10 things motivate of designers

 

朝、天気予報を見て、

「なるほど。今日は最高気温15度か」と、一見理解したつもりが、

実は「15度」という気温をあまり理解しておらず、

この時期はだいたい肌寒い服装で外出してしまう

クリエイティブ執行役員のしゅがーです。

 

今回は、11月に行われたセミナー

Service x Design #3 デザイナーの力を引き出すデザイン組織とは?

dotFes 2016 渋谷 | creative conferenceにてお話しさせていただいた、

マネジメントする側がデザイナーに対して

「何を意識すればいいのか」
「何をしちゃいけないのか」

など、

組織の中でデザイナーがより輝くための方法について

僕が実践している、以下の10個をご紹介しようと思います。

デザイナーをやる気にさせる10のこと

 

1. 「評価」の「評価」はしない
2. 事業は縦軸。職種は横軸。
3. 背中を見せる
4. ドヤれる機会の創出
5. 「デザイナー」は「デザイナー」に従う
6. デザイナーは声が小さい
7. フィードバックは「感想」ではなく「批評」であることを自覚する
8. 判断に余白を持たせる
9. 最低でも1本の槍(ヒント)を握らせる
10. 妥協に感動はない

 


 

1. 「評価」の「評価」はしない

 

前提として、企業の中で働くデザイナーとして、

「事業成果」にコミットしてこそ評価するべきであると思っています。

しかし、技術力やデザイン力と「事業成果」が必ずしも結びつかないケースがあるのも事実です。

 

そのため僕の管轄では、

査定の時期には各自が制作したアウトプットをまとめたポートフォリオを準備してもらい、

 

「この半期、こんなすごいアウトプットしました!」

「新技術にチャレンジして、こんなことまで出来るようになりました!」

 

という具合に、「事業成果」と同等に「技術」にもフォーカスし、

「個人が周囲に与えるデザイン的影響力」についても評価基準としています。

 

そうすることで、個人の「成長目標」としても追いやすく、

裏を返せば、「事業成果」に結びつくように、こちらからもサポートしやすくなるのです。

 


 

2. 事業は縦軸。職種は横軸。

 

とはいえ、会社員として「事業成果」にコミットするために、

基本的にはデザイナーは事業付きでいることが望ましいと思っています。

ただし、デザイナーは他人と比較されてこそ伸びると思っているので、

横のつながりをどれだけ作れるかがポイントになってきます。

 

僕の管轄では子会社も含めて約60名のデザイナーが在籍していますが、

いくつかのグループに分けて、会社や部署が違っても週1でデザインの定例をし、

その週に各自が作ったアウトプットをみんなでレビューする場を設けています。

 

先程触れた半期のポートフォリオもこうした定例の場で共有し、

自分と他人のアウトプットを比較しながらお互いに切磋琢磨できる環境と、

新たな気づきを創出する場としても機能させています。

 


 

3. デザイナーの背中を見せる

 

僕が新卒の頃そうだったように、

デザイナーは、デザイナーから学ぶことが技術力の向上への最短ルートであり、

特に若手のころは、先輩デザイナーからどれだけ吸収できるかが成長の鍵になります。

 

そのため、事業は違えど、同一フロア内のデザイナー同士の席を意図的に近づけたり、

若手を挟むように座席をレイアウトするなど、

先輩の背中を見て育つ環境をとにかく意識しています。

 


 

4. ドヤれる機会の創出

 

デザイナー個人の成長のためには、

周囲と自分とのスキルの「差を認識する機会」と、

周囲に自分のスキルを「ドヤれる機会」が重要です。

 

そのため、社内のデザインコンペなどでは会議をオープン化し、

アウトプットを第3者に晒す仕組みを意識的に作っています。

 

「頑張れば先輩より目立てるかも」という若手のモチベーションを上げつつ、

「中途半端なモノは出せないな」というベテランへの適度なプレッシャーをかけることで、

アウトプットのクオリティに対して、それぞれのデザイナーが真摯に向き合うきっかけとなるのです。

 


 

5. 「デザイナー」は「デザイナー」に従う

 

よくある話ですが、

デザイナーをまとめる立場であればあるほど、

どうしてもマネジメント比率が高くなり、作り手としての自覚が薄れてきてしまいます。

 

ただし、

「マネジメントするだけでなく、作り続けて現場感を忘れてはいけない」

と言えば簡単に聞こえますが、実際にその立場にある人からすると

物理的に手を動かす時間が足りないのも事実です。

 

実際にデザイナーをマネジメントするためには、

「プレーヤーとしての自信と覚悟」がとにかく重要であり、

「デザイナーである自覚」をマネージャー自身がしっかりと持てるかどうかにあると思います。

 

一番やってはいけないことは、

これまで培ってきた経験値を盾に、

自分が出来る範囲のマネジメントで立ち止まってしまう事。

流れの早いITトレンドの波を

上手に乗りこなす為にこそ経験値を使いたいところです。

 


 

6. デザイナーは声が小さい

 

インハウスのデザイナーは業務上、

事業責任者、エンジニア、ユーザーとの間に挟まれることが多く、

「中間」的なポディションに立つことが多くあります。

 

その分、自分で決められる裁量が多く、

普段から大抵のことは都合よく自分なりにアレンジできてしまうため、

いざという時のアラートが遅く、意識下に不満やストレスを溜め込みがちです。

 

そのため、定期的なヒアリングとコミュニケーションが重要であり、

顔をあわせる機会を普段からどれだけ作れるかがポイントです。

 


 

7. フィードバックは「感想」ではなく「批評」であることを自覚する

 

デザイナーは強気に見せて、

実はものすごくセンシティブな人材です。

 

デザインを否定されることは、

自分の価値観を否定されているような気持ちに陥り、

ご飯も通らず、夜も眠れなくなるなんて経験は、

デザイナーであれば誰もが通ったことがあるのではないでしょうか。

 

そのため、デザインのフィードバック時にはまず、

この批評は個人に対するものではなく、あくまでも「デザイン」という

アウトプットに対するものであるということを第一に伝える必要があります。

 

また、「デザイン」は誰しもが主観で評価できてしまうため、

人によって与える印象が違うものです。

 

フィードバックで気をつけるべきは、

あくまでも1意見として、こちら側が客観的な立場にいることを

理解してもらう必要があります。

 

長谷川恭久さんのブログに詳しくありますが、

フィードバックする側が「感想」を述べる意識ではなく、

デザインをよりブラッシュアップするための

「批評」をしているのだという責任と自覚が必要であり、

そうした客観的な意見を受け入れてもらうための土台を

普段からコミュニケーションを通して築いておく必要があります。

 


 

8. 判断に余白を持たせる

 

僕はフィードバックの際に、

「こうしたら?」ではなく、「例えばこうしたら?」のように、

「例えば」というワードをよく用います。

 

そのデザインに行き着いたからには、

デザイナー本人が誰よりも真剣に考えた結果であることは必然です。

 

そのため、「こうしたら?」と上から落とすのではなく、

最終ジャッジを本人が考えられるように、

「例えば」で判断に余白を持たせるということも、

本人の納得感を得るためには非常に重要です。

 


 

9. 最低でも1本の槍(ヒント)を握らせる

 

デザイナーに何か作業を依頼する時には、

最低でも1本のヒントは持たせるようにしています。

 

「これ、〇〇さんに聞いてやっといて」ではなく、

「これ、たぶんこういう事なんだけど、〇〇さんに聞いてみて」

 

ポイントは「たぶん」という部分で、

曖昧なヒントを1つ持たせることで、

自分のアイデアと頭の中で比較して物事を捉えられるようになるため、

オリエンの精度が格段に上がります。

 


 

10. 妥協に感動はない

 

これは僕自身が、昔先輩から言われたものですが、

 

「自分が1%でも納得できていないクリエイティブでは、

ユーザーの誰も感動させられない」

 

という考え方です。

 

インハウスで働くデザイナーは、

経営サイドからの要望や、ユーザーからの意見に左右されて、

いつの間にか、無意識に「妥協」してしまいがちです。

 

しかし、無意識に積み上がった小さな妥協は、

不思議とユーザーにも伝わってしまうと思っています。

そのため、

財布の紐がゆるい僕ですが、

妥協の紐はしっかりと結んでおく必要があるのです。

 


 

最後に

 

毎日、様々な課題に対して、

デザイン的なアドバイスを行う僕ですが、

デザイナー1人1人が当事者となって、

 

クリエイティブに対して誰よりも真摯に向き合える環境を、

どれだけサポートしてあげられるか

 

がインハウスデザイナーの組織作りにおいては一番重要であり、

マネジメントする側がもっとも力を割くべきところであると思っています。

 

クリエイティブ 執行役員| インターネットテレビ局「Abema TV」や、音楽配信アプリ「AWA」、キュレーションメディア「Spotlight (スポットライト)」、無料ホームページサービス「Ameba Ownd」など、主にユーザー向けのメディアサービスのデザイナーを統括し、クリエイティブ責任者として各サービスのUIデザインを監修。