初めまして。AbemaTVで開発ディレクターをやっています、新卒2年目の加納です。

AbemaTVはサイバーエージェントとテレビ朝日の出資により設立された株式会社AbemaTVが運営しているインターネットテレビサービスです。私はそこで2016年4月11日に開局してから約1年間、開発局でディレクターとして働いてきました。

開局直後は20数名だった開発局も、現在では約60名が在籍する大規模組織になっています。その中でディレクターとして周りから求められるスキルや仕事の進め方も大きく変わってきました。

今回の記事では、
・AbemaTV開発局ディレクター陣がチームとして実践していること
・プロジェクトを進めるためにディレクターとして工夫していること
上記2点を紹介させていただきます。

①仕様書のプルリクエスト制度

新規機能開発の起点であり、最も大事なフェーズが「要件定義」です。AbemaTV各局のプロデューサーやマーケティング担当者とともに「開発の目的」や「ユーザーに提供する価値」を明確にした上で、それを実現するために必要な機能や性能を開発ディレクターが明文化します。

実際の要件定義書

 

この「機能の要件を定義する」というのが難しく、エンジニアやデザイナー、運用チームと認識がずれないよう、ディレクターが全網羅的に内容をまとめる必要があります。

しかし、時には番組の編成を担う編成局や宣伝局、広告局など多くの部署と連携しながら機能要件をまとめていくこともあるので、どうしても抜け漏れやチーム間で認識ズレが発生してしまうことがありました。

そこで「要件定義の精度を高めること」を目的とし、AbemaTVでは要件定義書をesaというドキュメントツールで作成した上で、開発ディレクター間でそれらをレビューする「プルリクエスト制度」を今年から導入しはじめました。

 


Slackで他ディレクターに要件定義書のプルリクを出す様子

 


esa上で要件定義書に対して他ディレクターがレビュー

 

開発者の中ではGitHubを通したコードレビューの体制が根付いていますが、AbemaTVでは要件定義書をディレクターの成果物の一つとして捉え、それらをディレクター間で品質チェックする体制にしました。

もちろん、若手ディレクターが作った要件定義書を上司にレビューしてもらうだけではなく、上司が若手にレビュー依頼をすることもあります。

 

 

AbemaTVは現在開発ディレクター3名で各プロジェクトを推進していますが、それぞれ担当している案件や得意領域が異なるため、プルリクエスト制度を導入することで要件定義段階では想定していなかったユースケースや他機能に及ぼす影響など、抜け漏れや懸念点を事前に潰すことができるようになりました。

また、今までは自分の担当外の案件詳細がブラックボックス化してしまっていましたが、この制度を開発フローに組み込むことで自然と全案件の情報をキャッチアップすることができるようになり、情報共有の時間短縮や仕様に対する意見を言いやすくなるなど、様々なメリットが生まれました。

②ディレクターが完成イメージを作る


機能要件が固まった後、ディレクター主導のもと担当エンジニア・デザイナー向けにオリエン / 仕様検討を進めていきます。

この際、個人的に実施しているのは、より完成イメージに近いデザインをあらかじめ作成しチームに共有しておくことです。

AbemaTVではプロダクトのUIをSketchでデザインしているのですが、ディレクター自身で要件定義段階の機能のアウトプットイメージをSketchで作成し、エンジニア・デザイナーから意見をもらっています。

 


ディレクターがデザインをアップし、エンジニア・デザイナーから意見をもらってる図

 

一般的に「ディレクター職はディレクション業務にのみ集中すべきであって、デザインやエンジニアリングの実作業は技術職に任せたほうが良い」とされていますが、個人的には「ディレクターが実際に作ってみる」ほうが色々とメリットが多いと思っています。(※もちろんディレクション業務に支障をきたさない程度に。)

ディレクターから完成イメージに近いアウトプットを共有することにより、要件定義の段階で、ドキュメントだけでは気付かないような改善ポイントを発見し、チームで議論をすることができます。

新卒1年目の時は若手ディレクターではあるあるな「会議の時に一人で喋ってる状態(=議論になっていない状態)」が続いてとても苦労していましたが、実際に目に見える、完成イメージに近いデザインを用意しておくことでチーム内での議論が活発になり、よりブラッシュアップされたアウトプットを出すことができるようになりました。

 

最後に


今回紹介した事以外にも、開発効率化を目的とした「開発力倍増会議」や総合プロデューサーの藤田に新機能案や改善案を提案する「Agema会議」など様々な取り組みを実施しています。また、ディレクタースキル向上の一環としてWebアナリストの須磨主導のもとGoogleアナリティクス勉強会を週に2回実施しています。

AbemaTVはいろんな角度から誰でも意見を言える環境です。エンジニアやデザイナー、ディレクターが一緒になってあーだこーだ議論をしながら1つのモノを作っています。そういった議論を促進させて、最高のアウトプットを形に仕立てるのがディレクターの役割だと思っています。

だからこそディレクターは自分の活動領域を狭めず「みんなに貢献できることはなんでもやる!できないことは学ぶ!」という心構えを持つことが成長のために一番重要なことなのかなーっとこの1年で感じました。

AbemaTV行動指針にもある「謙虚・尊敬・信頼」を忘れずに、ディレクターとして明日からも頑張ります!