本日からの2日間、KubernetesやCloudNativeに関するカンファレンスであるKubeCon + CloudNativeCon Japan 2025が開催されています。

日本では初開催で、CyberAgentグループもスポンサーとして関わっています。CyberAgentグループからも複数名がスピーカーとして登壇し、参加しております。

Keynoteでの発表によると参加者は1,500人、チケットは完売となったようです!

本日 1日目に現地で参加してきましたので、イベントの内容をまとめます!

 

会場の様子

今回の会場はヒルトン東京ベイで、会場に着いたら早速大勢の参加者がいて、開始前から大変賑わっていました!

 

 

会場のロビーではフリードリンクやお菓子なども用意されており、参加者がそれぞれ会話しながら交流を深めていました。

ロビーで提供されるフード

その他、スポンサー企業のブースや、CNCFプロジェクトのブースなどもあり、セッションを聞くだけでなくさまざまな人・企業との交流の場があります。

 

1日目 Keynote

早速1日目のKeynoteのセッションについて、いくつか紹介いたします。

Keynote: Community Opening Remarks – Chris Aniszczyk, CTO, Cloud Native Computing Foundation

発表資料

CNCFのCTOのChris AniszczykさんによるKeynoteです。

ここ10年でのCNCFコミュニティーCNCF関連プロダクトが成熟してきて、世界的にもますますCloudNative関連の技術が盛り上がってきていること、さらには日本でのCloudNativeコミュニティーも活発になっており、国内でも多くの開発者がコントリビュートし、事業成長のために国内でも多くの企業がCloudNative関連技術を取り入れているという話をされていました。

今回の開催でも日本でのCloudNative関連の技術の人気もあり、参加者が1,500人、チケットは完売とのことでした!

日本初開催のKubeCon+CloudNativeConは大盛況でチケットも完売

さらには、来年 KubeCon+CloudNativeCon Japan 2026の開催を予定していることが発表された際には、会場で大歓声があがっていました!

2026年の日本開催のアナウンス

Keynote: From ECS To Kubernetes (and Sometimes Back Again): A Pragmatist’s Guide To Migration – Marc Hildenbrand, Canva

デザイン・コラボレーションプラットフォームであるCanvaが AmazonECSからEKSへ400以上のサービス移行をテーマとした発表で、ユーザ影響を最小限に抑えてシームレスに移行した戦略・ツール・プロセスがテーマのセッションでした。

新構成への安全な移行のためのまとめとして、まずはCI/CDフローなどのケイパビリティに関する環境を整えること、実サービスへの丁寧な移行プランを計画すること、移行作業に失敗はつきものなのでロールバックの手順を整備することなどが挙げられており、大規模な移行プロジェクトをする際に活かせそうな事例を学べました。

移行プロジェクトのまとめ

 

Keynote: Cloud Native Darwinism: Continuous Evolution of Platforms for Competitive Edge – Masaya Aoyama, Senior Software Engineer, CyberAgent

本カンファレンスのCo-Chairである弊社所属の青山 によるキーノートセッションとなります。

弊社青山のKeynoteセッション

 

事業を持続的に成長させるために、開発プラットフォームも継続的に進化させ、より優れたソリューションを継続的に取り入れる必要があり、それを可能にするためのKubernetesの強力な拡張性について紹介がテーマとなる発表です。

Istio ambient meshやPrometheus v3, OpenTelemetryなどのサービスメッシュやオブザバビリティ関連のプロダクトの誕生や技術的な進化、マルチクラスタでの運用ニーズも増えてきているといった話がありました。

サイバーエージェントの事例も紹介しており、2015年からKubernetes及びそれに関連した技術を利用しており、マルチクラスタ・マルチリージョン・ハイブリッドクラウドでの利用事例もでており、また自前のKubernetes基盤も運用していることを取り上げていました。

 

セッションの紹介

Keynoteのあとは3つのトラックにわかれてセッションが行われました。

ここではいくつかセッションの内容を紹介します。

Safeguarding Your Applications – Achieving Zero Downtime During Kubernetes Upgrades – Kazuki Uchima & Kakeru Ishii, Google Cloud

発表資料

このセッションではKubernetesを利用したアプリケーションにおいて、安全性を高め、アプリケーションのゼロダウンタイムを実現するための基礎と実践的なプラクティスがテーマととなります。

 

Kubernetes の主要コンポーネントの役割から、アップグレード時の注意点、アップグレード時のアプリケーションのダウンタイムを最小限に抑え、あるいはゼロにするための推奨構成についての解説もありました。

Kubernetes を本格的に運用し始める方、アップグレードに悩み、Kubernetes クラスタのアップグレード時にアプリケーションのダウンタイムを防ぐ方法を学びたい方向けのセッションとなっておりました。

 

セッションの中で、khi(Kubernetes History Inspector) というKubernetesのトラブルシューティングのためのオープンソースのログ可視化ツールについても取り上げていました。

このツールはKubernetesクラスターからキャプチャされたkube-apiserverのaudit logsを可視化するもので、クラスターでのトラブルシューティングに役立つものでした。

 

さらに、Nodeアップグレードにおいて発生するダウンタイムの原因についても取り上げ、そのダウンタイムを最小化するためにPodDisruptionBudget(PDB)やPodのGracefulTerminationを設定し、PodのローリングリリースにおいてPodを安全に停止する方法も話していました。

Access AI Models Anywhere: Scaling AI Traffic With Envoy AI Gateway – Dan Sun, Bloomberg & Takeshi Yoneda, Tetrate.io

このセッションでは Envoy AI Gateway というEnvoyに派生したOSSのツールを紹介し、多様なAIモデルを扱うアプリケーションにおけるAIモデルのルーティング・LLMトークンの使用制御などの機能について解説していました。

Envoyのフィルターなどの強力な機能をベースに、複数のAIモデルプロバイダーへのルーティング方法や、AIモデルがフェイルした場合のフェイルバック、コスト対策のための使用量ベースのレートリミットの設定など、AIモデルを実環境で運用するために必要なさまざまな機能についての紹介がありました。

Envoy AI Gatewayを導入することにより、AIモデルを扱ったサービスで起きうる課題を解決できそうだと感じました。

The Grand Adventure of Production Apps: Build, Break, and Survive! ~ A Kawaii Manga Journey Through – Aoi Takahashi, Independent

発表資料

このセッションでは、かわいらしいイラストを用いて、Kubernetesのアプリケーションがどのように故障し、それに対するトラブルシューティングの方法を視覚的に解説していました。

kubectlでPodなどのリソースの状態確認の方法や、kubectxでコンテキストを切り替えたりkubensによってnamespaceを指定するためのツールなどの紹介がありました。

その他、Serviceの不具合の調査のためにkubectl runでcurlを使えるPodを立ち上げて疎通確認したりなど、開発におけるトラブルシューティングの方法をコミカルにかつわかりやすく解説されていました。

 

Standardizing on Multi-Cluster App Topologies for Platforms With Linkerd – William Rizzo, Mirantis & Erick Bourgeois, Independent

Kubernetesライフサイクル管理のための宣言型ツールであるCluster-API(CAPI)と、強力かつ軽量なサービスメッシュであるLinkerdを連携させ、社内開発プラットフォーム(IDP)のマルチクラスタトポロジを簡素化する方法する方法がテーマとなるセッションです。

大規模でマルチクラスタ・マルチリージョンでアプリケーションを稼働させる上で、セキュリティやトレーサビリティ、スケーリングなどさまざまな問題があり、それらにどう対処するかについての話を主にされていました。

大規模なクラスター管理を容易にするために、Cluster-APISveltosk0rdentlinkerdを用いてインフラ構成やアドオン、ポリシーの管理を一元化する手法についての事例を紹介がありました。

マルチクラスター環境の構築を容易にするためのツール

将来的なマルチクラスターでの大規模サービス開発における事例と課題を知ることができ、今後のサービス運用に活かせそうだと思いました。

 

Project Pavilionについて

https://events.linuxfoundation.org/kubecon-cloudnativecon-japan/features-add-ons/project-engagement/#project-table-directory

CloudNative関連のプロジェクトについて、プロジェクトの担当者とやりとりできるパビリオンも開かれています。

 

PipeCD

ProjectPavilionでは、CNCF SandboxプロジェクトであるPipeCDのブースもあり、PipeCDメンテナによる相談もできたり、デモ動画をみてPipeCDの機能について深く知ることができます!

PipeCDのブース

また、明日第2日目では、PipeCDメンテナの弊社澤田によるライトニングトークセッションもありますので、参加される方はぜひお越しください。

ライトニングトーク: Expanding your GitOps with New Pluggable PipeCD

登壇者:澤田 晋之介 / Developer Productivity室
日時: 6/17(火) 11:37 – 11:42
会場: Level 1 | Pegasus A-B1
URL: https://sched.co/1yFEe

概要: PipeCDは、さまざまなアプリケーション環境に対応するGitOpsベースの継続的デリバリープラットフォームです。本セッションでは、KubeCon Japan 2025に向けてアルファリリース予定の新しいプラグインアーキテクチャを紹介します。開発者はGoでカスタムプラグインを作成でき、バリデーションやDBマイグレーション、Slack通知など、自動化の幅を大きく広げることが可能です。既存のGitOpsワークフローに柔軟性を加えたい方、パイプラインの拡張性を追求したい方に最適な内容です。

 

 

スポンサーブース

CyberAgentグループも今回のイベントにスポンサーとなっており、スポンサーブースを出しています!

ブースでは数に限りがありますが、今回「Cloud Native Technology Map」を冊子を限定頒布しております
全52ページにわたるこの冊子では、25プロダクトのCloud Native技術の利用事例を公開しています。

1日目は多くの参加者の方にブースにきてくださり、サイバーエージェントグループでのCloudNative技術に関して興味を持ってくださる方が多くお越しくださり、プロダクト・技術に関する質問や課題、今後やろうとしているチャレンジについてたくさんお話しさせていただきました!

 

CAブースの様子

2日目もブースがありますので、お越しの方はぜひ遊びにきてください!

 

KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 特集 Blog

  1. KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 現地参加を最大限に活かす!現役エンジニアが注目するポイントと歩き方
  2. KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 1日目参加速報(👈 この記事)
  3. KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 2日目参加速報
  4. Cloud Nativeとサイバーエージェントのこれまでとこれから
  5. 生成AIマーケットの不確実性に立ち向かうためのクラウドネイティブ技術
  6. 若手だけじゃない!ベテラン層だって活躍したい
  7. CyberAgent の若手が KubeCon に参加して学んだこと 〜入社2年目AJA所属〜
  8. Kubernetes SIG Node に Deep Dive する 〜入社1年目CIU所属〜
  9. Kubernetsを活用したインフラ基盤運用の安定化について 〜入社2年目CIU所属編〜
  10. テナント志向で考える、マルチクラスタ・マルチクラウド運用 〜入社1年目ABEMA所属〜
  11. Argo CD x Cluster Inventoryで実現するマルチクラスタ運用の新境地 〜入社2年目 ABEMA 所属〜