こんにちは!メディア管轄でデザイナーをしている井上です。
今年もサイバーエージェント技術者カンファレンス「CA BASE CAMP 2019」に登壇させていただきました。
今回はそのセッション内容を紹介しながら、僕たちクリエイターにとって、実は相性の良いマネジメントついて書かせていただきます。
“マネジメント = 管理” のような硬い印象が、少しでも和らいでいただけたら嬉しく思います!
また、実際に組織づくりとして行ってきたマネジメントの取り組みも合わせて、紹介させていただきます。
少し長いので気になる所だけでもどうぞ!
目次 ・最近思うこと → デザイナーの半分はフォロワーシップでできている → 今更ではありますがCMスキルへ ・CMという役割も作った → CMに求められること → 1on1の改善 ・MCっていう役割もいる ・まとめ
最近思うこと
デザイナーにとってのリーダーシップとはなんだろう?
昨年の登壇では、デザイナーの持つべきスキルとして “リーダースキル” なるものを紹介させていただきましたが、そもそもデザイナーにとってリーダー気質はどれほど必要なのか? そんなことを考える今日この頃です。(今更ですが、、)
また最近では、経営や事業責任者のビジョンをビジュアル化、言語化することで、より鮮明なものへとエクスポートする役割としてのデザイナー像が強くなっています。
つまり、どちらかと言えばリーダーをフォローアップする印象です。
昨年の内容はこちら → デザイナーが伸び悩まないためのスキル27分類 | CA BASE CAMP
デザイナーの半分はフォロワーシップでできている
おそらく、ほとんどのデザイナーが「自分がつくったものへの周りの反応が嬉しかった」といったような経験のもと、デザイナーになったケースが多いように思います。
以前、新卒デザイナーの目標設定支援のためにワークショップを開いたことがあり、目標設定をするにあたって「デザイナーになろうと思ったきっかけ」について聞いたところ…
「自分の描いたイラストでみんなが喜んでくれた」 「学校の掲示物を作ったら、とても褒められた」
など、他人の満足を自分の満足につなぐことができる人種です。
ヒトやモノゴトの目的を達成するために、誰かの指示だけではなく、自分から “どうしたら” を考えて行動できるフォロワーシップの精神は、デザイナーなら誰しも持っている素質の1つではないでしょうか。
目標設定のワークショップ → 迷わず成長できるデザイナーのための目標設定
今更ではありますがCMスキルへ
前置きが長くなりましたが、以前紹介した “リーダースキル” の内容は、ほぼマネジメントスキルと言って良いと思います。
では、デザイナーのキャリアとして、目指すべき方向が、全てマネジャーであるべき、と言うことではありません。しかし、能力としてのマネジメントスキルは “どうしたら” を考えるスキルだと思います。それが、経営、事業またはチームなのか、対象はどうであれ 誰しも持つべきスキルと言って良いでしょう。
これはフォロワーシップ精神旺盛なデザイナーにとって、得意分野ではないでしょうか?
さて、ここまで説明すると、デザイナーはリーダー向きではないような印象を持たれてしまいそうですが、リーダーとしてのフォロワーシップと言う考え方も存在します。
参考文献 → リーダーシップからフォロワーシップへ
実際、僕自身もデザインチームのリーダーですが、メンバーを引っ張るようなリーダーシップを発揮しているかと言えば、少し違うような気がします。
どちらかと言えば、目標と個人の “成長” や “やりがい” を結びつけながらフォロワーシップでマネジメントしているイメージです。
つまり、マネジメントスキルはリーダーシップ、フォロワーシップの両方で執行できるスキルとなります。
ということで… “リーダースキル” から “CMスキル(クリエイティブマネジメントスキル)” へと変更することにいました。
CMという役割も作った
昨年(2018年)は、社内のマネジメント強化施策としてCMという役割を作りました。
こちらのCMはCreative Managrの略で “役割” として人に付く肩書きです。
また、アートディレクター、デザイナーのような職務としての肩書きとは別に、職位(役割)として肩書きになります。
このような住み分けをするようになった背景には、僕たちの在籍するメディア管轄における事業の多様性があります。
基本的にデザイナーは、各事業に振り分けられる分散型の組織スタイルをとっているため、事業の規模やそこで求められるスキルセットに違いがあります。
例えば、アートディレクターに求められるスキルが、イラストレーションへのものなのか?サービスの世界観づくりへのものなのか、対象となるプロダクトによってディレクションは様々です。
つまり、スペシャリストとしてのスキル領域と、マネジメントを行うスキル領域を分け、チームのクリエイティブ責任者として必要な役割をCMが請け負う形となります。
CMに求められること
具体的な役割としては、以下の3つとなります。中でもメンバーの育成を含むピープルマネジメントは、今回CMに選出されたメンバーへ明確にミッションとして伝える形となりました。
1on1の改善
現在のCMメンバーは14名です。各々がチームビルドを行いながらメンバーの一人一人の成長に力を入れています。
個人的にも、メンバーへのフィードバックの時間である1on1は、日々のタスクと振り返りではなく、“スキル開拓支援” と “目標設定支援” に重点を置く内容へと変更し試みています。
スキル開拓支援では、本人もまだ気づいてない得意分野やスキルを見つけ出す作業です。
個人の興味、経験、動機などに対し、過去と現在の間で客観的に振り返りを行なっていきます。
かた苦しい印象を持つかもしれませんが、日々の業務で感じたことから、最近見た映画や趣味の話まで内容は様々です。
頻度は、毎週、隔週、毎月など頻度は様々ですが。定期的に地道に長くコミュニケーションを取ることが重要です。
このフェーズを繰り返し、やがてビジョンや個人の価値など、目標設定支援につなげて行きます。
(この内容はまた機会を改めて書けたら良いなと思ってます…)
MCという役割もいる
以前も記事に書かせていただきましたが、デザイナーが事業部ごとの縦のつながりだけでなく、横のつながりでコミュニティを形成するクリエイターハングアウト(HangOut)と言う取り組みがあり、ここでMCが大きな活躍をしてくれます。
CM、MCと2つの役割が似たような呼び名となりますが…こちらは司会者の意味でのMCです。
MCはグループをリードしながら、デザイン共有会、勉強会、オリジナルイベントなどを企画しながらコミュニティを盛り上げます。
特にオリジナルイベントでは、プロカメラマンによる撮影技術のレクチャーやシルクスクリーンを使ったアナログのアウトプットをするなど、普段関わりの少ない体験から刺激を受けられる環境をMCが主体となり行なっています。
ハングアウトの内容を紹介させていただきました。詳しくはこちらの記事を読んていただけると嬉しいです。
目標設定のワークショップ → クリエイターのコミュニティ作りに必要な5つのキーワード
まとめ
人、環境をどのように変えていけるか?それをするには “どうしたら” 良いか?
そのためにも、縦(CM)と横(MC)、リーダーシップとフォロワーシップそれぞれの視点から、一人一人がマネジメントスキルを発揮する場面があると思います。
今回は、要点のみの解説となりましたが、CMの活動や1on1の効果などについては今後も切り出して書いていきたいと思います。