。

 

結果は星1つで、「まだ伝わりにくいが、一定のクオリティラインは満たしている」という評価でした。若手とベテランの比率になっていること、他社と比較していることがわかりにくいというフィードバックもいただきました。

 

この課題で最も苦戦したのは「情報の比喩で用いるモチーフが、必然的でなければならないこと」でした。「若手が活躍できる環境があること」というメッセージは、早い段階で決まっていたのですが、それをどのようなモチーフで表現するかがなかなか決まらず、本当に焦りました。周りの同期のほとんどがその壁にぶつかっていたと思います。

しかしここで、1つ得た気づきもありました。それは、

 

“考えに考えたうえで、そのアイデアに決め切ることは妥協ではない。”

 

制作に関して、今回の研修においても、実務においても、時間は有限です。その限られた時間の中で最高のアウトプットを生み出すのに必要なのは、方向性を迷い続けることではなく、ある地点で方向性の決めを作り、その方向に向かって全力を尽くすことだと気づきました。

 

この課題でも、モチーフをコンパスに決めた時点から、クオリティ上げに集中しました。そのモチーフがベストではないかもしれないと心残りがありながらも、決め切ったことで何とか星を獲得できたのです。しかし、より伝わりやすいモチーフは他にないかと今でも考えています。

 

 

何をすれば本当に伝わるかを考え、やるべきことを取捨選択する必要がある。

 

2つ目の課題は、「サイバーエージェントの全サービスを紹介するオリジナリティのあるサイトの制作」でした。

 

この課題では、Webサイトとしての機能を担保しながら、思わず回遊したくなるようなワクワク感をどう表現するかがキモになりました。

 

課題2での提案はこちらです。

 

※アプリ画面を加工して掲載しています

 

「UIへのこだわりからサービスを知れるサイト」です。「学生は1つ1つのサービスに興味があるの?」がこの提案に至った最初の着眼点でした。私自身、サイバーエージェントにはじめて出会い、興味を持ったのは「Creative Note」という、アウトプットへのこだわりをクリエイター視点で魅せている冊子、いわばポートフォリオのようなものでした。その体験になぞらえて、

 

アウトプットに魅了される「なんだこれ、かっこいい」

↓

深く知りたいと思い読み込む「すごい、こんなところにこだわっているんだ」

↓

自然とサービスを知る「ABEMAってこの会社なんだ」

 

という心情の変化を起こすサイトを目指しました。

 

結果は星2でした。トップ画面での、マウスオーバーしてからサービス詳細画面へ、さらにサービス詳細画面での、こだわりポイントに応じて画面が切り替わるインタラクションは好評でした。しかしトップ画面が、「携帯ショップみたいだ」と酷評をいただきました…(苦笑)。もっとクリックしたくなるような仕掛けづくりの工夫が惜しかった点でした。

 

この課題では、前回の反省を活かし、早めに方向性を決めてアウトプットに時間を割こうと考えていました。それでも想像以上にアニメーション制作に時間をとられ、想像していた完成形まで辿り着けそうにありませんでした。

そのときに得た、2つ目の学びです。

 

“何をすれば本当に伝わるかを考え、やるべきことを取捨選択する必要がある。”

 

限られた時間の中で提案するには、全てのパーツをつくっていては到底間に合いません。そのため、早い段階で「どのようにすれば本当に伝えたいことが相手に伝わるのか」を考えるべきだと思いました。本当に伝えたいこと、伝える方法を考えることによって、用意すべきもの、今やるべきことが見えてきました。私は直前でそのことに気づき、取捨選択ができたので、何とか意図を伝えることができたと感じています。

 

 

自分のアウトプットに責任を持つ。

 

最後の課題は、「タワーディフェンス×パネルアクションのゲームUI制作」でした。

 

タワーディフェンスとは、相手の拠点を倒すことを目指すゲームのことです。「召喚獣」と呼ばれるキャラクターを召喚し、「中間拠点」の占拠によって陣地を広げながら攻略します。

それに加えてこの課題では、パネルをめくりながら妨害する「プレイヤー」という要素も存在するため、さらに戦略性を問われるゲームをつくらなければいけません。

ゲームの細かな仕様はあらかじめ決まっているため、複雑なアクションをどのような操作性で操作しやすくするか、またどのようなモチーフでゲーム性を面白くするのかが求められました。

 

課題3での提案はこちらです。

 

 

タワーディフェンスを、「ラグビー」というモチーフで表現しました。「何でもあり。理不尽に戦う。」をテーマに、ユニークさを持たせています。全員がボールを持ち、先に10人が敵陣にトライしたチームの勝ちです。中間拠点はレフェリーで、倒すと味方のひいきをし始めます。さらにプレイヤーはブルドーザーで穴を掘り、アイテムを発掘したり妨害したりします。掘られたパネルは芝から土になり、召喚獣の走行スピードを遅くします。このゲームのテーマである、「無茶苦茶なイメージ」を表現するため、それぞれの召喚獣のアニメーションにこだわりました。

 

結果、星2.5個という評価でした。世界観がよく表現できているという感想をいただきました。操作性も、画面上を手で覆わない、コントローラーを使うスタイルがシンプルで好評でした。

 

研修期間を通して、本当にたくさんの先輩方からフィードバックをいただきました。1か月前の私は「とにかく聞けばいい」と思っていたからです。

しかし、それは間違いだということに途中で気がつきました。

 

“自分のアウトプットに責任を持つ。”

 

これが3つ目の学びです。聞くことは間違いではありません。しかし、フィードバックはヒントに過ぎず、そこからベストを導き出して、決断するのは全て自分自身の責任です。その責任を放棄しては、本当に納得のいくアウトプットには辿り着くことができないということに気がつきました。

 

 

さいごに

 

私たちはサイバーエージェントのデザイナー新卒研修で、心と技術ともに大きく成長できたと胸を張って言えます。これからプロのデザイナーとして仕事をするための心得のようなものを得られた気がします。

 

また、チームで意見交換しながら制作を進めることで、個としてだけでなくチームとしての意識も芽生えました。自分にはない強みをもった同期の意見を聞いたり、ひとりひとりの表現を見ることが、制作の刺激になりました。研修を通して、単なるアウトプット力だけでなく、それぞれが強みを生かした「戦い方」を身につけることができたように思います。

 

私は、3つの課題の総合得点で最優秀賞をいただきました。ある程度のクオリティの提案ができたことは良かった一方で、想像を超えるようなアウトプットができなかったのが、まだまだだと感じた1か月でもありました。

 

この研修で得た、アウトプットに向き合う楽しさや悔しい思いを糧に、これからも成長し続けたいと思います!