はじめまして。Ameba占い館SATORIでサーバーサイドエンジニアをしている酒井( @edaaaaank )です。
今期、ギルド制度の「リーダーシップ/マネジメント」というテーマで活動をしてきました。
ギルド制度とはspotifyのguild制度を参考に今期よりスタートした取り組みです。

ギルド制度とは

その中で、リーダーはプロジェクト進行やMTGにおいてファシリテーションスキルが求められることが多く、もっとスキルアップしたいという話が出たことから、外部講師に高柳 謙さん(以降、がおりゅうさん)をお迎えして全3回のファシリテーション研修を実施しましたので、その内容についてレポートさせていただきます。

事前準備


研修は、以下のフローでがおりゅうさんと一緒に内容を詰めていきました。

①事前にこちらの課題感についてすり合わせ、研修内容を決める
②研修の実施
③参加者アンケート等から、課題の整理をした後、次回の研修内容を決める

このプロセスは「対話型組織開発」という書籍の中でコーチングのテクニックとして紹介されています。

「対話型組織開発」より参照した図
「対話型組織開発」より参照

予め決められたフレームワークの研修ではなく、こちらのニーズや社内文化に合わせて研修を作り上げていく手法は実践に移しやすく効果的だと思いました。

研修第1回「傾聴」


第1回目はファシリテーターの必要スキルである傾聴スキルを伸ばすための研修を実施しました。
3人一組となり、それぞれ「話し手」「聴き手」「観察者」に分かれて、与えられたテーマについて5分間対話をします。
文字通りですが、この時「観察者」は対話には入りません。
5分間の対話が終わると「聴き手」に対して「話し手」と「観察者」からフィードバックをします。
「話し手」からは自分が話を聞いてもらっている時にどんな気持ちになったのかという視点で、
「観察者」からは二人が話をしている様子を見て、良かった点や気になった点を客観的な視点で伝えます。
また「聴き手」は「話し手」と「観察者」からFBをもらうだけではなく、話を聞いている時の自身の状態・心境について振り返りをします。
5分間対話してフィードバックする、のセットを役割を順番に回しながら3セット行いました。

傾聴のワーク

傾聴フィードバック用紙
▲実際のフィードバック用紙

普段「聴き手」の自分が相手にどのような印象を与えているか、考えることも指摘してもらうこともないので、自分の「聴く力」を見直す良いきっかけとなりました。

研修第2回「ファシリテーション・グラフィック」


第2回目はファシリテーション・グラフィックの研修を実施しました。

前回同様に「話し手」「聴き手」「観察者」に分かれて対話のワークを行うのですが、今回は、ファシリテーターの役割を担う人を用意し、下記サイクルを入れながら進めることを意識します。

①「話し手」が話す
②ファシリテーターは様子を見て、聴く
③ファシリテーターは話してもらった内容を考える
④ファシリテーターは内容をどう描くか考える
⑤ファシリテーターが内容を描き出す
⑥描かれたものを「話し手」が見る
⑦「話し手」は描かれた内容から次話すべきことを考える。
⑧①に戻る

このサイクルが入ることによって、参加している全員が共通の認識を持って会議を進めることができます。

まずは「聞き手」がファシリテーターの役割になってやってみました。
実際やってみると、聴きながら内容を書き出すことに慣れておらず、どちらにも集中できず「?」の状態で終わってしまい、「話し手」「観察者」からも書いている内容が見えなかった、話しづらそうだったというFBをもらいました。

「聴き手」がファシリテーターの役割をしている様子
▲描かなきゃと相づちを打たなきゃに意識が集中してしまい、「傾聴」ではなくなってしまいました。

次は「観察者」がファシリテーターの役割となってやってみました。
「観察者」の場合は「聴き手」の時よりも描くことに集中できるので、「聴き手」として描いている時よりも描きやすかったです。また、「話し手」だけでなく「聴き手」のリアクションや話も客観的に観察することができるので、その場の会話を整理しやすいことを実感しました。
それでも普段から描くことになれていない人は、話している内容を整理して描き出すことに苦戦したという声もありました。ここは日々描くことを意識して実践することで身につけられるスキルだと思います。

「観察者」がファシリテーターの役割をしている様子
▲観察者がファシリテーションを行っているので、話し合いに集中できているように見えます。

研修第3回「会議のファシリテーション」


第3回目では会議におけるファシリテーションの研修を実施しました。
普段私達がやっている会議では「暗黙知」が生まれがちで、その「暗黙知」を「形式知」に変わるようにファシリテーターが作用していくことが大事だそうです。
暗黙知とは、第2回でやったような話している内容についてのお互いの「理解」という部分であったり、会議に参加している人達への期待や状態など、暗黙的に認識が取れていると思ってしまうものです。
そういった暗黙知を形式知にするためのテクニックを実際にがおりゅうさんのファシリテーションを観察し、学びました。

がおりゅうさんによるファシリテーションのお手本
▲普段会議を観察することは中々ないのですが、第三者視点で見ていると発見が多いです!

がおりゅうさんのテクニックで使っていきたいと一番思ったのは、参加者に「この人は会議にどのような姿勢で臨んでくれそうですか」という質問を一人ひとりしていったことです。
自分が参加者からどのような期待をされてこの場に呼ばれているのかということを理解していることで、会議に向き合いやすくなります。
実際にがおりゅうさんとの研修打ち合わせの際には「現場の意見を聞かせてほしい」という期待を伝えてもらってから臨んだので、自分の意見を出しやすいと感じました。
また、がおりゅうさんによるファシリテーション・グラフィックはわかりやすく、「今自分がどの部分について話しているかがわかりやすい」「何を話していないかということも明確になる」という意見も挙がりました。
これも「暗黙知」を「形式知」に変えた結果だと思います。

がおりゅうさんのテクニックを観察した後は、会議を構成する5つステージごとに起こすべきアクションをチームで考え実践しました。

会議を構成する5つのステージとは

各チームでファシリテーションを実施している中がおりゅうさんからアドバイスをもらう様子
▲各チームでファシリテーションに色があり、都度がおりゅうさんがチームごとにアドバイスをしてくれました。

普段から会議をしているので、何か決めるというゴールに各々向かおうとすることはできるのですが、常に場を観察し、話している人達の様子から次のアクションを決めていくことは中々難しく、もっと回を重ねて身につけていきたいと思いました。

研修を終えて


私の中でファシリテーターは「決めなければいけないことを時間内に終わらせるために進行をする人」と定義していましたが、研修を通して「参加している人達の役割を上手く引き出し現状を整理しながら目標へ向かうサポートをする人」に変わりました。
そう考えるとファシリテーションはチームビルディングに必要な大切なスキルであることがよくわかります。
今回の研修はファシリテーションを改めて考え直す良い機会となったので、これを機に自分のチームのMTGや1on1を見直し、そしてファシリテーションを積極的に実践していこうと思います。その過程で、チームメンバーにファシリテーターの役割、重要性を伝えていき、最終的にはチーム全体のファシリテーションスキル向上につなげていきたいです。

この記事を読んでくださっている皆様も、改めて普段のMTGや1on1のファシリテーションを振り返ってみてください。
ファシリテーションの質が上がれば、今よりもっとチームの働き方がよくなるはずです。
この記事がファシリテーションの重要性に気がつくきっかけとなれれば幸いです。

最後に…


今回研修を引き受けてくださったがおりゅうさんありがとうございました!
がおりゅうさんの研修を受けてみたい方は下記からご連絡ください。
■開催中ワークショップ
https://faciliview.connpass.com/
■直接がおりゅうさんへ相談をしたい方
EZQ03602@nifty.com