アドテク×オークション「オレシカナイトVol.11」レポート

株式会社AbemaTV、新卒エンジニアの大平です。
今回は9/25に開催された「アドテク×オークション-オレシカナイトVol.11」の様子をお届けします。

オレシカナイトとは


オレシカナイトは、「AbemaTV」や「Ameba」をはじめとしたサイバーエージェントグループが運営するメディアにおいて、パブリッシャー独自の視点でアドテクノロジー開発を行うエンジニアの横断組織 「CyberAgent Publisher adTechnology Association (PTA)」が主催する技術者向け勉強会です。

今回のテーマは”アドテク✕オークション”。「AbemaTV」や「Ameba DSP」、「AJA SSP」などの広告配信システムで実際に使われているオークションロジックの話を中心に発表が行われました。

AJA SSP オークションシステム刷新 (株式会社AJA SSPチーム 山口 直人)


まずは、株式会社AJA SSPチームの山口からオークションシステム刷新に関する発表が行われました。

従来のAJAのSSPではウォーターフォール型のオークション(※)が採用されていました。今回の刷新では機会損失やレイテンシーの悪化を防ぐために「Flexible Auction」という仕組みを新たに取り入れた最適化が行われました。「Flexible Auction」は、従来と同じウォータフォール型のオークションと、新しく採用されたデマンドを一斉に処理するシステムとを組み合わせたシステムで、名前にもあるとおり柔軟な配信を可能とします。

新しいシステムを実現するにあたり技術的な課題がいくつもあったようで、NATが溢れてしまう問題やログの集計が間に合わなくなってしまったためにAWS Glueを採用した話を当日聞くことができました。AWS Glueとは、データの抽出や変換、ロード を行うETLと呼ばれるサービスです。データを取得した後の負荷のかかる一連の処理を任せることができるので、独自のサービスを構築することなくログ集計の問題を解決することができたそうです。

このシステムの採用によって売上が15%改善した話や、技術で売上をつくっていくことの楽しさなど、プロダクトを通じた事業への貢献を考えた取り組みを感じられた発表でした。

(※)メディア運営者があらかじめ設定した優先順位に従って上位のプラットフォームから順に広告リクエストを送り、条件を満たす案件がなければ次のプラットフォームにリクエストを行う方式

発表スライドはこちらをご覧ください。

Ameba DSPのOpen-Auctionにおける入札戦略

(株式会社サイバーエージェント アメーバ事業本部 林 欣朋)


続いて、アメーバ事業本部の林から「Ameba DSP」のOpen-Auctionにおける入札戦略の発表が行われました。先程はメディアの収益最大化を支援するSSPの話でしたが、こちらは広告主側の最適化を行うDSPに関する話です。

Ameba DSPは複数のオークションの形式に対応しており、その形式ごとに最適な戦略で入札価格を決めています。DSPの場合、入札が高すぎると損失が発生し、逆に低すぎるとオークションに勝てない事象が発生してしまうために、そこをうまく調節するために戦略を立てる必要があります。オークションで入札を行った結果得られる利益や損失は、そのオークションの形式によって変わってきます。
今回の発表にあった、ファーストプライスオークションとセカンドプライスオークションの2つのオークション形式を例に挙げると、入札に勝つために必要な価格は基本的に同じですが、落札後に支払う金額において、自分が入札した金額か、2番目の入札者が入札した金額かという差が生じます。そのため、最終的に入札を行うときの利益の期待値はこのようなケースなどを考慮して決定する必要があります。当日の発表では、数式なども交えて事例を紹介しました。

発表後に設けた質疑応答では、予測モデルをつくるデータチームとサーバーサイドの開発を行うチームの連携に関する質問もあがるなど、DSPの裏側でなにが起きているかを知るいい機会になりました。

発表スライドはこちらをご覧ください。

AbemaTVの広告オークション (株式会社AbemaTV 広告本部 土井 正宏)


最後は、株式会社AbemaTV 広告本部の土井からAbemaTVの広告オークションについて発表が行われました。

他のインターネットメディアと違って「AbemaTV」では、不特定多数のユーザーが同じタイミングで同じ動画や広告を見るという特性があります。そのため、それらの特性を持った動画が安定して配信されるようCDNを使って動画配信を行っています。また広告配信の仕組みについても、そのシステムの上で安定した配信を行うために、ストリームの作り方や広告挿入のタイミングを工夫しています。

当日の発表では、「AbemaTV」では、テレビ品質の動画を配信するために、広告と番組の相性、広告と広告の相性なども考慮して広告を配信する枠を決定しているという話や、広告のオークションシステムもこういった特殊な環境下で行うことになるため、バッチの実行タイミングやその実行中に行われる広告のスコアリングロジックなど、様々な独自の取り組みについて紹介しました。

発表の後半では、広告の並び順がユーザーに与える印象を考慮した配信の工夫や、番組ごとに広告の配信量にムラがありそれを考慮した配信の調整をする話など少し踏み込んだ話を聞くことができました。メディアと密接に結びついた広告配信ならではの工夫を感じられた発表でした。

発表スライドはこちらをご覧ください。

オレシカナイトvol.12


そんなオレシカナイトの12回目が2019年12月13日(金)に開催されます!!

次回は「アドテク ビアバッシュ&LT大会~オレシカ忘年会2019~

今年最大の成功or失敗をテーマに開催します!

どんな話が聞けるか楽しみですね!

以下のURLからぜひエントリーください!

https://cyberagent.connpass.com/event/156654/

▼PTA
Twitter:https://twitter.com/PTA_CyberAgent

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株式会社AbemaTV 広告本部 開発局 エンジニア
大平 哲也