こんにちは。株式会社タップルでiOSアプリエンジニアをしている五味と、同じく株式会社タップルでiOSアプリエンジニアをしている大原です。

2026年9月11日から9月13日の3日間にわたり、iOS関連技術をテーマにした国内最大級のカンファレンス「iOSDC Japan 2026」が開催されました。サイバーエージェントは今年もプラチナスポンサーとして協賛し、ブース出展や社員による登壇など、さまざまな形で関わらせていただきました。

本記事では、カンファレンスの様子や印象に残ったセッション、サイバーエージェントからの登壇・ブースについて紹介します。

iOSDC Japan 2026について

iOSDC Japanは、iOS関連技術をコアのテーマとしたソフトウェア技術者のためのカンファレンスです。今年は有明セントラルタワーホールでのオフライン開催と、オンライン配信のハイブリッド形式で行われました。採択されたトークに加えて、パンフレットに掲載された技術記事や懇親会など、初心者から上級者まで楽しめるコンテンツが揃っていました。

https://iosdc.jp/2026/

iOSDCの会場の様子

気になったセッション

ここでは私たち2人が気になったセッションをそれぞれ1つずつ紹介させていただきます。

大幅なOSアップデートが来ても怖くない!〜Liquid Glass対応でエンジニアとして組織を動かすために意識したこと〜

大幅なOSアップデートが来ても怖くない!〜Liquid Glass対応でエンジニアとして組織を動かすために意識したこと〜のサムネイル

引用元

五味:ひなっこさんによる「大幅なOSアップデートが来ても怖くない!〜Liquid Glass対応でエンジニアとして組織を動かすために意識したこと〜」を視聴しました。

本セッションは、Liquid Glassを題材に、OSに依存する大規模なアップデートへの対応をテーマにしたものです。なぜこうした対応は後回しにされがちなのかという問題提起から始まり、実際にどう進めていけばよいのかが語られました。

中でも印象に残ったのは、対応を3つの段階に分けて進めるフレームワークです。

1つ目は、自分自身で早期にキャッチアップし、Liquid Glass化による影響範囲とデッドラインを把握する段階です。対応を後回しにしていると、いざ着手せざるを得なくなったときにデッドラインが見えておらず、スケジュールが逼迫してしまいます。その結果、QAまで間に合わず未完成のまま出すことになり、品質を保てなくなるおそれがあります。こうした問題から早めに動き出すことが、アプリの品質を保つことにつながるのだと学びました。

2つ目は、得た知見を周囲に「翻訳」して仲間を増やす段階です。Liquid Glass化はデザイナーへの依存度が非常に高い取り組みです。そのため、最も影響を受けるデザイナーに向けて勉強会などで知見を共有し、現在のアプリがどういう状態にあるのか、既存のデザインを活かしながらOS標準コンポーネントを活用し、Liquid Glassとどう調和させるのか、その落とし所を早い段階から一緒に探っていくことが重要だと話されていました。さらに、Appleのデザインエバンジェリストの方とも連携し、カスタムUIをLiquid Glassにどう対応させるかを議論されていたそうです。エンジニアだけで閉じずに、さまざまな立場の人と多角的に考えながら答えを探すことの大切さを感じました。

3つ目は、PdMに報告し、ワンチームで組織を動かす段階です。工数の見積もりやデザイナーとすり合わせた方針をPdMに共有することで、個人の取り組みではなく、正式なプロジェクトとして運用できるようになります。

事前の準備をいかに進め、品質を維持しながらチーム全体で足並みを揃えて大規模アップデートに備えるか。その重要性を学べたセッションでした。

交通系ICへのチャージ実例から考える、クロスプラットフォーム開発におけるiOS実機テスト設計とCI運用

交通系ICへのチャージ実例から考える、クロスプラットフォーム開発におけるiOS実機テスト設計とCI運用のサムネイル

引用元

大原:このセッションでは、Suicaへのチャージ機能を題材に、Kotlin Multiplatform(KMP)を用いたクロスプラットフォーム開発におけるテスト設計と、iPhone実機を組み込んだCI運用について紹介されていました。

特に印象に残ったのは、テスト対象を「共通処理」と「OS固有の処理」といった単位まで細かく分解し、可能な限り自動テストで検証できるように設計していた点です。KMPで共通化されたビジネスロジックはKMPの単体テスト、iOS固有の処理はSwiftの単体テストで確認し、OS機能や外部サービスとの連携など、実機でなければ確認できない部分に絞ってiPhone実機でテストする構成になっていました。

「実機テストをどのように自動化するか」だけを考えるのではなく、まず処理やテスト項目を細分化し、「どこまで実機を使わずに検証できるのか」を整理することで、実機で確認する範囲そのものを小さくしていくアプローチが興味深かったです。

また、AndroidとiOSのビジネスロジックを共通化するためにKMPを採用した背景についても紹介されており、すべてを共通化するのではなく、共通化する領域とOS固有で実装する領域の境界を明確にしている点も印象に残りました。その設計上の境界が、そのままテスト戦略にもつながっていることが大きな学びになりました。

普段の開発でも、機能をそのまま一つの単位として捉えるのではなく、「共通化できる処理」「OS固有の処理」「実機でしか確認できない処理」まで細かく分解して考えることで、テストを自動化できる範囲をさらに広げられそうです。自分たちのiOS開発におけるテスト設計やCIについても、改めて考えるきっかけになるセッションでした。

サイバーエージェントからの登壇者とそのセッション

今年はサイバーエージェントから、インターネット広告事業本部より1名、タップルより2名が登壇しました。

2Dモーショングラフィクスを空間体験へ翻訳する

9月12日 16:10〜(Track D)、インターネット広告事業本部の服部智が登壇しました。

優れたモーショングラフィクスは情報を分かりやすく伝え、視線を導き、感情を動かしますが、その多くは平面の画面を前提に作られています。一方、Apple Vision Proではグラフィックスが現実空間の中に存在し、ユーザーは自由な視点から見渡すため、2Dで効果的だった演出をそのまま空間に持ち込んでも、同じ体験にはならないという課題が示されました。

そこでこのセッションでは、「正しい空間表現」を提示するのではなく、評価の高い2Dモーショングラフィクスを題材に、動きや演出の意図を分析し、視線・奥行き・身体性を踏まえて空間表現へ再構成していくプロセスそのものを共有することが重要だと語られています。RealityKitによる実装のポイントや、「おお!」と思わせる空間演出のための工夫も、デモを交えて紹介されました。

優れた2D表現を空間コンピューティングという新しいメディアへどう翻訳していくか。visionOS開発に興味がある方はもちろん、モーションやインタラクションの設計に関わる方にも、ぜひオススメしたいセッションでした。

なぜStruct?なぜClass?メモリから理解するSwiftの基礎

9月12日 18:00〜(Track A)、タップルのCHOI YOUNGBINが登壇しました。

このセッションでは、「StructとClassは、どのような基準で使い分けるべきなのか?」という疑問をきっかけに、プログラムが実行時に利用するメモリ構造に関する内容を発表していました。StructとClassの選択基準、値型と参照型、Copy-on-Write、ARCとクロージャのキャプチャといった概念は、個別に覚えているだけでは関連性が見えづらく、「なぜそう動くのか」を説明できるようにはなりにくいという課題があるそうです。

そこでこのセッションでは、これらの概念を個別に覚えるのではなく、Code、Data、Heap、Stackで構成されるメモリ構造という一つの観点からつなげて理解することが重要だと語られています。実際にメモリ構造を図解しながら学習していく過程を通して、それぞれの概念がどのようにつながっているのかが紹介されました。

動くコードを書くだけでなく「なぜそう動くのか」を説明できるようになりたい方や、StructとClassの使い分けに迷ったことがある方におすすめしたいセッションです。

print(“Hello”) はどうやってXcodeのコンソールに届くのか

9月12日 18:05〜(Track A)、タップルの大原陽治がLTで登壇しました。

普段何気なく使っている print(“Hello”)が、どのような処理を経てXcodeのコンソールに表示されているのかを、Swift標準ライブラリの実装を追いながら解説していました。

print が Any… として値を受け取るところから、文字列表現への変換、TextOutputStream による出力先の抽象化、そして _Stdout を経由して標準出力へ書き込まれるまで、一連の流れを順を追って理解することができました。

普段当たり前のように使っているAPIの裏側にも、Swiftらしい設計や抽象化があることを知ることができ、とても興味深かったです。

サイバーエージェントのブース

ブースでは、タップルやABEMA、Amebaといったネイティブで開発されている各サービスにおけるAI活用の取り組みをまとめたパネルを展示しました。また、各サービスのワークアラウンド(回避策)をクイズ形式で出題する「ワークアラウンドクイズ」も開催しました。

当日は多くの方にパネルの紹介やクイズにご参加いただき、知見共有の機会にもなり、とても有意義な時間となりました。

CAのブースの様子

最後に

3日間にわたって多くの参加者で賑わったiOSDC Japan 2026も幕を閉じました。

今回、新卒として初めてiOSDCに参加し、セッションやブースでの交流などでiOSに関する最新の情報をキャッチアップできて、とても良い刺激になりました。

ここで得た知見を日々の開発に活かし、より良いプロダクトを届けられるよう取り組んでいきます。

また、2026年10月16日(金)には、iOSDCのアフターイベントとして「CA.swift #23 〜After iOSDC LT Night〜」を開催します。ブースでご紹介してたローカルLLMのアプリ導入事例に関するLTや、ABEMAのiOSエンジニアによる空間オーディオに関する発表もあります!オフライン会場とYouTube配信のハイブリッド開催ですので、iOSDCの余韻を一緒に楽しみましょう!
https://cyberagent.connpass.com/event/406405/

iOSDC運営の皆様、ならびにブースにお立ち寄りいただいた皆様、ありがとうございました!
来年の開催も今から楽しみです!

集合写真

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2026年新卒入社。タップルでiOSエンジニアをしています。