こんにちは。株式会社サイバーエージェントのAmebaLIFE事業部でAndroidアプリエンジニアをしている寺澤と、株式会社タップルでAndroidエンジニアをしている村松です。今年も、Androidの国内最大級カンファレンスであるDroidKaigi 2026が9月1日から9月3日の3日間にわたり開催されました。サイバーエージェントは今年もゴールドスポンサーとして協賛し、ブース出展や弊社社員による登壇など、様々な形で関わらせていただきました。本記事では、カンファレンスの様子やサイバーエージェントのブースなどについて紹介します。
DroidKaigi 2026について
DroidKaigiとは、Android技術の共有とコミュニケーションを目的に開催されている、エンジニアが主役のAndroidカンファレンスです。9月1日から9月3日までの3日間、ベルサール渋谷ガーデンで開催されました。

気になったセッション
DroidKaigi 2026では、Conference Dayに48のセッションが行われました。これらのセッションは、「Kotlin」「Jetpack Compose」「アプリアーキテクチャ」など15のカテゴリに分類されています。昨年Experimentalとして設けられていた「AI」のカテゴリは、今年からExperimentalが外れ「Development with AI」として正式なカテゴリになっていました。
ここでは私たち2人が気になったセッションをそれぞれ1つずつ紹介させていただきます。
デバイス操作はAIエージェントの時代へ。mobile-mcpを活用したAndroid UI/E2Eテストの挑戦
寺澤:AIによって実装のスピードが上がった一方で、レビューや品質担保がボトルネックになりつつあると感じていたため、テストをAIに任せるというテーマには関心がありました。Mori Atsushiさんによる本セッションは、AIエージェントによるAndroidデバイスの直接操作テストの知見が共有されました。
デモでは、AIエージェントから端末を操作できるMCPサーバー「mobile-mcp」を使い、エージェントが自律的に画面を操作していきます。途中で誤った入力をする場面もありましたが、自らミスに気づいて戻る操作で修正していたのが印象的でした。
一方で、繰り返し実行する決まったテストは速度やコストの面で引き続きUnit TestやE2Eが有効で、AIエージェントは、E2Eを書くほどでもないエッジケースの確認や、再現しにくいバグの調査に向くという整理もされていました。再現手順が安定しないバグの起票は業務でもたびたび発生し、修正しては手元で再現を試すサイクルに時間を取られがちです。ここをAIエージェントが進めてくれるなら負担は大きく減るため、実際に試してみたいと感じました。最終的な品質担保には人の目が必要とも述べられており、開発中のデバッグや挙動確認に軸足を置くのが現実的なのだと思います。
後半では、AIにデバイスを操作させるだけでなく、AIが動きやすい環境を整えるためのTipsが共有されました。contentDescriptionやtestTagでUI要素を識別しやすくしたり、BroadcastReceiverとadbコマンドを使ってFeature Flagを外部から切り替えられるようにしたりと、AI自身が状況を把握し、検証を進めやすくする工夫が共有されました。また、画面ごとの操作方法をリファレンスファイルにまとめ、AIに参照させるだけでなく、実装との乖離もAIの定期実行でチェックするなど、AIに任せる範囲を広げるために、AIが迷わず動ける環境を人間側でつくっている点が印象に残りました。
AIによるデバイス操作に新鮮さを感じると同時に、少し抽象度を上げると、AIが力を発揮しやすい環境を整えることの重要性は、これまでのAI活用にも通じるものがありました。弊社でもテスト生成や仕様書作成にAIを活用する中で、Skillやリファレンスファイルの整備がAI活用を支えています。対象やアプローチは異なっていても、AIが迷わず動ける環境づくりの切さを改めて感じたセッションでした。
Jetpack Composeの仕組み
村松:Jaewoong (skydoves) さんによる「Jetpack Composeの仕組み」のセッションを視聴しました。
普段Jetpack Composeを使ってUIを実装しているものの、@Composable アノテーションをつけるだけで画面が描画される仕組みには「魔法のような便利さ」を感じる一方で、内部でどう処理されているのかまでは完全に把握しきれていませんでした。このセッションでは、その裏側が丁寧に紐解かれており非常に興味深かったです。
特に面白かったのは、Composeが単なるアノテーションプロセッサ(KSPなど)ではなく、Kotlin Compiler Pluginとして関数自体を直接書き換え、裏で Composer パラメータを注入しているという解説です。Unitを返す関数がどうやって状態を管理し再コンポーズを制御しているのか、コンパイラレベルでの動作を知ることで、フレームワークに対する解像度がぐっと上がりました。
セッションの後半では、IDE上で状態を可視化できる「Compose Stability Analyzer」プラグインなども紹介されていました。コンパイラの進化に頼り切るのではなく、開発者自身が再コンポーズの状況を監視し、チューニングしやすい環境を整えることの重要性を再認識しました。モダンなUI開発やKMPなどでのマルチプラットフォーム展開を進めていく上でも、内部メカニズムの理解と適切なツール活用を両輪で進めていきたいと思えるセッションでした。
サイバーエージェントからの登壇者とそのセッション
変革を、一部の人の熱量で終わらせないために ― 開発組織のAI活用推進とDE&I推進を率いて学んだこと
弊社からは、AIドリブン推進室に所属する神谷 優(_yukamiya)が「変革を、一部の人の熱量で終わらせないために ― 開発組織のAI活用推進とDE&I推進を率いて学んだこと」のセッションで登壇しました。
このセッションでは、開発組織におけるAI活用推進とTech DE&I推進という二つの取り組みをもとに、組織全体に変革を広げていくための考え方が紹介されました。
変革は、熱心な個人が先に走ることから始まる一方で、周囲が自分ごととして捉えられないと、活動が個人の熱量に依存してしまい、その人の疲弊や異動、退職をきっかけに活動自体が消えてしまうことがあるそうです。冒頭では、こうした個人の熱量に依存した変革には再現性がないという課題が示されました。
そこでこのセッションでは、「個人の熱量をさらに高めること」ではなく、「その熱量を仕組みに変えること」が重要だということが語られています。これまでの取り組みを通して、個人から始まった活動をどのように組織全体へ広げ、仕組みとして定着させていったのかが、実際に行われた施策とともに紹介されました。
組織に変革を起こすためにどのような仕組みが必要なのか、その仕組みをうまく浸透させるには何が重要なのか。新しい取り組みをチームや組織に広げようとしている方や、一部のメンバーだけでなく周囲を巻き込みながら活動を継続していくことに難しさを感じている方に、ぜひご覧いただきたいセッションです。
サイバーエージェントのブース
事業部診断アプリ「サイバーエージェントアプリフィット診断」
ブースでは、来場者のみなさんに楽しんでいただく体験型コンテンツとして、サイバーエージェントの4つの事業部(ABEMA、Ameba、Tapple、CL)の中から、自分に合った事業部を診断できる「サイバーエージェントアプリフィット診断」を展開しました。
このアプリでは、Yes/Noで答えられる10問の質問に答えるだけで、その人の価値観に合った最適な事業部をAIが提案してくれます。診断結果の推薦文は毎回API経由でAIが生成しているため、決まった文言ではなく、その人の回答内容に沿った推薦理由が返ってくるのが特徴です。出力にはフィルタリングをかけ、意図しない表現が出ないようにしています。
ブース運用を想定した作りにもこだわっており、通信環境が不安定な時でも診断が止まらないようオフライン時の動作に対応したり、一定時間操作がなければ自動でホーム画面に戻るようになっています。次の来場者がスタート画面から始められるので現場スタッフが毎回操作し直す必要もありません。
英語にも対応しており、国内外の多くの来場者に気軽に体験していただけました。タップルのUI/UXをベースとしたフリックカードUIは直感的で、回答完了まで約1分という手軽さもあり、非常に好評でした。多くの来場者が楽しみながら、各事業部の個性を知っていただくきっかけとなりました。





AI活用事例の展示
また、展示ブースでは各事業部における実際のAI活用事例の紹介を行いました。現在、エンジニア界隈で注目されているトピックということもあり、展示パネルの前では多くの来場者に立ち寄っていただき、弊社社員と熱心に意見交換が行われる場面もありました。開発現場のリアルな知見を共有し合い、ブースを通じて来場者のみなさんと交流できたことは、私たちにとっても多くの学びを得る機会となりました。




当日のイベントのトピック
当日はセッションだけでなく、DroidKaigiを盛り上げる様々なコンテンツが用意されていました。ここでは、その中からいくつか紹介します。
ネイル体験ワークショップ
例年好評のネイル体験ワークショップが今年も開催されました。2本の指に、好きなネイルカラーとAndroidをモチーフにしたシールを選び、ネイルを施してもらうことができます。会場では多くの方がネイルを楽しんでおり、完成したデザインを見せ合う姿も見られました。

マグロの解体ショー
Conference Day 1日目のアフターパーティーでは、例年に引き続きマグロの解体ショーが行われました。会場は多くの参加者で賑わい、豪華な料理を楽しみながら、技術について知見を共有したり普段利用しているライブラリの作者に直接感謝を伝えたりと、オフラインイベントならではの交流が多く見られました。

その他にも会場では、自由に楽しめるコーヒーやお菓子の用意や、特定のテーマについて参加者同士で気軽に話せるミートアップも開催されていました。セッションで学びを得るだけでなく、こうした参加者同士の交流が生まれるのも、DroidKaigiの魅力の一つです。
最後に
3日間にわたって多くの参加者で賑わったDroidKaigi 2026も幕を閉じました。スポンサーブースやセッションはもちろん、様々なコンテンツで多くの方が楽しまれていたのではないでしょうか。
今回、新卒として初めて DroidKaigi に参加し、Android エンジニアの皆さんの熱量に圧倒されました。セッションを通じた技術的な深掘りはもちろん、ブースで他社のエンジニアの皆さんと直接お話しすることもでき、非常に学びが多く楽しかったです。
ここで得た知見を日々の開発に活かし、さらに良いプロダクトを届けられるよう、今後も業務に取り組んでいきます。
DroidKaigi 運営の皆様、ならびにブースへお立ち寄りいただいた皆様、ありがとうございました!
来年の開催も今から待ち遠しいです!

