こんにちは、クリエイティブマネージャーの井上です。
先日、Designship 2019のイベントでスポンサーブースとして出展させていただきました。
“デザイナーキャリアの罠診断” と題して、たくさんの来場者さんのキャリアの罠診断をYes/Noチャートを使って診断するというものです。
(詳しい出展内容は、【Designship2019】[デザイナー]キャリアの罠 診断カード大公開!を御覧ください。)
おかげさまで、大変多くの反響をいただきました。ありがとうございます!
中でも「この診断チャートは、どうやってつくったのですか?」
という質問を多くいただきましたので、今回はキャリアの罠診断チャートがどのようにつくられたのか、その背景についてご紹介します。
<目次> ・「罠」というテーマがうまれた背景 ・世代ごとの悩み ∟1年目〜2年目 ∟3年目〜6年目 ∟7年目〜 ・1on1から得たチャートづくりのヒント ・罠の抜け出しかた ∟WANTってなに?
「罠」というテーマがうまれた背景
デザイナーのマネジメントをしている中で、毎週5〜6名のデザイナーと1on1を続けています。
継続中の1on1や、過去のシートを数えると50人分以上となりました。
たくさんのデザイナーの成長過程やキャリアへの悩みを振り返ると、
「なかなか、メインのデザインがさせてもらえません…」など
本人的には深刻な悩みですが、周りからみていると課題点が明確なケースも多くみられます。
例えば、こんな罠にハマっているかもしれません④信頼残高貯まってる?の罠
このように、本人は気づいていない “見えない罠” を可視化するツールがつくられることで、新しい“気付き”を得れるのではないか?
と思ったことがきっかけです。
とは言え、
Designshipでは、来場のみなさんに少しだけ「クスッ」笑って楽しんでもらえることを目指していました。
当日、思わぬ罠カードを引いてしまい青ざめてしまった方がいましたら申し訳ありません…
実はポジティブなマインドで解答を進めていくと、⑨近くに罠が見つからない?の罠(1番ハッピーエンド)へ導かれる確率が高いように少しだけ工夫をしていました。
ポジティブなマインドのまま、カードの写真をSNSなどにシェアしていただきたい!というような意図が正直たっだりします…(笑)
という事で、制作の裏側のお話です。
各世代ごとの悩み
さて、チャートの作り方です。
まずは1on1でよくある相談をまとめ、罠を分類してまとめました。
1年目〜2年目
スケジュール管理やヒアリング方法など、仕事を進めるうえでの基礎スキルの悩みが多い世代です。
僕もデザイナーになった一年目を振り返ってみると、ミーティングの場ではビジュアルイメージや締め切り日のことばかり気にしていました。
そのため、本質的な課題を相手から引き出せず、いつまでも直し続ける罠にハマっていました。②的が見えていないかも?の罠だったと思います…
(デザイナー新卒育成についてはぜひこちらの記事をご覧ください。新卒デザイナーを育てるために本当にやるべきこと「10ヶ条」)
3年目〜6年目
自分の技能で広い領域をカバーできるようになるころです。
人に任せるよりも、自分で手を動かしていたほうが早いため、あらゆるタスクに手を伸ばしてしまいます。その結果、なんでも屋さんのような状態になっているかもしれません。⑦器用貧乏になってない?の罠
また、人との関わりが少なくなったことで [⑪人を通して成長できてる?の罠]に陥る危険性もあります…
7年目〜
この年次で多くみられる罠の傾向は、⑫コンフォートしちゃってない?の罠です。
コンフォートとは、居心地の良い場所に居続けた結果、成長が止まってしまうという意味で使われます。
つまり、過去の実績や評価に満足してしまい落ち着しまう状態です。
「あれ、最近コンフォートしてます??」
弊社のシニアデザイナーの間で一時期のバズワードとなりました …(笑)
その他の罠については こちらの記事を御覧ください!【Designship2019】[デザイナー]キャリアの罠 診断カード大公開!
①時間の見積もりできてる?の罠
②的が見えていないかも?の罠
③聞いてるだけになってない?の罠
④信頼残高貯まってる?の罠
⑤デザイナーになりきれてる?の罠
⑥いつものハードル慣れちゃってない?の罠
⑦器用貧乏になってない?の罠
⑧自分迷子になってない?の罠
⑨近くに罠が見つからない?の罠
⑩自分を知らずに指導してるかも?の罠
⑪人を通して成長できてる?の罠
⑫コンフォートしちゃってない?の罠
⑬見てもらえないと不安?の罠
⑭Wantが不足しちゃってない?の罠
⑮周りを活かしきれてないかも?の罠
⑯環境ごとデザインしてる?の罠
1on1から得たチャートづくりのヒント
罠診断チャートは、性格診断のように大まかな質問から、少しづつタイプ別へと絞り込むようなフローではありません。
それぞれの解答に含まれるエッセンスを踏襲しながら結果へと進みます。そのため、職歴やその時々の経験によっては結果が変わる可能性があります。
つまり1on1で行うコーチングのように、質問の解答に合わせて、更に思考を深める質問をする仕組みでフローを考えました。
1on1って…
こんなこと無いでしょうか? 頭に浮かんだ疑問について、他人と話している間に、なんとなく答えが見つかり、自己解決してしまうこと…
人は自分で話した内容を、自分で聞くことによって 新しい気付き得るということです。(コーチング用語ではオートクラインと呼ばれています。)
1on1でも日頃の業務で起きた体験や、出来事について、振り返りながら話す作業を行います。コーチングをする側も、思考を深めるような質問を行います。
このような手法を、チャートにも取り入れフローを構成しています。
罠の抜け出しかた
スポンサースピーカーとしても登壇させていただき、罠から抜け出す方法についてもお話させていただきました。
デザイナーとしてのキャリアに漠然とした不安がある。。
最近なかかな仕事へのモチベーションがわかない。。
など、「もしかしたら、いま罠にハマっているかも?」と感じた時には、その場しのぎの解決に留めず、一呼吸おいてから “WANT” について考えてみてください。
WANTってなに?
駆け出しの一年目の頃は、目の前の山積みの “やるべき” ことに追われて時間が過ぎてしまうことが多いかもしれません。
“やるべき” 事がなかなかうまく行かず、それに囚われ続けてしまうと 罠にハマってしまう危険性が高まります。。
そうならない為にも、自分の “WANT(やりたいこと)” の理想イメージを膨らませることが重要です。
様々な “やるべき” ことの中にも “WANT” へと繋がる箇所を少しでも見つけることができれば、自ら罠にハマってしまった状態を解決できる糸口が見つけることができるでしょう。
ところが、多くのデザイナーに「 “WANT” があるか?」と質問しても、なかなかすぐに答えられるものではありません。
ですので弊社では、この “WANT”を引き出すため、20〜40代の世代別に、デザイナーが自分のWANTを探る取り組みやワークを行っています。詳細や様子はスライドをご覧ください。
さいごに
デザイナーという職種に限らず、この様な診断チャートを使って現場のマネジメントを行うことはありません。
が、コミュニケーションを促進するツールとしては活用できると思います。
診断の結果だけを重視することよりも、結果を通して更に自身の内面を探るきっかけが重要です。
“WANT” をみつけることも、まずは自己理解からだったりします。
“WANT” と “やるべき” ことの間で結びつく線が、一つのストーリーになるイメージで繋がることが成長への近道です。
あなたの “WANT(やりたいこと)” はなんですか?
What do you wanna(罠) do……?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
どうしても診断結果に納得感がない。。“WANT” を見つけるためのご相談はこちらまで(@ino8001)