こんにちは。デザイナーの内田です。
先日行われたCSS Niteのスピンオフ「デザイントレンド特別版」にて松本と登壇させていただきました。松本の前編記事からかなり遅れてしまいましたが、後編として主に縦型動画について紹介させていただきます。(もはやVODに限らず動画サービス全般に関して扱っていきます。)

また、CSS Niteのアーカイブページにて動画も公開していただきました。

 


縦型動画やストーリーUIについて

スマホ動画サービスのUIで大きなトレンドのひとつに、縦型動画があります。今は当たり前の縦型動画ですが、いつから登場したのでしょう?

歴史

2008年にiPhoneが発売されて以来、縦で動画を撮影することは可能になりつつも、縦型のまま視聴できる動画配信サービスはなかなか現れませんでした。

そんな中、2012年に「Snapchat」がリリースされました。スマホで写真を撮影して誰かに送ると、受け取った友人はそれを1回だけ数秒間見ることができるという、非常にシンプルな機能であり、起動したら即撮影モードになるカメラアプリのようなUIでした。そして「Snapchat」は2012年中に動画も送れるようになりました。
「Snapchat」開発者のインタビューによると、彼らが初めて動画を縦のまま配信できるようにしたようです。

「Snapchat」初期UI

 

その後、「Snapchat」は「Stories」という機能を開始し、それまでのメッセージサービスよりも使われる機能になりました。2016年には「Instagram」にもストーリー機能が追加され、おなじみの機能となっています。

Snapchat Stories

ライブ配信アプリ

2015年には「Meerkat」「Periscope」「17 Live」といった、ライブ配信サービスが立て続けに発表され、ライブ配信では動画を縦で見せることが普通になっていきました。「Instagram」にもライブ配信機能は追加され主流になっています。

 

片手で使えるか

UIについて、縦型動画サービスを作る上で考慮すべきことは「片手で使えるか」ということです。「TikTok」が良い例ですが、動画コンテンツの切り替えは動画全体を使い、一番押して欲しい主要なボタンは、右側に置くことが多くなっています。人類の90%は右利きだそうです。(ただし右手で持って左手で操作する、という人も多いようです。)

 

縦型動画は見やすいのか?

人間の目は横に2つあり、視野は上下よりも左右の方が広くなっています。映画やテレビなど、既存の映像メディアも横長でした。スマートフォンでも「ランドスケープモード」という横画面のモードが存在します。「ABEMA」も最初はランドスケープモードのみでの提供でした。
にもかかわらず、縦型の動画がこれほどまでに普及したのは、考えさせられるものがあります。動画を「視聴する」自然さよりも、電車の中などモバイルな環境で自然に「使う」馴染みやすさの方が勝っているのかもしれません。


投げ銭機能について

最近の動画サービスにある機能で「投げ銭」というものがあります。ここでは「アイテム購入型」と「スーパーチャット型」に分けて例を見ていきます。

アイテム購入型

「17 Live」、「SHOWROOM」、「LINE LIVE」などユーザーが配信者を応援するモチベーションで、投げ銭がなされる場合に多いのが、アイテム購入型です。ユーザーはアイテムを購入して配信者に贈ります。配信者は送ったユーザーに対して「ありがとう〜」など反応を返してくれる場合が多いです。

 

スーパーチャット型

一方で「YouTube」や「ABEMA」では、ユーザーがコメント時に課金することにより、そのコメントを一定時間画面にピン留めすることができます。自分のコメントが他のユーザーよりも目立つ他、配信する人にも読まれる確率が上がります。ピン留めされる時間は課金額により増やすことができます。

ライブ配信サービスの成長は近年大きく、配信者としても事業としても大きな収入源になりつつあります。新型コロナウィルスによりエンターテイメント業界は大きな打撃を受けましたが、「17 Live」のプレスリリースによると月間6万円以上の収益を上げたライバーが、4206名いたそうです。中には1ヶ月で数百万以上を稼ぐ人気ライバーも多数登場しています。


動画サービスだけじゃない動画の使い方

モバイルでの大容量通信が可能になるにつれて、動画を扱うのは動画サービスだけではなくなってきました。その一例を見てみたいと思います。

マッチング

人の雰囲気をより具体的に伝えることができるようになっています。

レシピ

作り方を短く編集してあり、料理の作り方を素早く具体的に知ることができます。また、素材から美しい料理に変わっていく動画は、ただ見ているだけでも、驚きや楽しみがあります。自社メディア以外の「Facebook」などにも、編集した動画を配信しているサービスが多いです。

ニュース

旧来からありましたが、災害などあらゆる情報が動画で分かりやすくなっています。新聞などのメディアも積極的に動画配信をしています。

その他

EC、ブログや掲示板サービスなど、あらゆるメディアで動画を扱えるようになってきています。


まとめ

人類の歴史の中で、石碑から始まったメディアが新聞、ラジオ、テレビと進化していったように、コンピューターの世界でもコマンドラインから始まり、画像、音声、動画という順番で普及していきました。スマホは端末としてはもともと動画に対応していましたが、これから5Gが普及するにつれて、動画がさらに当たり前な存在になっていくのではないでしょうか。