初めまして、アメーバピグでサーバサイドエンジニアをやっているruiです。本ブログは私が所属する部署内のチームを横断した組織であるピグ技術推進室の沿革について「初期」「変革期」「運用期」「終盤」のフェーズに分割して記したものです。

「終盤」というフェーズから分かる通り、残念ながら執筆時点で技術推進室は解散しております。成功体験を書けたら良かったのですが、若干反省めいた内容になっています。それでも良いという方のみ読み進めて下さい。

前置きはこれくらいにして、まずはピグ技術推進室の「初期」について説明します。

初期(2014年秋頃~2016年1月)

アメーバピグは古くからあるサービスで、今年の3月で8周年を迎えました。ユーザの皆様ありがとうございます。そんなピグ技術者は、既存機能の改修やイベント運用やCS対応といった保守・運用の業務が多く、売上に直接貢献しない技術チャレンジがしづらい文化になりつつありました。そこで今まで出来ていなかった技術チャレンジを定期的にサポートして実行する組織である、技術推進室が誕生しました。直接事業貢献に結びつかない事でも良いので「やってみたい技術チャレンジ」という観点で、ピグ技術者から意見を集約した上で、推進室で精査し、業務としてメンバーに分配していました。これにより、ミドルウェアや開発ツールのバージョンアップ、速度向上等々が行われました。

私は2015年夏頃に推進室にジョインし、上記のように推進室で検討されたタスクであるJava6からJava8へのアップデートやSVNのGit移行を経験しました。いずれも影響範囲が大きく大変でしたが、仕事を終えるごとに達成感と成長感を味わえました。アップデートや移行後、使い心地や今後の改善案等を前向きにメンバーと語り合う時間が楽しかったです。

変革期(2016年2月〜2016年5月)

この頃社内で勢い良く新サービスが登場し、真新しい技術で仕事をする同僚を横目に、自分の組織は技術的な魅力が少なく、枯れた技術や8年継ぎ足した秘伝のタレと向き合う毎日でしたので、技術トレンドに取り残される危機感を感じ、どうにかして技術的に魅力的な組織に生まれ変われないものかと考えていました。そうした中で、技術チャレンジをピグ技術者メンバーから吸い上げようとしても、リクエストが固定のメンバーからしか上がってこなくなっていました。

また、先述の通り、私がGit移行を行った際は、既存業務に影響が出るからやめてほしいという声も上がっていました。新技術を取り入れた際には学習コストがかかるので、どうしても日常業務に支障が出てしまいます。日々の業務をギリギリの期限の中全力で行っているメンバーに、こうした負担をかけるのは申し訳ないという気持ちも湧きモヤモヤした気持ちになってしまいました。

このような経験から、新しい技術に敏感で許容力のあるチームへ変えつつ、ピグ技術者レベルの底上げをしようと考え、技術推進室の名の下に組織文化作りをはじめました。組織を牽引する際に進路がブレないよう、ピグ全体のビジョンである「100年続くアバターサービスにする」を下支えするための、ピグ技術者のビジョン及び、ビジョンの体現として行動指針をセットで制定することにしました。

当時の推進室メンバーは技術ボード、チームリーダー、マネージャーといったチームをまとめる立場の方々で構成されていたため、このメンバーであれば納得のいくアウトプットが出せると判断し、推進室内で各々組織の理想像を話し合い、それらを集約することでビジョン及び行動指針を下記の通り制定しました。

攻める技術者行動指針

攻める技術者と5か条

※行動指針の口調を運用期で変更したため、こちらは改定後の行動指針になります。

ビジョンの「攻める技術者」には、保守的にならず新しい感動を生み続けることのできる技術者になって欲しいという思いを込めました。

また、行動指針の意図については以下の通りです。

今を超えるチャレンジをしよう

既成概念にとらわれず新しいものを生み出しましょう。

ひきだしを増やそう

情報を継続的にインプットし、業務に適用できるものはないか関心を払いましょう。

知識を「シェア」しよう

知識をアウトプットすることで、周りのレベルアップに貢献しましょう。

チームプレイをしよう

チームで協力することで、想像以上のアウトプットを出すことを心がけましょう。

クオリティを追求しよう

アバターNo.1のサービスのクオリティを意識し追求していきましょう。

制定後は、攻めを評価する姿勢を組織的に示すため、査定面談資料の目標設定シートに「今期の攻めポイント」という項目をもうける事で、攻めに強制力を持たせました。

余談ですが私は自分が主導して作ったビジョンや行動指針に恥じぬ生活を心掛けるため、行動指針に沿って一日一善ならぬ、一日一攻をすることをすることを目標設定時に誓い、向こう半期この地味な目標を達成するために日々苦労しました。

運用期(2016年6月〜2017年3月)

ビジョンの実現に向けて、行動指針を理解し体現するメンバーを増やすための施策を行うことにしました。ただ、推進室で一人歩きして施策を打っても共感が得られ難いだろうと考え、推進室の活動を示すために、ピグのメンバー全員が揃う月初会という場で活動報告をしたり、ビジョンや行動指針に対する意見及び、文化を根付かせるために必要なことをアンケートを取ることで、メンバーの意見を施策に反映することにしました。

アンケートの結果「知識をシェアしよう」の行動指針を体現できていないと答える人が多く、知識・技術・興味の共有の場が必要だという声が一番多かったため、「シェア」の行動指針のもと、二種類の知識のシェアの場を提供することにしました。

重めの知識共有の場(攻めトーーク!)

(イメージ画像自粛)

  • 1人の持ち時間30分のプレゼン発表形式
  • 職種毎に隔週で実施
  • 発表後は内容についてアンケートを実施し発表者へフィードバック

Tips等の軽めの知識共有の場(Sharel)

Sharel

  • Slackに上に作ったtwitterのようなSlack app
  • 個人チャンネルを作って、botのSharelを招待することで、Sharelを使っているメンバーの投稿がチャンネルに集まる
  • 他人の投稿に返信やイイねができる

攻めトーーク!はフロント、サーバ、デザイナーそれぞれ運営委員を組織して、発表のとりまとめを行ってもらい、デザイナ、サーバ、フロントいずれかの発表を毎週聞くことが出来るようにしました。攻めトーーク!の発表を通じて、今まで隠れていた同僚のスキルを再発見したり、他職種の発表を聞くことで、職種間の理解も深まりました。

Sharelは運用当初は毎日平均20~25投稿くらいTipsが共有されており、その日のTechブログや情報まとめサイトで得た有用な知識のまとめ投稿が主でした。特定の情報感度の高いメンバーが頻繁に投稿してくれていたおかげで、施策実行直後と比較して徐々に投稿数は下がったものの、約1年経過した今も一日10投稿程度はシェアされている状況です。

「ひきだしを増やそう」の行動指針のもと、共有図書を作ろうと推進室メンバーが提案してくれたので、2017年1月から共有図書hikidashi Booksをスタートしました。ピグ専属の総務と連携し、Slack上で書籍購入依頼すると、書籍が数日後に入荷されるというものでした。運用後は書籍からインプットの多いメンバーからの本紹介が定期的に行われることで、知識のシェアもされている状態でした。

終盤(2017年4月~)

次の施策を打つためメンバーの声を再度吸い上げようと、ヒアリング会を実施したところ行動指針とビジョンの結びつきや、Sharelや攻めトーーク!との関連が理解できていないと言われ、そもそも技術推進室の活動目的も見えていないと言われ、自分たちの想いは全然伝わっていなかったのだと啞然としました。行動指針を意識するための施策をしていたのに、行動指針との結びつきが理解されないのでは意味がないので、行動指針を伝えるためのポスターを作ってビジョンと行動指針を地道に布教することにしました。

しかし、ポスターが出来あがると同時に部署内で大編成があり、約半数のメンバーが別部署に異動することになりました。また、事業部全体として、組織編成を機に異動対象の部署に関わる横断的な組織はリセットするという方針になりました。存続を望めば存続できる雰囲気でしたが、約一年かけて施策をしたにも関わらず、推進室の意図が伝わっていなかったことと、これから布教活動を地道にしていくために使うコストを冷静になって考え直し、このタイミングで技術推進室を解散することにしました。

解散決定後は速やかに推進室の遺産運用についての話し合いを行いました

ビジョンと行動指針について

いつか形骸化してしまうくらいであれば、今のうちに自分たちの手で無くしておこう考え、もっともビジョンや行動指針が効力を発揮するであろう査定評価の面談資料から攻めの評価欄を外しました。

攻めトーーク!とSharelとhikidashi Booksについて

Sharelについてはほぼメンテ不要で、今もなお投稿が続いているので廃止する必要も無いだろうという判断で継続しました。また、攻めトーーク!は定期開催から不定期開催として続行することにしました。攻めトーーク!で成果発表することを目標としているメンバーもおり、また技術共有の場として、今後またこういった場が必要になったときに改めてスキームを作り直すコストが高いと判断したためです。hikidashi Booksについても共有図書がなくなると既存の本の管理ができなくなるので続けることにしました。

これらを整理して、静かに推進室の活動を終えました。志半ばで活動を終えてしまったことに複雑な想いですが、今は攻める技術者のマインドを持ち続け、推進室に割いていた時間を使って、事業成果を今まで以上に出そうという気持ちになっています。

最後に

本来であれば、今後の展望とか書きたいところですが、そういった事がかけそうにないので、今後の自分(もしくは恐れ多いですが僕と同じような取り組みをする人に対して)へアドバイスで締めくくります。

想いは思った以上に伝わらない

ビジョンや行動指針に月初会で説明し、いくつか施策も打ってきましたが、ほとんどメンバーには伝わっていませんでした。本当に想いを伝えたいのであれば、日常的にクドイと思われるほど伝える必要があるのではと思います。

文化を変えるのは相当の時間と体力が必要

ルールや施策を新たに作り、それが定着して文化となるまでにかなりの時間を要するので、持続可能なペースで根気よく取り組む必要があると思います。正直なことを言うと、運用期から終盤にかけて私の業務が忙しくなり、その中で技術推進室との両立はなかなか大変でした。実際に手を動かす量よりも、自分たちの決定が部署内のメンバーの貴重な時間を割くことになるので、中途半端なことは出来ないという責任感がプレッシャーでした。どんなことがあっても途中で投げ出さずに行う覚悟と根気が必要です。

コストの意識を持つ

攻めトーーク!を運用して気づいたのですが、運用コストの高い施策は実行当初は満足感が運用コストを上回っているためか、あまり意識できないのですが、運用を続けていくうちに運用者、参加者、発表者のコストが溜まって運用が行き詰まる時期があります。Sharelのように誰もが負担に感じない範囲の施策を積み重ねることから始めるのが大切かもしれません。

以上になります。長々と書いてしまいましたが最後まで読んでくれた読者の皆様ありがとうございました。また、こういった結果に終わりましたが、今まで一緒に奮闘してくれた技術推進室メンバーの皆様及び、運営メンバーの皆様ありがとうございました。技術推進室はなくなってしまいまいましたが、今後ピグの技術者文化がどう変化していくのかをピグの一員として見届けつつも、「攻める技術者」の残党として支えていきたいと思います。

rui
サーバサイドエンジニアです。何事も卒なくこなせるエンジニアになるために日々精進しています。