こんにちは、アドテクスタジオ 業務推進室の伊藤 淳貴(@wildtiger0713)です。

 

前回、11月末に開催してご好評を頂いた「VP of Engineering meetup by CA」の第2回を1/29(月)に開催しました。

 

VP of Engineering Meetup by CA #2
https://cyberagent.connpass.com/event/76274/

 

今回もVP of Engineering = エンジニア組織のマネージメント をテーマとし、チームマネージメントやアジャイル、スクラムといった開発手法の話よりも更に一歩俯瞰した視点からの組織作りにおける課題やノウハウ、失敗談などを、CAグループの各社で実際にエンジニア組織のマネージメントを担うキーマンたちに話してもらい、会社や組織を跨いでの情報交換の場となることを期待して開催しました。(第1回のレポート記事はコチラ

 

会場の様子

 

 

VP of Engineeringとは

さて、VP of Engineeringという言葉を聞いて、みなさんはどのような役割を思い描くでしょうか?各社において細かな違いはあるようですが、我々は概ね組織において以下のような役割を担う最高責任者だと考えています。

 

VPoE

 

CTOが組織やサービスに最適な技術戦略、技術方針を描くのに特化しているのに対して、VP of Engineeringには採用、育成、評価をはじめ、エンジニア組織全体が最大のパフォーマンスを発揮するために必要なあらゆる役割が包括して求められるかと思います。

また今回、参加者の皆さんに事前に取ったアンケート結果から、VP of Engineeringについて知りたいこと、気になっていることをお聞きしたところ以下のような声があがっていました。

 

VP of Engineeringについて気になること

  • VPoEが持つべき責務の範囲。組織としてVPoEという役職を作ったときの良かった点、悪かった点
  • エンジニアの成長できる環境づくり
  • 文化の形成・浸透・醸成
  • 採用、組織の技術力向上
  • 長期的な動機づけを考えた時の各種施策と人事評価との関係
  • チームビルディングコミュニケーションの向上、強みを活かすチーム運営
  • ビジネスサイドとエンジニア組織を如何に健全にするか
  • エンジニア組織とその他の組織の共存について
  • 10人以下のスタートアップでの組織づくり。 そこからGrowthフェーズに移行する組織づくり
  • 組織の向かうべき方向性の立案とメンバへの意識付けをどのように行うか
  • VPoEとして、テックリーダーやプロダクトマネージャを目指す人に対する向き合い方、支援のしかた
  • エンジニアリングマネージャーという役割について、どうすれば自信を持って臨めるのか
  • VPoEを日本企業で上手に運用出来ている会社は何処か。サイバーエージェントは何処の会社をお手本にしているか
  • 既存サービス運用、拡大と新規サービス開発のバランス

 

こうして見ると自分たちの感じる課題と重なる部分も多く、恐らくどこの企業、組織においても似たような悩みや課題を抱えて試行錯誤しているのだろうなということが伺えました。皆さんの課題感とマッチするものはありましたか?

 

今回の3名の登壇者のセッションの中にも、その辺りのテーマに触れている部分も多かったかと思います。

 

『組織フェーズにおけるリーダーシップの変革』

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(株式会社マッチングエージェント エンジニアリングマネージャー 河野 智則)

自身が開発を担当している「タップル誕生」において、書籍「ELASTIC LEADERSHIP」にある「サバイバルフェーズ」「学習フェーズ」「自己組織化フェーズ」の3つの組織フェーズをまさにこの1年間で駆け抜けてきた経験を踏まえ、それぞれのフェーズで注力したリーダーシップの取りかたとアンチパターンを紹介されていました。学習フェーズにおけるストレッチゾーンに導く目標設定やメンバーの目標を全員で共有しあう「目標設定ぐるぐる共有会」、自己組織化フェーズでの権限委譲など、組織のフェーズを意識した柔軟性のある舵取りの大切さを話していました。冒頭のアイスブレイク「今日持って帰りたいテーマを隣の人と話す」も斬新でした(笑)

 

 

『チームビルディングの技術』

小越 崇広

(株式会社AJA プロダクト担当役員 小越 崇広)

非エンジニアながらもこれまでに数多くのエンジニア組織を立ち上げてマネージメントしてきた経験から、チームビルディングにおいて大切なことを独自の視点で分析されていました。チームビルディングは採用から始まって退職者を送り出すところまでが含まれるという前提に立ち、エントリーマネージメント、コンディショニング、イグジットマネージメントの3点についてポイントとなる考え方を話されていました。チームビルドの目的を「全メンバーに目標に向けて走りきってもらうこと」とし、必ずしも全員に画一の期待をする必要はないこと、その人その人にあった役割を任せること、チームに悪影響を与えるメンバーへの対処、チームを自走させる為のポイント、などなどを話されていました。退職者への向き合い方がチームに与える影響の話などエンジニアリングマネージメントの座学などでは通常聞けないような視点の話が多く、とても興味深かったです。

 

 

『変革、組織づくりに責任者がまずやるべきこと』

齋藤 匠

(株式会社シーエー・モバイル 技術担当取締役 齋藤 匠)

エンジニア組織の立て直しをミッションに現シーエー・モバイルに加入した時に実際に行ったアクションとそれに基く考えを構想期と立ち上げ期、それぞれについて話されていました。組織に変化を浸透させていくための姿勢、やりたいことは一貫して何度も何度も口に出して伝えることの大切さ、卒業生や社内エンジニアの動向にも常にアンテナを張って関係性を維持し、ブログなどのアウトプットを通じて社内にもメッセージを伝えていくなど、どのアクションにも圧倒的な行動力と信念を感じるセッションでした。「人間レッドマイン」などキャッチーなワードやキャラクターを用いた浸透のさせかたや「少年ジャンプはマネージメントの教科書」の言葉も印象的でした。

 

 

参加者の所属組織での役割

 

円グラフ

尚、今回の参加者に所属組織での現在の役割をヒアリングしたところ上の円グラフのような比率でした。

実際にVP of EngineeringやCTOなどを担っている層だけでなく、エンジニアリングマネージャーや開発チームのメンバー層の参加が非常に多いことからも、自分の所属するエンジニア組織のマネージメントに対して何かしらの課題感や思いを持っているエンジニアがとても多いことが読み取れました。

 

 

11月、1月と2回に渡って開催してきましたが、まだ語りきれていないテーマも沢山ありますので、エンジニア組織のマネージメントについて皆が議論できる場として、これからも定期的に開催していければと考えています。

 

 

発表スライド