先日の記事 KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 第1日目参加速報 に引き続き、1,500人もの参加者が来場するKubeCon + CloudNativeCon Japan 2025の第2日目の記事となります!
6/16の2日目も現地参加しましたのでKeynoteやセッション、サイバーエージェントのブースなどの様子をまとめます!
Keynote
Keynote: Towards Desired State of World — Everyone Benefits from CNCF Ecosystem – Masaki Kimura, Engineer, Hitachi
CNCFのコミュニティ・エコシステムがここ10年で拡大し、プロダクトも100以上にも増えているなか、CNCFプロダクトもそれと同様で、 CNCFのCodeOfConductに沿い、CNCFのエコシステムに必要なものはKEPで議論され、そこで議論された課題を解決するためにプロダクトが生まれていくことについてのお話がありました。
また、CNCFプロジェクトの活動としては、プロダクトのコードにコントリビュートするだけでなく、ドキュメント修正や、今回のようなカンファレンスに参加することも活動に含まれていることを取り上げ、CNCFのコミュニティの更なる拡大について話していました。
セッション
第2日目もセッションが複数トラックで開催されており、CNCFのプロジェクトのメンテナーによるライトニングトークのセッションもありました。
今回もいくつか内容を紹介いたします。
Project Lightning Talk: Expanding your GitOps with New Pluggable PipeCD – Shinnosuke Sawada-Dazai, Maintainer
PipeCDメンテナーである、弊社所属の澤田によるライトニングトークです。

GitOpsスタイルのCI/CDツールであるPipeCDの機能についての説明と、PipeCDのプラグインアーキテクチャについての解説から始まり、特定のプロバイダごとにプラグインを用意し、そのプラグインを組み合わせることでCI/CDパイプラインを構築していくことの説明がありました。

また、今後のPipeCDの開発ロードマップについての話もあり、Plugin-architecture対応がAlpha対応になったとアナウンスがありました! 詳細に関してはPipeCDのリリースノート をご確認ください。
Project Lightning Talk: OTel 2025: The Latest Milestones and What’s Next – Greg Leffler, Contributor
OpenTelemetryの2025年と今後のロードマップについてのライトニングトークです。
OpenTelemetryについての概要から説明し、最近のOpenTelemetryに関するアップデートを紹介があり、最近のOpenTelemetryのアップデートの中でプロファイリングについて取り上げていました。
また今後予定しているEntitiesやCI/CD Pipelineデータの対応についても紹介があり、今後のOpenTelemetryの新機能の概要がつかめました。
Project Lightning Talk: How Kubernetes Observes Containers: The Role of Container Runtime and cAdvisor in Metrics Collection – Ayato Tokubi, Maintainer
このセッションではメトリクス集約におけるcAdvisorとコンテナランタイム(cri-o)の役割について取り上げ、Podとコンテナのリソースメトリクスについての今後の機能改善ロードマップを紹介していました。
リソースメトリクスに関するKEP(Kubernetes Enhancement Proposals)についても取り上げ メトリクスに関する課題とどう改善するかについて取り上げていました。
KEP2371 では、CRI APIとcAdvisorでのメトリクスに関する改善提案で、kubeletから取れるメトリクスでCRI-OとcAdvisorから取れるメトリクスが一部重複したりそれぞれ実装の違いがあったりするため、cAdvisorの依存を減らすことでそれぞれの役割を明確化するという改善が進んでいました。 Kubernetes v1.29ではAlpha版として導入され、FeatureGateで有効にすることで使えます
また、KEP4205では PSI(Pressure Stall Information)という、ワークロードを稼働させる際にリソース不足においてどれだけ可用性の低下が起きたかの定量指標に関する機能の提案があり、Kubernetes v1.33からAlpha版として導入されているとのことでした。
WG-Batch Updates: What’s New and What Is Next? – Michał Woźniak, Google & Yuki Iwai, CyberAgent, Inc
WG-BatchのメンテナによるKubernetesのHPC、AI/MLや大規模データの分析などに関するKubernetesエコシステムの最近のアップデートについて話すセッションで、弊社所属の岩井も登壇しております。
メイントピックとしては、KueueというKubernetesのサブプロジェクトを取り上げ、マルチテナントにおけるワークロードのスケジューリングや、Topology-Aware-SchedulingやマルチクラスターJobディスパッチングなどのリソース管理を実現する新しい機能を重点的に取り上げていました。
Kueueはワークロードレベルのスケジューラで、ワークロードの開始・停止や、稼働するNodeを決めれたり、またリソースクオータの管理などもできることを紹介していました。
特にKueueにおけるTopology-Aware-Schedulingや地域間でのリソース使用量の偏りを減らすためのFair-Sharingの考え方など、マルチリージョン・マルチテナントでのワークロード実行の最適化の機能について知ることができました。
また、最近のKueueのバージョンアップデートにおける機能の紹介や、今後のv1.xに向けたロードマップについても解説していました。
Encore Presentation: No More Disruption: PlayStation Network’s Approaches To Avoid Outages on Kubernetes Platform – Tomoyuki Ehira & Shuhei Nagata, Sony Interactive Entertainment
こちらは第1日目に超満員となったセッションのアンコールとなります。
PlayStation Networkにおける50を超えるKubernetesクラスタでの99.995%の可用性を達成した成功要因についてのセッションです。
ポイントとしては「Doing the Basics Right – 普通のことを普通にやる」と語っていて、起きている課題1つ1つをしっかりと対処していくことが大事とのととでした。
高可用性の実現のために対策に特に秘密なことはなく、起きている課題に1つずつ取り組み、ad-hocで場当たり的な修正はしないという3つのポイントを挙げており、世界規模のサービスでも特に特殊なことはなく、やるべき対策をやっていることを知り、我々の各サービスでも活かせそうな考え方だと思いました。
特に印象的だったのは、運用管理を組織全体で統一している点です。これまで日本と米国で分散していたプラットフォームエンジニアリングチームを統合し、さらに「Unified Kubernetes Service」という共通プラットフォームを軸に、クラスター管理の手法やサービスのデプロイ方法(Helm Chart)も標準化していました。これによりマルチテナンシーでの効率的な運用を実現している点も大変参考になりました。
サービス運用にあたり具体的に対応したこととして、PDBをはじめとしたPodの可用性の対策や、アドオンのアップグレードの作業工数軽減の対策、クリティカルなワークロードを他と分離するようなアーキテクチャの採用や組織のオペレーションの改善など、エンジニアリングから組織まで幅広い対策の事例を挙げており、世界規模のサービス運用の対策の事例が学べました。
Debugging OpenTelemetry: Ensuring Your Observability Signals Are Spot On – Kasper Borg Nissen, Dash0
KubeCon + CloudNativeCon EU/NAのCo-ChairでもあるKasper Borg NissenさんからOpenTelemetryについての基本的な事項や、よく発生する問題についてのトラブルシューティング・TIPSを解説したセッションです。
まずはOpenTelemetryがどういうものなのかを説明した上で、OpenTelemetryを使う上での設定に関するよくあるミスを解説しています。また、JavaやGoなど、OpenTelemetryのライブラリで言語固有の考慮事項について取り上げ、デモアプリを通じてトラブルシューティングの一連の流れを実演していました。
OpenTelemetryについて初学者や、これから実サービスに導入する方にとってつまづきがちなポイントがわかりやすく説明されていて、大変学びになりました!
サイバーエージェントのブースの様子
1日目に引き続き、本日もたくさんの方にサイバーエージェントのブースにお越しいただきました!2日間で約400名ほどの方にブースにお越しいただきました!
「Cloud Native Technology Map」もお渡しし、大変多くの方が弊社のプロダクト、システムについて興味を持ってくださりました!
KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 2日間の感想
2日間初めてKubeCon+CloudNativeConに参加してみて、非常に多くの企業・参加者来場しており、セッションを聞くだけでなく、ブースでプロダクトや他社さんの事例も聞くことができ、また他の参加者の方と交流ができました!
CloudNative関連技術への関心の高まり非常に感じられ、たくさんの事例を学ぶことができ、個人としてもサイバーエージェントグループとしても今回のカンファレンスで学んだ知見を活かしたいと思います!
KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 特集 Blog
- KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 現地参加を最大限に活かす!現役エンジニアが注目するポイントと歩き方
- KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 1日目参加速報
- KubeCon + CloudNativeCon Japan 2025 2日目参加速報(👈 この記事)
- Cloud Nativeとサイバーエージェントのこれまでとこれから
- 生成AIマーケットの不確実性に立ち向かうためのクラウドネイティブ技術
- 若手だけじゃない!ベテラン層だって活躍したい
- CyberAgent の若手が KubeCon に参加して学んだこと 〜入社2年目AJA所属〜
- Kubernetes SIG Node に Deep Dive する 〜入社1年目CIU所属〜
- Kubernetsを活用したインフラ基盤運用の安定化について 〜入社2年目CIU所属編〜
- テナント志向で考える、マルチクラスタ・マルチクラウド運用 〜入社1年目ABEMA所属〜
- Argo CD x Cluster Inventoryで実現するマルチクラスタ運用の新境地 〜入社2年目 ABEMA 所属〜