こんにちは、サイバーエージェント 事業推進室の伊藤 淳貴(@wildtiger0713)です。

 

全エンジニア組織に共通する「エンジニア組織のマネージメント」というテーマについて皆で語り合う場として開催している「VP of Engineering meetup by CA」の第3回を4/2(月)に開催しました。

 

VP of Engineering Meetup by CA #3
https://cyberagent.connpass.com/event/82410/

 

今回もサイバーエージェントグループの各事業部、子会社においてVP of Engineering = エンジニア組織のマネージメント の役割を担うキーマン3名が登壇し、それぞれの組織における取り組みや知見、事例を紹介してくれました。今回もキラーワードがいくつも飛び出すなど、会場もオンライン上(#vpoe_meetupをチェック!)も、とても盛り上がりました!(過去のレポート記事はコチラ:1回目2回目

 

会場の様子

 

VP of Engineeringとは

VP of Engineeringの定義や役割については、各社、各組織で細かな違いはあるかもしれませんが、当Meetupにおいては以下のような役割を担う最高責任者という位置づけでコンテキストあわせをしています。

 

VPoEの役割

 

CTOが組織やサービスに最適な技術戦略、技術方針を描くのに特化しているのに対して、VP of Engineeringには採用、育成、評価をはじめ、エンジニア組織全体が最大のパフォーマンスを発揮するために必要なあらゆるマネージメントを包括して求められる、非常に幅広く重要な役割を担っています。

最近では国内の各企業においてもCTOとの2頭体制を採用するケースが増えてきているように見受けられ、それだけVP of Engineeringという役割の重要性が認知され始めているのだと感じています。

 

VP of Engineeringについて気になること

今回も参加者にアンケートを取らせてもらい、VP of Engineeringについて気になるテーマをお聞きしました。

今回は時期的に期末、期初と重なったこともあり、エンジニアの評価基準と目標設定に関する関心が多く上がっていました。また、弊社サイバーエージェントにおいても1月に発表がありましたが(https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=21237)、エンジニアの一律初任給を廃止して新卒入社時から個々の能力に応じた給与体系を導入する企業、さらには高度なスキルや実績を保有する人材にその技術力と市場価値に応じた報酬を支払う等、エキスパート人材に対する市場価値の向上の兆しも伺えるなど、エンジニアの関心が高いトピックスが多く見受けられました。

 

 

それでは今回の登壇者3名のセッションの様子をレポートしたいと思います。

 

 

『成果を出し続けるエンジニア組織を目指してやってること』

成果を出し続けるエンジニア組織を目指してやってること

(西脇 靖紘 株式会社ウエディングパーク エンジニアリング マネージャー)

ウエディングパークにおけるVP of Engineeringの捉え方を『成果を出し続けられるエンジニア組織を作っていくこと』とし、それを目指すためにエンジニアリングマネージャーとして行っているチームビルドやピープルマネージメントのポイントを紹介されていました。1on1をコーチングの場として導入してメンバーの内発的動機を加速させる、権限委譲により自発的な組織を目指す、成果への感謝は「ありがとう」の言葉より”同調”が大事、など刺さる言葉が沢山ありました。また、経営層の考えをエンジニア視点に置き換えてメンバーに伝えることの大切さや、エンジニア組織外の人にエンジニアを理解してもらうことの難しさなど、エンジニア組織の中だけに閉じない視点がとても参考になりました。

 

 

 

『組織をシステム化するReactive Management』

組織をシステム化するReactive Management

(渡邉 雄作 CYBERAGENT AD.AGENCY SINGAPORE PTE. LTD プロダクトマネージャー)

リアクティブシステムに求められる即応性、耐障害性、弾力性、メッセージ駆動の考え方をマネージメント手法に応用した『Reactive Management』を提唱。人の行動に対してのフィードバックは即座に返すこと(即応性)の重要性や、チームや組織のあらゆる課題や障害に対してKPTでの振り返りとカイゼンによって耐障害性を高めること、チーム内での役割を固定せずチームメンバーのスキルや強みにあわせて柔軟に組み替える(弾力性)こと、タスクやスケジュール管理はツールを駆使してリマインダなどのイベントハンドラを仕掛けてメッセージ駆動で動けるようにし、管理コストをアウトソースすることなど、独自のノウハウが散りばめられたセッションでした。エンジニアリングマネージャーとして大切なことは、どんなチームや状況においても同じレベルのマネージメントを再現できること(Reactivity)と、アイデンティティとして「自分はエンジニアである」という自覚を持っていることであり、それを可能とするマネージメント技術を持つことの大切さを語られていました。「マネジメントは技術である」の言葉が印象的でした。

 

 

 

『ゼロからのエンジニア組織作り』

ゼロからのエンジニア組織作り

(川村 猛 株式会社GRIPHONE CTO)

組織の設立期、成長期、変革期における技術方針や役割の変化、それぞれの時期でうまくいったこと、苦戦したことを自身の経験を元に話されていました。エンジニア10人以下の事業立ち上げ期には技術チャレンジを限定せざるを得ないフェーズもあったが、その後、成長期から変革期へと成熟していく過程で技術的チャレンジや負債返済を推奨する文化に価値観を変えていき、技術的な魅力を語れる組織になっていった話はとても興味深かったです。また組織トップの持っている価値観や理想が組織の成長に与える影響の大きさと、変化に共感したり変化を提案してくれるエンジニアの存在が組織にとって重要であることを話されていました。組織フェーズごとのチャレンジや成功体験だけでなく、生々しい辛みもありとても共感できるセッションでした。

 

 

懇親会も

また懇親会中のLT大会では、CAグループ以外の企業からも登壇者を募って、各企業での取り組みをお聞きしており、今回はヒトメディア株式会社 内藤 賢司様、株式会社ミクシィ 尾関 元様の2名、及び弊社 アドテクスタジオ LIVE DSP開発責任者 新田 智啓に話を聞かせてもらいました。LTで登壇頂いた皆様ありがとうございました。

新田のLTでは『マネジメントの勉強をしないマネージャを信じないでください』の言葉に会場から拍手が上がって盛り上がっていたのが印象的でした。(きっとみんな共感できる言葉だったのでしょうね笑)

 

 

おわりに

今回で3度目の開催でしたが、このテーマは本当に奥が深くてまだまだ語り足りないので、これからも定期的に開催していこうと思います。(初夏の頃には第4回を開催できれば・・・)

 

 

発表スライド