みなさんこんにちは!
メディア統括本部ピグパーティ所属のデザイナー鈴木です。

 

今回はその中から、弊社ゲーム部門の株式会社グレンジCCOの鷲山、と株式会社アカツキCDOの村上さんによるコラボレーションセッション「あそびのデザイン」をレポートしたいと思います。

私自身も参加して多くのセッションを聞き、スピーカーの皆様のデザインにおける想いや問いを浴びることで、とても刺激を受けたイベントとなりました。

 

今回はその中から、弊社ゲーム部門の株式会社グレンジCCOの鷲山、と株式会社アカツキCDOの村上さんによるコラボレーションセッション「あそびのデザイン」をレポートしたいと思います。

こちらはアーカイブ動画になっていない、コラボレーションフロアのセッションになりますので、当日この場に来れなかった方に向けて、この記事にて内容と雰囲気を感じていただければと思います。

 

1.登壇者の経歴
2.あそびのデザインの今と昔
3.デザイナーという作り手側としてのあそび
4.あそびにおけるオンラインとオフライン
5.あそびのデザインは人々をどう変えていくのか

1.登壇者の経歴

鷲山優作
株式会社サイバーエージェント UIUX Lab 代表
株式会社グレンジ 取締役CCO

 

紙媒体のデザイン、webデザインを経て2011年に株式会社グレンジに中途入社。 コミュニケーションアプリから始まりブラウザゲーム、ネイティブゲームなどのアプリ開発に従事。 2016年にスマートフォン向けゲームに最適なUI/UX研究をする専門組織「UIUX Lab」を立ち上げ、 代表へ就任。同年グレンジ取締役CCOに就任。

 

村上一帆さん
株式会社アカツキ Creative Director

 

広告業界でグラフィックデザイナーとして活躍後、 ゲーム業界に転身。ソーシャルゲームのUIデザイナーやプロジェクトのデザインリーダーなどを経て、 2015年にアカツキに移籍する。現在はクリエイティブディレクターとして、 同社の全プロダクト・サービスに関わっている。

 

2.あそびのデザインの今と昔

小宮さん(モデレーター):「あそびって、昔でいうとパソコンがなかった時、パソコンが生まれてもスマホがなかった時、そしてスマホができた時。と時代に応じて変わってきていると思いますが、それについてお二人はどうお考えでしょうか?」

 

-あそびのシームレス化

村上さん:「昔ってゲームをやるために集まる時間をつくったり、 face to faceつまり直接会いながらやっていたけれど、デジタル領域になることで時間も場所も関係なく、シームレスにやっている部分は一番大きいですね。」

 

「その時に、これからはゲームのみというよりは ゲーム×SNS、いわゆるゲームだけではなく日常に溶け込み、日常の延長として存在するんじゃないかなというのがすごく強いです。」

 

-あそびを通して人を見ること

村上さん:「ちょうどこの前、アカツキでオフサイトミーティングを行ったことがあって…
今まで議論ベースで組織作りに向き合っていたんですが、やっぱり意見がぶつかることってどうしてもあって…そんな時に1回”遊び”に振り切ったんです。」

 

「丸一日ゲームすることにして、特にダーツとかボンバーマンやったりして、face to faceのものをやったんです。その後に議論したんですが、仲が深まって議論がスムーズにいくんですよね。意見を悪意的にとったり、相手へのマウントがなくなって。例えばぶつかることがあっても、ベースの信頼があるから議論しやすくなったんです。
face to faceのゲームの力を感じましたね」

 

小宮さん:あそびを通して、その人のこだわり、性格とか、人柄やキャラクター性が見えてくるんですかね。確かに子供の頃ってface to faceの遊びの中で、友達がどんな人なのか判断してました。」

 

「鷲山さんはいかがでしょうか?」

 

-変わらない本質的な部分

鷲山:「僕が若い頃って何もなくて…それこそファミコンがあったくらい。
外で鬼ごっこしたり、カンケリ、ドロケーとか原始的な遊びをしてましたね。
それは素直におもしろかったし、その原体験が今のコンテンツ作りにつながっている自覚があります。」

 

「物理的に相手との距離が近くなければいけなかったですけど、それが今は簡略化されていて。でも本質的な体験や興奮、感動って昔と今で変わってないと思いますね。」

 

小宮さん:「なるほど、確かにデジタルデバイスになってコンテンツの総量は多くなりましたが、ユーザーが受け入れるもの自体は、実は変わっていないのかもしれないですね。」

 

3.デザイナーという作り手側としてのあそび

小宮さん:「お二人ともデザイナーですが、作り手側としてのあそびの変化はいかがでしょうか?」

 

-体験作りの定義

村上さん:「ゲームに拘らずですが、画作りのデザインというより、体験作りというところに広がってきていますよね。イラスト、UI、アニメーションにしろ、単体だけで生み出せる感動というのは、すごくスモールになってきている。 どれくらい全体感を持って体験を作れるかが、デザインという話になっているのを感じます。」

 

鷲山:「そうですね、僕自身も『UI/UXデザイナー』という肩書きでこの業界に入ってきましたが、ユーザー体験を良くするためにイラストや3Dやゲームの仕様まで、体験にまつわる全てに対して関わっています。
デザイナーの裁量ってそれぞれありますが、その人がどこまでやりたいかで、キャリアパスが大きく変わってきますね。

 

-若手にもチャンス、スキルの掛け算勝負

村上さん:「体験をトータルで考えられるスキルが必要になってきましたよね。全体といっても設計だけじゃなく、表面の衣装までも。デザイナーの求められる領域が変わってきたと思います。」

 

「テクノロジーやスキルのみではなくて、思考も含めて守備範囲を広げる必要はあって…。それこそ掛け算でアイデア勝負ですよね。ひとつを時間かけて極めるような経験の話だけではなくなってくるので、若くても全然チャンスはあると思います。 早く試して早く掛け算してという方法で結果が出ます。

4.あそびにおけるオンラインとオフライン

小宮さん:「最近だと『ポケモンGO』のようにリアルの世界の中で、デジタルを使うようなオンラインとオフライン、デジタルとアナログを行き来する、ハイブリッドなあそび方も増えてきたと思うんですが、
それに対してデザイナーとして、コンテンツとして変わるところってお二人はどうお考えでしょうか?」

 

-リアルとデジタルを越境するこれからのデザイナー

村上さん:「そうですね、オン/オフ昔は分かれていましたがどちらも良さがあって、分断することがなくなってきてるのが、今じゃないかと思っています。
デジタルな体験だけで、デザインをやっていくのはほぼ無理なので、リアルなエンタメを感じることで、オン/オフを融合させた“あそび”を考える必要があると思います。

なので、そこにおけるデザイナーはまたげることが前提になるので、多種多様なあそびを楽しめる人が、これから必要とされるデザイナーになっていくんじゃないでしょうか。」

 

「一つひとつのクオリティだけが、ユーザーの体験になるかというと、イコールではなくて、新しいあそびの提案をした方がスピードも出るし、今の時代に合わせられます。

なので狭い中で1つを突き詰める素晴らしさはありつつ、新しいものはそれとは別のところで、色んなものとの融合で生まれるのではないか、というのが僕の思想のベースにあります。」

 

小宮さん:「では、そういうところで働きたい場合には、キャッチアップ力が多岐にわたることが大事だったりするんですかね?」

 

村上さん:「それを無理やりやってると、しんどいんですよ(笑)。そういうことを自然にするのが重要なので…全部学ぼうということではなく、自分の楽しい範囲を選んで、その中で広くやっている状態を楽しめてることが大事なんじゃないかと。」

 

小宮さん:「コンテンツとしてのオン/オフの変化に関しては、鷲山さんはいかがでしょうか?」

 

-共有したくなる仕組みでオン/オフをセットにする

鷲山:「僕もオン/オフを分けすぎる必要はなくて、それぞれの良さがあると思っています。
ゲームでいえば、ひとりあそびに特化すればオンだけにできますが、あそびって体験を人に共有することで、楽しさを最大化する良さがあるんじゃないかと。
もちろんゲームに限定するのではなく、映画でも『あれ良かったよね』って人に言って感動を共有したいじゃないですか。」

 

「今作ってるゲームも、基本的にはひとりで遊べますが、このあそびに賛同してくれる他の人に共有すると、もっと楽しくなる仕掛けや導線を設計してますね。
人を誘いやすくする機能だったり。大人になると誘いづらい部分ってもちろんあると思いますが、言い訳しやすい環境を作ってあげて、できるだけ『オンからオフに共有する』という流れのセットがあるといいですよね。」

 

「さっきポケモンGOの話もでましたけど、僕も捕ったポケモンを後輩に自慢したり(笑)。まさにそういうコミュニケーションが、日常でも行われているなぁと思います。」

 

小宮さん:「そういう意味では、ひとりあそびの定義って変わってきているんですかね。小さい頃、例えば積み木ってお母さんにしか見せれなかったけど…今は感動の共有する範囲がすごく広がっていますよね。」

 

5.あそびのデザインは人々の生活をどう変えていくのか

 

-あそびがチャレンジのハードルを下げてくれる

鷲山:「個人的な想いとして、あそびは新しいものにチャレンジする一番ハードルが低いもの だと思うんです。
ゲームによって新しい感動がもたらされるのはもちろん、ゲームを通して友達だったり彼氏彼女ができるかもしれない。自分が作ってるもので遊んで、生活やコミュニケーションの変化を起こすことが、僕の理想ですね。
今開発中のゲームも、僕たちが面白いと思うものを提供できるように頑張っています。」

 

-あそびは新しいきっかけを起こしやすくする手段

村上さん:「今までをまとめると。
『人を繋げる、いろんな側面を見せる』これらを引き起こせるのが、あそびの良さなんじゃないでしょうか。
あそびを通して新しい思想のインストールができる。真面目に読んで勉強するってすごく難しいじゃないですか。それがあそびを媒介すると、体感として自分の中で生かせる形で落ちていく。teachingではなく、エンターテイメントというあそびを通すことで、新しいきっかけが起きやすくなっていくと思います。」

 

小宮さん:「チャレンジとか思想とか、もともと真面目でなくてはいけないシーンに対してあそびで逆アプローチできるってところが、お二人で共通してますね。
一過性のものはともかく、継続的なものをインストールするのって本来は難しいじゃないですか。」

 

鷲山:「そう、めちゃめちゃあそびって大事だと思いますよ。僕は大体マンガで色んなこと教わってます(笑)。あそびってすごく便利なんですよね。」

 

村上さん:「新しいものごとや概念って、抵抗の方が先にきちゃいますよね。それを次に生かせる形で受け入れやすくするのが、あそびなのかなと思います。」


以上がコラボレーションセッション「あそびのデザイン」についてになります。
あそびに関して抽象的にも具象的にも捉え、切り口は違ってもお二人の共通した考え方が垣間見れたのが、とても印象的でした。

 

この他のDesignshipのレポートに関しては先日公開された【Designship2019】[デザイナー]キャリアの罠診断カード大公開!も是非ご覧ください。

後日、登壇者の井上の記事も公開されますのでみなさんお楽しみに!

デザイナー | 2012年入社 メディアサービスの運用、新規開発などを経て現在はピグパーティのUIデザインを担当。 若手デザイナーで構成された横断組織「wakate media creators board」のメンバー。   最近ハマっている漫画は「鬼滅の刃」。最新刊を読んだら面白すぎて本誌に手を出し、、最新号まで読み切ってしまいました。