2016年7月からスタートした、サイバーエージェントのエンジニア向け人事制度パッケージ「ENERGY」
当社で勤務するエンジニアが常に自身の技術力向上を図り、開発に集中することができる環境を提供するためにスタートした制度です。
制度開始から半年経ち、ブラッシュアップを続けながら運用されていますが、今回は「ENERGY」に盛り込まれている社内エンジニアによる技術カンファレンスとエンジニア向け社内報の取り組みについてご紹介いたします。
CyberAgent Engineers Congress
2017年1月13日(金)に、サイバーエージェント初となるエンジニア向け全社横断カンファレンスが開催されました。
半期に一度、全社員向けにグループ総会は開催されていますが、エンジニア向けのカンファレンスは今回が初めて。「他部署のエンジニアがどういう開発をしているのか知りたい」というエンジニアの声が開催に至るきっかけでした。というのもサイバーエージェントでは、2005年には30名程度だったエンジニアが、2017年現在正社員だけでも約800名にまで拡大。エンジニアが関わる事業も、メディア事業、広告事業、ゲーム事業、その他子会社と実に多岐に渡っているためです。
Engineers Congressは、代表の藤田の開会挨拶からスタート。
今回のカンファレンスでは、メディア事業、広告事業、ゲーム事業の中から全15セッションを用意。これまでの技術変遷を語らうパネルディスカッションや、若手エンジニアによる部署で上手くいっている活性化施策紹介など、様々なトークが繰り広げられ、どのセッションも非常に盛り上がっていたのが印象的でした。
中には立ち見参加者が出るほどのセッションも。
全15セッションが終了したあとは、懇親会を実施しました。セッションに引き続き、多くの社員が参加。
あちこちで部署を超えて盛り上がる様子が見受けられました。
やはり出張寿司は大人気で、長蛇の列ができるほど。
当日の参加者アンケートの一部をこちらでも紹介いたします。
・他部署のプロダクト開発の裏側についてだけではなく、当時困ったことから何を学び、どう改善しているという変化の過程を知れたのも良かった
・こういった機会は良い刺激になるので、マンネリ化しないのは必要だけれども、定期的な開催を期待している
・入社して日が浅いので、各部署の歴史について書くことができるのは興味深い
・初回という事も考慮されてると思いますが、もっと技術要素が増えることを期待
今後も、このように他部署のエンジニア同士が直接交流できる機会を積極的に創出していきたいと思っております。
Tech CyBAR
続いてご紹介するのは、2016年9月に創刊されたエンジニア向けのイントラネット社内報
「Tech CyBAR」
こちらも先述のEngineers Congressと同じく、他部署のエンジニアがどんなことに取り組んでいるのかを知りたい、という声から生まれました。
今回はTech CyBAR編集長である清水にインタビュー。Tech CyBARの狙いや日々の運営方法、今後の展望について聞きました。
清水 良一 TechCyBAR編集長、カルチャー推進室所属。SIerでサーバーサイドエンジニアを経験した後、2012年サイバーエージェント中途入社。主にエンジニアの新卒育成と新卒採用に4年間従事。2016年9月よりTechCyBAR創刊に伴い、現職。
――人事制度ENERGYによって生まれたTechCyBARですが、どういった目的で運営しているのか教えてください
TechCyBARでは「社内報で事業に貢献する」という目標を掲げています。
そのため、エンジニアが読んで「これは役に立つ」と思ってもらえるような記事はもちろんですが、取材するエンジニアが感じている課題や思想をしっかりと伝えるようにしています。
例えば、ある部署が実施した開発合宿のレポートであれば、開発合宿はどういった背景や課題意識で始まり、どういうコンセプトや思想で実施するか、進める過程でうまくいかなかったことがあればどう解決したかを合わせて伝えるよう心がけています。
また、プロダクトの開発事例をドキュメンタリーにしています。その際も「どうしてそのようなアーキテクチャにしたのか。技術的な課題に組織としてどう向き合っているか」という決断の理由や思想も詳しく伝えるようにしています。それを伝えることで、他プロジェクトや今後新しくジョインするエンジニアの参考になればと思っています。
――運営体制を教えてください
カルチャー推進室には5名所属していて、TechCyBAR担当は私1人です。たまに撮影やライティングを外部にお願いすることもありますが、基本的には取材、撮影、ライティング、編集作業を全て一人で行っています。
更新頻度は毎週木曜日の配信で、毎週2記事程度です。1記事あたりおよそ4,000字から8,000字のボリュームにしています。記事の量は比較的多いと思いますが、単なるインタビューとしてさらっと読めるものというよりは、技術的な知見やエンジニアの考えをアーカイブとして蓄積できるようなものにしたいと考えています。
他のプロジェクトの成功体験や失敗体験を知ることができて、且つその記事がきっかけで技術者同士が「あの記事読みましたよ」という風につながることができればいいなと思っています。
――毎回記事の企画はどのように考えているのでしょうか?
サイバーエージェントは採用に全力を尽くす会社なので、新卒採用にはたくさんのエンジニアが関わってくれます。おかげで新卒採用を通じて社内にたくさんのつながりを作ることができました。そのつながりから、エンジニアが話していることや取り組んでいることなどを聞く機会があり、それをネタに企画を考えていくことが多いです。嬉しいことに、最近では各部署からプロダクトや施策を取り上げてほしい、という声を頂くことも増えてきました。
おかげさまで記事のストックも増えましたが、一人で運用しているので編集作業がなかなか追いつかず…(笑)
エンジニアと一緒に企画を決め、どういったメンバーでインタビューを開催したら良いかや、記事の目的やゴール設定を共有することを大切にしています。インタビュー後には初稿を読んでもらい、技術的に詳しく伝えたいことや、開発時に考えていた思いなどを、加筆してもらったりもしています。
――これまでに33本の記事をリリースしたとのことですが、なかでも好評だった記事は?
やはり、大規模障害を乗り越えた関係者のドキュメンタリーなど、社内でしか知ることのできない記事は多くの方に読んでもらえました。その他には、サイバーエージェント役員であり、グループ会社CyberZ代表の山内とエンジニアによるプロダクト開発事例のドキュメンタリーも、経営とエンジニアリングの両方の目線で楽しめた、と好評でした。総じて、ドキュメンタリータッチの記事は人気が高いですね。
PVはもちろん見てはいますが、それ以上に読んでくれている現場エンジニアの声を大事にしています。良い感想だけでなく、もっと掘り下げられるポイントは何かとか、どんなプロダクトの技術について知りたいのかなどを積極的に聞くよう心がけています。
また、メディア事業のインフラ系記事だったら、アドテクスタジオのインフラエンジニアに感想を聞いてみるなど、同じ課題に向き合っている、異なる部署から見た感想を聞いたりしています。
――編集する上で気を付けている点や、大事にしている方針はありますか?
カルチャー推進室のチームメンバーでよく話しているのは「記事を書いているとどうしてもきれいに編集してしまいがち。でも、その課題はどういう背景でうまれ、課題解決が進まなかったとしたらなぜそうなのか、そしてその課題をどうやって乗り越えられたのか、という試行錯誤やチャレンジの部分を、企画段階から編集まで大事にしていこう。」という点です。チーム内で企画勉強会や質問力勉強会などを開催しながら、今も試行錯誤しています。
あとは、創刊当初はエンジニアをメインで取材していましたが、最近では役員とエンジニア、プロデューサーとエンジニアとか、他職種との掛け合わせをテーマにすることも増えてきました。エンジニアと一緒に働くいろんな職種の声を交えることで、プロダクトや事業の背景がより詳しく伝わるからです。また、テクニカルクリエイターにフォーカスした記事も増えています。
――最後に今後の展望を教えてください
以前副社長の日高が「技術は人に紐づくから、人と人とをつなぐことで知見を組織全体に広げていきたい」と言っていまして、私自身としてはTechCyBARを通してサイバーエージェントにはこんなにたくさんの考え方や働き方があるんだ、ということを知ってもらい、それによって人と人とがより密接につながっていければと思っています。
エンジニアに限らず、どんな職種・役割でも課題に向き合うことがあると思いますが、所属しているプロジェクトのことだけを見て解決しようとするのではなく、他プロジェクトに目を向けると周りにはこんな解決方法があるんだ、とかこういう働き方もあるんだ、と気付くこともあると思います。そのきっかけとして、TechCyBARがエンジニア同士がつながる第一歩になればとても嬉しいです。