こんにちは、サイバーエージェントのゲーム事業部でゲームクライアントエンジニアを担当している山口と申します。
7月27・28日、サイバーエージェントの次世代技術者による技術カンファレンス「CA BASE NEXT 2022」を開催しました。本記事では「ゲーム事業部横断の3D技術コミュニティ「3DX」の取り組み」についてご紹介します。
- ゲーム事業部の横断組織
- 「3DX」とは
- 「3DX」の取り組み
- まとめ
ゲーム事業部の横断組織
サイバーエージェントのゲーム・エンターテイメント事業部(SGE)は、私の所属している株式会社Colorful Paletteを含めた10社以上の子会社と、それらを横断している部署であるSGE統括本部・SGEコア技術本部によって構成されています。
また、それらの組織とは別に、各子会社に所属している社員が兼務で所属している「横断組織」という枠組みがあります。
サイバーエージェントのゲーム事業部における「横断組織」は、子会社間の垣根を越えて社内全体の技術や社員同士の交流などの活性化を主に担っている組織です。
所属している社員は各子会社でメイン業務を行っており、横断組織には兼務で入っている形となります。
特徴として、若手の内から横断組織に所属する例が多く、結果的にベテランから若手の混成となっている組織が多いです。
新卒・中途採用への協力や社内交流・知見共有の推進、特定の技術の推進を行っている技術コミュニティなど、さまざまな横軸組織が存在しています。
活動の一例としては、特定の技術に興味がある社員を集めた交流会や、技術の有識者を集めたパネルディスカッションイベントなどのイベント主催などが行われています。
「3DX」とは
「3DX」とは、ゲーム事業部の中で3Dグラフィックス関連の技術コミュニティとして活動している横断組織です。
ゲーム事業部内の3D技術の活用を推進すること、3D技術の知見を集め社内のエンジニア・クリエイターに共有したり蓄積することを目的としており、若手から中堅のメンバー数名で構成されています。
3DXは2021年の夏頃に立ち上げを行いました。
近年リッチな3Dグラフィックス表現を行うモバイルゲームが増えてきており、社内でも3Dを採用したタイトルが増えてきています。要求される品質も年々高くなってきており、今後もさらにリッチな表現が求められていくことが予想されます。
そういった背景の中で、事業部全体が3Dに強い組織になっていくことを目指し、草の根的な活動として技術コミュニティの立ち上げを行いました。
「3DX」の取り組み
3DXで行っている実際の取り組みや、それによって感じている効果についてご説明します。
組織内での技術研究・調査
まず1点目として、3DXの組織内で技術研究・調査を行っています。
前期は一定期間ごとに1つの大きなテーマを策定し、そのテーマに関連した技術を3DXのメンバーがそれぞれ調査をするような形で活動を行いました。
この活動の主な目的は、各自が調査した技術についての知見を社内に共有して蓄積すること、調査や実装を通してメンバーの技術的な成長を促すことにあります。
この活動では、組織内でテーマを共有しながら調査を行うことで関連技術をある程度まんべんなく調査することができ、効率よくキャッチアップすることができました。こういった部分は個人ではなくコミュニティとして活動する利点だと感じます。
またコミュニティとして活動することで、技術調査の成果を社内外に定期的にアウトプットする機会を担保することができました。具体的にはLT会として社内に成果をアウトプットする会を主催したり、3DXにイベントの登壇依頼をいただいたりなどがありました。
活動の一例として、メンバーの山上が登壇した「CA.Unity#4」の「スマホで60fps維持しながらオープンワールドの草原を描画する」という講演があります。
モバイルゲームで大量のオブジェクトを描画する際に参考になる情報がまとめられていますので、ぜひご覧ください。
https://learning.unity3d.jp/8347/
社内向けイベントの主催
次に、社内向けに3D技術関連のイベントの主催を行っています。
Unityのサンプルプロジェクトを一緒に見る会のようなラフなものから、特定のプロジェクトで行っている3D関連の実装・技術についてインタビューする会などを行いました。
この活動の効果としては、社内全体に向けたイベントとして知見を共有することで組織全体の知識の底上げにつながっているかと思います。
また、一般的にプロジェクト内に閉じてしまうことが多い技術開発の成果を全体に横展開する機会を作ることができたのも良かったと思います。
Slackチャンネルの運営
3D技術関連の雑談のためのSlackチャンネルの運用も行っています。
TwitterやWebの記事等で見かけた話題を共有して議論したり、3DXで行っている活動の成果の投稿などをしています。
この活動の主な目的は、社内全体で気軽に(3D関連の)技術的な雑談や相談ができる場を作ることにあります。
これまでも技術に関する雑談のチャンネルはいくつかありましたが、なかなか盛り上がらず参加者は多いチャンネルでも投稿が少ない状況でした。そこで、横断組織がチャンネルの運営を行うことで一定の盛り上がりを担保できないかと考えました。結果、定期的な話題提供などを行うことでアクティブなチャンネルを作ることができ、3DXメンバー以外からの投稿や議論も活発なチャンネルとなっています。
この活動では、技術的な雑談が活発に行われるチャンネルが作れていること、組織の活動報告を見てもらえるチャンネルを作れていることが利点だと感じています。
継続して運営を行うことで、オープンな議論が活発に行われチャンネルの参加者が見ているだけで一定の情報がキャッチアップできるような場が作れたら良いと思っています。
まとめ
3Dの技術コミュニティである「3DX」を運営してみて、いくつかの効果がありました。
第一に、メンバーの技術的成長につながる機会を作れていることです。
プロジェクトや会社にもよりますが、すべてのプロジェクトが3D関連の業務が常にある状態ではないため、横軸の活動を通して3D技術に触れる機会を増やすことができたのは非常に良かったと思っています。社内への技術共有を通して3Dに取り組んでいるエンジニアとしてのアピールの機会を作ることもできました。
また、社内全体の集合知の活用を強化するような活動ができたこともあります。
今までプロジェクトに閉じていた技術開発の情報をカジュアルに展開することができたり、子会社をまたいだ雑談・議論の場を提供できたりしました。こうした活動を続けていくことで、結果的に社内全体の知識の底上げに繋げられればと考えています。
本記事は以上となります。
この記事の内容について話した登壇のアーカイブもありますので、ぜひご覧ください。
「CA BASE NEXT 2022」のアーカイブ動画・登壇資料は公式サイトにて公開しています。
ぜひご覧ください。