今回は、メディアクリエイター組織の新しい試みとして行ったコミュニケーションイベント「ないしょ市」についてご紹介したいと思います。
コロナ禍のコミュニケーションロスという課題に向き合った一取り組みとして参考になれば幸いです。
はじまりはコロナ禍の組織課題
前述の通り、ことのはじまりは「コロナ禍でのコミュニケーションロス」という組織課題の提議でした。この課題を解決すべく、いま自分たちに何ができるのか、そしてその先の、組織間の関係地を強化してクリエイティブに活かせる状態を作るにはどうしたらいいのか。現場のクリエイターたち自身で施策を出し合う「あしたかあさって会議」が開催されました。そこで決議された中の一つが「ないしょ市」です。
「ないしょ市」を一言で説明すると「中身が分からない本の貸し借りイベント」です。
イベント全体としては以下のような流れになっています。
- 誰かに紹介したい本を出品する
- ないしょ市イベント会場へ行って本を借りる
- 本と誰かとの交流を楽しむ
出品できる本は、雑誌、漫画、パンフレット、画集までなんでもOKとしています。
大まかな流れだけみると、本の貸し借りで交流したんだね、となるかもしれませんが、
わたしがこれを企画するにあたり、主軸に掲げていたのが「本は主役ではない」ということでした。
それがどのような仕掛けに込められているのかご紹介します。
主役が「人」になる仕掛け
まず、参加者には、本を出品するための準備セット「ないしょセット」を配布しました。
参加者はそれぞれ自由に出品したい本を選び、その本にまつわる自分自身のエピソードをカードに書きます。
この人はこの本とこんな出会い方をしたんだとか、この人はこんなときにこの本を読むのか、といったように、本を媒介としてその人を知ってもらいたいと考えました。
次に、タイトルを書きます。
ここで変に個性が出てしまうと、ないしょ市の醍醐味が失われてしまうので、あえて共通のテンプレートデータを配布し、テキストのみ打ち込んで用紙に印刷するという工程を踏んでもらいました。
中身が見えないよう、しっかり封をして、出品BOXに提出したら出品完了です。
リモート勤務の方も参加できるよう、郵送での出品も受け付けました。
ないしょ市 1DAYイベント開催
ないしょ市スタートです。
最終的にはたくさんの方に出品いただき、56冊の本が集まりました。
タイトルを見るだけでもおもしろいですね。
ないしょ市は1日を通して会場を解放し、各自好きな時間に自由に出入りできる形式にしました。
また、リモート勤務の方にも同じように参加していただけるよう、会場のzoomを常に繋げておきました。
会場入り口は扉を開放した状態でオリジナルの暖簾を設置。
訪れた方がわくわくできる演出としてはもちろんですが、中の様子がチラ見えすることで入りやすい雰囲気を目指しました。
どれも魅力的なタイトルばかりで、みなさん選ぶのにかなり時間をかけていました。
タイトル文から「これは〇〇さんに違いない!」と予想合戦しているのもおもしろかったです。(みんな全然当たってなかった)
会場にはちょっとした憩いスペースも設けておいたのですが、遊びに来てくれたほとんどの方がゆっくり談笑してから帰っていかれました。
ないしょ市体験談
ちなみに、運営ながらわたしも参加者としてしっかり楽しませていただきました。
わたしが気になって手に取ったのはこちら。
「ふと立ち読みして、気がついたら泣いてた優しいお話の漫画です」
家に持ち帰って開封の儀です。
開けるまでのわくわく感、誰の本か分かった時の高揚感。
なるほど、楽しいですね。
入っていた漫画自体もおすすめの通り、とても優しいお話で、自分ではきっと手に取ることはなかったであろう素敵な漫画との出会いにほっこりした気持ちになりました。
最後にカードに感想を書いて、元の状態に戻し、返却BOXに入れたら返却完了です。
自分が誰の本を手に取るか分からないわくわく感ともう一つ、誰が自分の本を手に取ってくれたのかも、感想カードを見るまで分からないというのもないしょ市の楽しみの一つです。
そんなわたしが出品したのはこちらの雑誌。
後日返却され、感想カードを見ると、楽しんでもらえた様子。かわいいイラスト付きで感想をもらえて嬉しかったです。
ないしょ市を終えて
緊急事態宣言がなかなか明けない中での準備・実施だったため、一筋縄ではいかない企画に運営としてはかなり苦労しましたが、
結果的に、ほとんどのクリエイターが参加し、久々の交流を楽しめているようでした。
コロナによる機会損失は大きく、リモートワークも進む中、どうやったら組織の繋がりを強化できるのか。
それは業務の中だけではなかなか解決できない部分なのかもしれません。
この記事が組織課題と向き合うひとつのヒントになれば幸いです。
本気で遊べるクリエイター集団、サイバーエージェント メディアクリエイター組織の進化を今後もご期待ください。