サイバーエージェントのメディア事業の横断技術組織である「技術本部」

「持続可能な技術発展で、サービスの継続成長を支えるプロフェッショナル集団となる」をビジョンに掲げている技術本部では、専門技術の研究や基盤の提供、様々な開発支援の取り組みなどを行っています。

Developers Blogでは、技術本部本部長の後藤とマネージャーの田中にインタビュー。もともとは独立していたという各チームが技術本部として一つの組織になったことのメリットや、横断組織として心がけていること、課題点など詳しく話を聞きました。

 

 

 

 

後藤 孝二(右)
技術本部 本部長。SIerを経て、2012年サイバーエージェント中途入社。
入社後は、サーバーサイドエンジニアとしてコミュニティサービスの運営に携わったのち、ブラウザ版「Ameba」のオープン化プロジェクトに参画。2014年10月の技術本部設立に伴い異動し、2016年4月より現職。
田中 淳(左)
技術本部 マネージャー。2008年サイバーエージェント新卒入社。
入社後は、ネットワークエンジニアとして様々なサービスのデータセンターやサーバーの構築・運営に携わった後、2015年6月よりデータセンターチームのマネージャーに。2016年4月より現職。

 

 

 

 

11のチームで成り立つ技術本部

 

ーー技術本部について教えてください


後藤:メディア事業内の横断技術組織で、現在エンジニアが約140人在籍しています。大きなミッションとしては

 

・横断で活用できる専門技術の研究、技術提供、基盤提供

・横断的にサービス品質を高めるための開発支援、運営

 

などで、「技術」を軸に横断的な貢献を目指す組織です。具体的な取り組みは、11個の専門領域に分かれて行っています。

 

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各領域が技術本部内でグループとして独立していて、どういう貢献を目指すべきかという点もグループ側で自主的に考えて進めていきます。グループごとの自主性を大事にしているのでグループ名の命名にばらつきがありますが、あまり気にはしていません(笑)

 

技術本部自体は2014年10月に設立されたのですが、最初は研究開発組織である「秋葉原ラボ」と認証や課金、画像などのAmebaの共通基盤を担当する「基盤システムグループ」のみでした。その後、様々な機能別組織として独立していたチームが約2年かけて続々技術本部にジョインし、現在では11のチームで成り立っています。

各チームを簡単にご紹介をすると、サービスリライアビリティグループでは各サービスのインフラアーキテクチャの設計や構築の実施と、最近ではSite Reliability Engineeringに基づいた活動を中心に対応を始めました。

 

 

田中:サービスファシリティグループではデータセンター基盤の構築や開発を行い、技術購買部ではメディア事業に携わるエンジニア開発環境を日々サポートしています。両チームとも私がマネージャーとしてチームを見ています。

 

 

後藤:技術購買部と同様にエンジニアの開発環境の進化を目指し活動しているAdvanced Dev. Centerでは、開発に関する様々なツールをサポート。セキュリティチームはその名のとおり当社が提供するメディアサービスのセキュリティを担当し、QC(Quality Control)室にはテストを中心に品質向上を行うメンバーが所属しています。

カスタマーサポートも名前の通りですね。それから、サイバーエージェントのWebプロダクト品質を横断的に向上できるように、またWeb技術を使ったチャレンジがしやすい環境をつくるべく、それら推進を目的に設立されたWeb Initiative Centerというチームもあります。フロントエンドエンジニアが所属していますが、こちらは1名をのぞいて全員各サービスとの兼務です。

最後に、サービス分析チームではデータ分析を行う上での分析環境の構築を行うほか、自社開発したデータ分析基盤や、GoogleアナリティクスやTableauといった外部ツールを使った分析も行なっています。

 

 

 

 

さらにチーム間の連携を強化していくために

 

ーー各チームが技術本部として一つの組織になったことで、どういったメリットがありましたか?


後藤:各々機能的なチームが一つになったので、事業をサポートする上で様々な新しい取り組みを行う際など非常にやりやすくなったと思います。単独組織として独立していたときよりも、「気軽に現場で改善ができる状態」に少しづつ近づけることができたのが大きなメリットですね。

一つの組織になる以前は組織またぎで活動を進めていたので、気軽に話が通りにくかったり、各上長からお許しをもらってみたいなプロセスも、場合によっては起こっていました。そこがある程度現場で考えて動けるようになってきたことは大きいと思います。

 

 

田中:すでに後藤も挙げていますが、それぞれのチームが独立して存在していたときは、構成上仕方ないのですが縦割り感が強かったですね。チーム同士で積極的にコミュニケーションをとることが縦割りされた組織構成だと難しかったんです。技術本部として一つの組織になったときに最初はぎくしゃくしていた部分もありましたが、次第に連携がとれるようになってきたのではないでしょうか。

ただ、個人的には現在の状態には満足していなくて、もっと技術本部内の連携を強化していきたいと思っています。やはり横の連携が強まると様々な化学反応が起きそうな気がするじゃないですか(笑)

 

 

後藤:今だと、ミッションが近しいお隣さんチームの関係性が高まってきたなと感じはじめています。例えば、

・データセンターチームと、サービスのインフラ担当
・基盤開発チームとデータセンター開発チーム
・ラボの基盤開発チームとデータセンター開発チームや、基盤開発チームのメンバー

などです。これは組織単体で独立していたときにはなかなか実現できなかったことなので、良かったと思っています。

 

技術本部として組織を一つにしていく過程で意識していることとして、メンバーが自走できる環境を作ることと、チーム間で協働できる状態を作ることの2点があります。自走できる状態を作るためにはビジョンやゴールや価値観が共有できている必要があるので、そういったものの明文化を進めるようにしていますね。また、自走できるだけの情報も皆同じように持っているべきだと思うので、情報は可能な限りオープンに伝えるように心がけています。
たとえば、秋葉原ラボのメンバーは秋葉原勤務なので、全体で集まるのが少し難しいという背景もあり、共有ルートは基本Slackに集約し始めています。またSlackに技術本部の全メンバーが入ったチャンネルがあるのでそこにメディア事業の経営ボードのMTG内容の抜粋や、今後のサービス側のリリース計画などを流すようにしています。

 

これまでは、各グループリーダーへ共有するフローにしていたのですが、それだと伝わり方にムラが生じてしまっていました。同じ情報を共有したいのであれば、そもそも最初から全体へちゃんと発信すべきだという反省で取り組んでいます。結果として、現在の情報フローの方がありがたいという好評の声が多いので、手を伸ばせば必要な情報がいつでもあるという状態はやはり大切だと考えています。

 

さらにチーム間で協働できる状態にするためには、心理的にも無理のない単位で「関係の質」を高めるための機会を作るようにしています。例えばチーム内だけでなく、チームを横断したランチ・飲み会や、半期に一度は技術本部全員が集まって交流と表彰を行う「GIHON AWARD」という取り組みなどを実施しています。AWARD自体は次回で第5回目となり、恒例のお祭りと化してきました(笑)
チーム作りとも共通すると思いますが、このような機会も心理的安全性が担保されてないとうまく機能しないと考えています。人によっては他業種や他チームといきなり話せと言われてもハードルが高く感じてしまうと思いますし、いきなり営業チームと一緒にシャッフルランチに行ってきてという状態になったら私も少し構えてしまうかもしれません(笑)

そのため、チームを横断した取り組みを実施する際には、心理的安全性が担保された状態を意識しています。継続的に続けることで、「気軽に現場感で改善ができる状態」が少しずつ醸成されてきました。田中が言うようにもっとできることはあると思うので、今後もより連携を強化していこうと考えています。

 

 

 

 

サービス開発の主体性は常に事業やサービス側に

 

ーー横断組織として事業をサポートする上で、心がけていることはありますか?


田中:サービスは攻めの技術が多いですが、私たちは組織の特性上守りの部分が多いですね。システムのことを考えた場合、攻めに対してどこかしらで守りは必要だと思うので、その上で自分たちがどうサポートすべきかというのを日々考え行動に移しています。

 

サイバーエージェントは技術選択もそれぞれのプロジェクトに任せているので、トレンドの技術を使ってエンジニアの技術力が高まっていくのは素晴らしいことだと思います。ただ、サービスが成長し続けるためにはトレンド技術を使うことが必ずしも最適解とはいえないケースもあるので、プロジェクトメンバーの一員としてアドバイスや意見を言うときはあります。メンテナンス性やスケールするかしないか、コストメリットとしてどうなのかといった点は事業を継続するにあたってやはり重要な要素なので、我々のミッションとして意識するようにしています。

 

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後藤:田中が話していたことにもつながるのですが、私が今一番思うのはバランスの大切さです。サービスが攻めの姿勢であるからといって、こちらの守りが強すぎてもだめですし、どちらかに偏りすぎるのは良くないと思っています。サービスの現状だけでなく中長期的に目指すゴールも鑑みて、我々の動きをどうすべきか考えることが大切だと感じます。

また、サービス開発の主体性は常に事業やサービス側にあることが必要だと考えています。サイバーエージェントでは動画配信サービスや音楽配信サービス、カップリングサービスなど様々なメディアサービスを提供していますが、それぞれの市場ごとに日々めまぐるしい変化があります。主体性がサービス側になければ、これらの変化スピードについていけないと思うんです。
もちろん技術での尖りは必要だと思いますが、ちゃんとサービスとその未来に寄り添っていないと意味のある攻めや守りにならないですよね。

 

その他にも構造的に無理が発生しない方法を心がけています。たとえば品質を上げるために横断組織がレビューを行うという場合があったとします。そもそもサービス側が頑張っていたのに、あとから来たレビュアーにいきなり強制されてもサービス側のエンジニアからすればあまり気持ちがいいものではないですよね。そのため、仮にレビューに入ることがあったとしても、最初に協力を仰ぐ際には気をつけています。

もちろんうまくいくケースもあるとは思いますが、今のサイバーエージェントのメディア事業の規模を考えると横断組織で細部まで把握することは難しいので、中央集権すぎるやり方はうまくいきません。様々なサービスがありますし中には子会社化している流れもあるので、ベースはサービス側で考えてもらい彼らの意見を尊重しつつ、こちらとしては専門領域で意見するようにしています。

 

 

 

 

ーー技術の横断組織としてどんな点に難しさ、課題を感じていますか?


田中:バランスをとるのが難しいという点に尽きると思います。サービス側のエンジニアから「技術本部って何してるの?」と聞かれてしまうこともあるのですが(笑)横断組織の我々がぐいぐいアピールして認知してもらうというのも違う気がするんです。先ほどの主体性の話ともつながるのですが。

ただ、技術本部があることでのメリットは間違いなくあると思っています。サービスがグロースするために必要な各領域のスペシャリスト達は技術本部にいますし、これをいかに認知してもらえるかは我々マネージャー陣としての大きな課題ではあるのですが、そのハードルを超えれば技術本部の大きな一歩につながると思っています。

 

 

 

 

ーーさいごに、今後技術本部をどのような組織にしていきたいと考えていますか?


後藤:技術本部のビジョンには「サステイナビリティ」(持続可能な技術発展)という言葉が入っています。技術を発展させてサービスへ貢献することだけでなく、その取り組み自体が持続可能であることも横断組織としては大切にしたいと考えています。そこでビジョンに組み込みました。

横断的な取り組みも単発ではなかなか積み上がっていかないので、後世にバトンを引き継ぐことも考えた「持続可能な技術発展」を目指していきたいです。そういった観点では技術的負債へもより一層向き合っていきたいですね。運用期間の長いサービスも増えてきましたので、常にシステム上良い状態を維持できるようにしたいです。

また組織としては、いつでもオープン且つ気軽に議論ができる環境で、思い立ったらすぐに動ける状態を継続して醸成していきたいと考えています。

 

 

田中:分かりやすい事業目標を持っているわけではないですが、技術本部があることによって事業的なメリットがあるというのをしっかり体現し、みなさんに伝えていきたいと思っています。

技術本部の中でも秋葉原ラボは比較的ブランディングがあると思うのですが、今後は技術本部自体のブランディングも強めていき対外的にもアピールしていきたいですね。

そのためには、技術で支えていくという技術本部全体の存在意義を、より多くの方に知っていただくことができれば嬉しいです。

 

 

 

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