どーもお世話になっております。AID(Ameba Innovation Designers)所属の武本(通称ジーザス)です。

今回は、巷でも耳にすることが多いDesign Sprintを無料ホームページ作成サービス『Ameba Ownd』でフル導入してみた話です。

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バナー

 

『Ameba Ownd』とは?
スマホからでも無料で簡単にホームページが作成できる、ホームページビルダーです。
70万ユーザー、50万サイト開設を突破!
[App Store]
[Google Play]

Design Sprintとは??

・Google Venturesがスタートアップ支援のために用いているプログラム
・デザインプロセスを速くし、価値あるインサイトを提供する方法論
・5日間で新規アイデアをプロトタイプとして具体化し、インタビューを通じて検証を行う


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デザイン思考をパッケージ化したフレームワーク
早い段階でプロトタイプを作って検証を行うことで、サービスの価値を早く確認することができる。そのためデザインの段階で正解により近づくことができる。

要は実装する前にプロトタイプを作って検証して壊してを繰り返す陶芸スタイル。
1人陶芸スタイルも有効です。
https://www.mdn.co.jp/di/contents/4381/59492/

Ameba Owndで5日間フル導入してみた

SNS

 

導入の経緯

「片手でつくれる簡単ホームページ」というコンセプトで、『Ameba Ownd』アプリをシンプルにリニューアルするタイミングに、チーム全員の合意のもとDesign Sprintを導入することに。

元々クリエイターとエンジニアが開発主体のチームであるため、
「開発ドリブンで正解を出そう、自分らのプロダクトを全員で考えよう」
という空気感になった。

進行の参考にした本はこちら

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SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法

 


 

DAY1.UNDERSTAND (理解する)

1.中長期目標を決める

Ameba Owndでは、もともとチームで「スマホで簡単にホームページを作るならOwnd」という中長期VISIONを立てていたので、その再確認を行った。

2.スプリントクエスチョンを決める

この目標を達成するにはどういう課題解決が必要か?を深堀りして分解。

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結果、今回のデザインスプリントではこの2つの課題を解決することに決定。

【Design Sprintで解決を目指す課題2点】
①サイトとブログの区別がわかりやすいか?
②タブの構成と中身に違和感がないか?

3.ストーリーマップをつくる

まずプロダクト全体を理解するため、ストーリーマップを作る。
Owndでは以前、チームで作成したペルソナ・カスターマージャーニーマップがあったため、こちらを合わせて利用。


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4.専門家に聞く

現状のプロダクトについて、経営・UXなど各分野の専門家にそれぞれの視点からの意見を聞いてメモを取る。

そしてメモを分類分けして整理し、課題の解決案のヒントに利用。

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Day1感想

ファシリテーターは一番忙しいと言われる1日。

課題が明確な場合、この日は認識合わせのための共有のみでもOK。フルでやると現状のプロダクトの再認識ができるので吉。

 

DAY2.SKETCH (発散する)

1.ライトニングデモ

他のサービスやプロダクトを各自調査し、今回の課題解決に活かせそうなアイデアを1人1~3個ほどプレゼン。いろいろな視点からの発見がある。

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2.アイデアスケッチ

ライトニングデモでの発表や専門家の意見、ペルソナ・カスターマジャーニーからヒントを得て、各自でアイデアをスケッチする。
頭の整理、アイデアの走り書き程度なイメージ。

3.CRAZY 8

アイデアスケッチから一番良さそうなアイデアを元に、さらに8パターンのアイデアを絞り出す。

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1アイデア1分で出していく。
6個目くらいからかなりきつくなる。
枯渇からの発散。

4.ソリューションスケッチ

クレイジー8で絞り出したアイデアを選んで具体的なUIスケッチにする。
その際、文言などもダミーではなくリアルなものにする。実際に実現可能なのかも考慮し現実的なものに仕上げる。

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Day2感想

5日間の中でこの日が1番楽しめる。デザインも同じだけど、自由にアイデアを考えて発散するフェーズが1番楽しいのでは。デザイナーもエンジニアもビジネスも職種は関係無い。アイデアは平等だ。普段PCにむかって仕事をしているメンバーが全員ペンを持って紙にアイデアを描く姿はとても新鮮。

 

DAY3.DECIDE(決定する)

1.美術館

みんなのソリューションスケッチを美術館のように壁に貼って俯瞰しながら、アイデアを吟味。

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2.ヒートマップ

いいと思うアイデアに各自がシールを貼っていく。何票でもOK。スケッチ全体でもいいし、特定の部分でもよい。ここではプレゼンは行わず、インスピレーションで投票。人気のアイデアが一目瞭然になる。

投票の多いアイデアから順に、記入者に説明を聞いていく。

3.模擬投票タイム!

みんなの投票と説明を聞いて、最終1番よいと思うアイデアに1票だけ投票。良いアイデアが複数あっても1票だけなのでみんな苦渋の決断を迫られる。

4.スーパー投票タイム!

みんなの投票と意見を参考に、最終スーパー決定者がプロトタイプをつくる案を決定。
貼るときはゴチバトルのお会計シーンのような空気感。スーパー決定者は3票貼ることができる。

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5.ストーリーボードを作る

決定したアイデアを基に、作成するプロトタイプのストーリーボードをその場で作っていく。ライブワイヤーのような作業。

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Day3感想

このフェーズがDesign Sprintの中で一番しんどくて消耗する1日。決定者は短い時間で判断しなければならない。同時に、「ちゃんと成り立つか?」「プロダクトとして正しいか?」など、実現性も加味しての決断なので頭を使うし、気も使うしかなり消耗する。最後のストーリーボード作成がだめ押しの大変さ。舐めてるとやられます。

 

DAY4.PROTOTYPE (プロトタイプを作る)

1.プロトタイピングツールを選ぶ

OwndではProttを選択。同時に共同編集ができるので便利。

2.役割を決める

チームメンバーの中から、それぞれ下記の役割の担当を決める。

———
メイカー
作成された画面をもとにプロトタイプを作成する人。
スティッチャー
全体構成する人。全体の進行管理も担う。
コレクター
プロトタイプ用の画面を作成する人。
ネットから画像やアイコンを集めたり、既存のパーツを持ってくる。
ライター
プロトタイプの言い回しなどライティングを行う。
インタビュアー
当日のインタビューをやる人。インタビューシナリオを準備する。
———

役割が決まったら、DAY3で作ったストーリーボードを見ながらそれぞれ作業開始。

prott

作り終わったらみんなでレビューを実施。どこまで仕上げるかもここで判断!

修正が終わったらProttの最終確認をして、ユーザーインタビューのシナリオも確認。

Day4感想

みんなで作ってできるもんなのかな~と思ったけど、意外とできちゃうしクオリティも良かった。できあがるのも割と早い。みんなで作るから一体感も生まれる。

 

DAY5.USER TEST (検証する)

プロトタイプのユーザーテスト

プロトタイプを実際にユーザーに触ってもらい検証。

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ユーザーごとに気づいたことをメモし、最後に傾向をまとめてどうするか判断。4人~5人テストすると傾向が見えてくる。ユーザーテストではいい部分よりも悪い部分をあぶり出す感じが多かった。

そして成功イメージが持てなかったらDesign Sprintをもう一周実施。

もちろんOwndも2周目やりました。

だいたい1回で成功することはなく2回以上は必要。作って壊しての回数が多ければ多いほど高品質な製品に近づけるということですね。

Day5感想

インタビュアーとテストシナリオはかなり重要。これがダメだとユーザーテストの意味がなくなってしまう危険性もある。短時間に多くの情報をキャッチアップしなければならないので脳の消耗がハンパない。テスターは社内の方にお願いしました。いつもご協力ありがとうございます。

Design Sprintを導入した結果

▼Before

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▼After

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アカウント情報がドロワーにまとまり、タブの項目も減り3タブでスッキリ。ホームページ作成アプリとしてシンプルになってやることが明確に。
OwndではDesign Sprintを導入して1年でMAU150%の成長を遂げました!きれいな右肩上がり。デザインスプリントのおかげです!

Design Sprintを明日から導入する人たちへ

準備編

  • 課題を選ぶ
  • 決定者を決める
  • ファシリテーターを決める
  • ホワイトボードが2つ以上ある部屋を確保する

持ち物

  • とにかく大量のポストイット
  • 黒いペン
  • 赤いペン
  • コピー用紙
  • 投票用のシール
  • スーパー投票用シール
  • タイマー
  • お菓子と飲み物
  • 集中できるサウンド
  • 糖分

こんなプロジェクトにオススメ

  • デザイン思考を体感したい
  • デザインプロセスにチームを巻き込みたい
  • デザインの手戻りが多い
  • アイデアをいろんな視点から集めたい
  • メンバーに自走してほしい
  • 仕様や方向性がなかなか決まらない

Design Sprintのここが良い!

  • 違う視点からアイデアが続々
  • チーム全員が自分事化できる
  • 仕様を把握してから進むのでチームが自走できる
  • プロトタイプの段階である程度の仮説を検証できる
  • 仲が良くなる、チームビルドができる

ここがしんどい!

  • 1週間フルでやると工数が取られてしまう
  • 全員でやるので開発がストップしてしまう
  • mtgルームを抑えるのがタイヘン
  • 白熱しすぎてケンカになりそうになる(意見を交換するのはよいこと)

こうすると良いかも

  • フルで1週間取らなくても必要に応じてコンパクトverでも十分力を発揮できる
  • 例えばこの機能のこの部分だけを決めるみたいな場合は1日で終わる
  • DAY3までは全員でやって、プロトタイプ作成はデザイナー、エンジニアがまきとる
  • さまざまな場面でこの手法が活きてくる、応用できる
  • アイデア出しや、他のデザインなどを決める場合でも有効

みなさまへ

これぞチーム全員のアイデアの成果。
みんなで同じ方向を向いて前に進むのが大事。スポーツもサービス開発も
デザインプロセスで苦労している、短期間で問題を解決したいプロジェクトはぜひやってみてください。
決定者を体験すると瞬時の判断が求められるので決断の重さと苦しさも経験できます。
慣れてくるとメンバー全員が同じ思考になるので、プロジェクト進行もスムーズ!

そこの君、机上の空論で議論してるより早いよ!

【*注】Design Sprintの効果には個人差があります。